仁へのあしがかり。

私は仁の屋敷を再び訪ねる。

私が思い出した事とは仁のパソコンからなら何かの手がかりを掴めるのでは!?

と、思ったからだ。

事件を解決させる為には、明日学校は休みの今夜が最適だったのだ。

私は玄関から中へと入れてもらう。

もう、お手伝いさんには連絡は入れてある為ここまではスムーズに行動ができた。

さぁ…これから仁の部屋で起こる何かから私は全ての感覚を研ぎ澄まし身を守りつつ謎を解かなければならないな。

私はそう思いながらまた仁の部屋へと向かう。

お手伝いさんが居るがゆえやはり仁の部屋の中は小綺麗だ。

私は部屋のドアを開ける。

そして仁のベッド、机、机の上にはパソコンがある。

私は仁の机を前に椅子に腰掛けパソコンを起動させる。

画面は立ち上がり何も変わらぬ画面になる。

まずは個人情報で申し訳ない気持ちにはなるが…仁本人が消えた以上緊急性も感じる為…いたし方ない。

まず私はメールの確認から。

すると…私とのメールのやり取りが数件…。

ああ…確かにこんな会話しておったな。

そんな事を考えながらずーっと見ていく。

うーん…私とのメールがほとんどだな。

そして。

これか!?


『株式会社…呪術ドール』

『商品ご購入に関しまして。』


「これか……。」


私はメールを開いてみると…購入者仁様宛とある。

開いてみると確かに仁はあの『くまのぬいぐるみ』を購入していたのだ。


「これだけですんでおれば良かったものを。」


私は会社側で何か知り得るのかを考慮しさも仁からのメールのように問い合わせメールを送る事にする。


『今回購入した間宮仁と申しますが…不思議な現象が起こりましたので報告させていただきます。』


「送信…よし!これで何かの反応があるかを待つ事にするか。」


すると。

ピロリロリン!!っという音。

同時にメールが返信されてきたのだ。


『間宮様…メールでの問い合わせいただきました…具体的な内容をお送りいただけたら幸いです。』

「ふむ…では。」

『ぬいぐるみを購入しましたがトリセツが入っていなかったのですが…。』


ピロリロリン!っとまた着信するメール。

すると送られてきたのはメールに貼り付けてあるトリセツだった。


『間宮様…こちらの内容でご確認よろしくお願いいたします。』


そう…箱を確認したのだが何も入ってはいなかったのと調査の為に私はこんなメールを送ったのだ。

そしてメールの中のトリセツに目を向ける私。


『恋ぬいぐるみ『くま』こちらのぬいぐるみは貴方の想いを貴方の代わりに伝えてくれるぬいぐるみです…貴方の想いを込める事によりぬいぐるみはその力をいかんなく発揮してくれる事間違いなし!是非!ぬいぐるみを開けたら念じてください!そしてお相手に送る事できっと貴方の想いはお相手に届く事でしょう。』


トリセツとしては怪しくはあるがこの商品はこういったアイテムなのだろう。

値段も普通並程度…ぬいぐるみはこのくらいだろう位の値段。

詐欺にもなりはしない事ではあった。

だが…確かにこのぬいぐるみが仁の失踪と関係してるのでは!?と考える者は私くらいなのかもしれない。

これは事件性にもなり得なくもないが…証拠が少なすぎるのだ。

一体どうすれば。

八方塞がりの私に何が出来る!?

こんな時どうすればいいのか!?

ふと私が時計を確認すると…時は二十四時をまわっていた。

こうしてる間にも仁は。

こうなると仁の事ばかり頭に浮かぶ。


「ひとし………。」


思わず私の口から声が漏れ出てしまっていた。

すると。

いつしか私の目の前にちょこんと座っていたくまのぬいぐるみ。


「あれ?先ほどソファーに座らせておいたはずだが。」


この不思議な現象に私は驚き辺りを見渡すが何もいない。

すると……。


『う……ぉぉぉ………。』


くまのぬいぐるみから声が漏れだしてくる。

この怪奇な現象に身構えてしまう私。


「な……今……声が。」

『ぉぉぉ…………………。』

「ひ、仁なのか!?」

『ぶ……ちょぉぉ………………。』


その声はかなりの低音…声はなんとかこう聞こえた様な気がしてるだ。


「仁??仁??大丈夫か!??」

『はぁはぁ…はぁはぁ…』


くまのぬいぐるみから漏れてくる声であろう…うめき声が聞こえてきているのだ。


「仁?お前!!なぜ!?こうなった!?」

『ぬ、い……ぐる……みに………い……しき……が』

「なんだ?意識がぬいぐるみにとらわれたのか!?」

『ぼ、くを……に…んぎ……よぉう…てら…に。』

「に、人形寺??だと??」


すると…ぬいぐるみは私の元へゆっくりとぎこちなく身体を動かし歩いてこようとしていた。


「ひとし!!!」


いつしか私はぬいぐるみを抱きしめていた。


「行こう!!人形寺へと!任せろ仁!!」


こうして私は人形寺へと行く事を決めたのだ。

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