第2話 回想


「いいか、りょう、忍びという者は心技体しんぎたい全てにおいて優れていなければならない。もし、お前が忍びの道を歩みたくないのであれば、俺は強制しない」

「……」

「平和な暮らしもいいものだ。お前には人の血を見る勇気はあるのか?」

「あります。私には人の血を見る勇気はあります!」

「分かった。忍びの道にくノ一くのいちという女忍者がいる。だが、柳派の流派を継ぐには男でなければいけない。お前はこれから男として生きることになる。その覚悟はあるか?」

「あります!」

「女としての幸せは全て捨てなければならない。後戻りはできない。それでもよいのか?」

「私もお父様のような忍びになりたいのです! お母様の死を無駄にはしたくないのです!」

「分かった。俺の全てをお前に与えよう」

「有難う御座います!」

「名は火焔かえん。お前は今日から男の忍びだ!」



 日々の鍛錬は怠らない。全ては一流の忍者になるため、その連続だった。速さ、力、知力等可炎から叩き込まれた火焔かえんは瞬く間に成長していった。


 そして――


火焔かえん様、お父様がお亡くなりなりました」

 火焔は父の訃報を聞き、泣き崩れた。

 まだまだこれから父とともに忍びの道を極めようという時に……。虚しくも涙が流れ続けていた。


こう、父上が死んでもそなた、これからも俺に従ってくれるか?」

「もちろんで御座います。わたくしは火焔様と供にあります」

「有難う」



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