オカ研仁…藤野涼子は謎を考察す。

私は…仁の屋敷から自宅まで帰ってきた。

そして、部屋へと戻るとパソコンを立ち上げる。

まずは仁が購入した私へのプレゼントの販売元である『株式会社呪術ドール』という会社の事を調べる為だ。

そして検索してみると会社の情報が現れたのだ。


「えーと…株式会社呪術ドール…会社としては大きな会社ではなかった…従業員数…世界をも含め三百名程か。ふむ…日本では…おお…首都に一件…ここが本社か。」


メール、そして電話までメモる。

そして企業のホームページからネット販売のぺージへと飛ぶ。

すると、スルスル出てきた商品のラインナップ。

日本人形からフランス人形まで…まあ聞いた事のあるラインナップもある。

そして色々見ていると…これは??

そうなのだ。

私が発見したのは…ここにあるぬいぐるみと同じものだったのだ。


「これか?仁はこれを私にプレゼントしたというのか??だがこれだけでは何もわからんな…。」


私は八方塞がりになる。

どうしてもこれだけの話では事件案件にもならないからだ。

きっと…ここの会社へと問い合わせたとしてもどうにもならないであろう。


「くっ!?」


私はその時。

先程の何かを頭に思い出したのだ。

それは。

あの不思議な文字だった。

私はその紙を今一度見て考えてみる。

そして数分考える。

文字を見て…並びを変えてみ…あれ??

そして私はとある言葉に辿り着いたのだ。

もしかしてこれは。


『ぼくはくまひとし』


とも読めるでは無いか!?

私は焦りクマを見つめる。


「もしや…このクマが仁だとでも言うのか!?」


可愛いピンクのモコモコの毛糸に包まれた目もキラキラと光っている。

動かないこのぬいぐるみが仁だと!!??

だが…見つめ続けると。


「やぁぁん!やっぱり可愛い♡♡♡」


私は思わず抱きしめてしまう。

はっ!!??

いかんいかん!!

これはヤバイ魔力とでもいうべき力なのか…凄まじい可愛らしさだ。

しかしこれが本当に仁だったのなら…どうやって元に戻せばいいのか!?

この恐怖に私は恐れを抱く。

すると。

ピロリロリーン!!

パソコンに一件のメールの着信が入る。


「なんだ??」


私がメールを確認しようと発信元を確認してみる。

すると。

発信元…株式会社呪術ドール

件名…ぬいぐるみの件ですが。

!!??!

なんだ??

どうして私のパソコンへとこんなメールが送られてきたのだ??

私は目に見えぬ恐怖を覚える。

こんなメールも仁の元へと届くのならば話は分かるが…なぜ私の元へ??

私の頭の中に浮かんだのは仁の屋敷だ。

すかさず私は仁の屋敷のお手伝いさん宛にと電話をかける。

数度かのコールの後…彼女は出たのだ。


「すみません!藤野と申しますがお手伝いさんの石野さんはいらっしゃいますか?」

「あ!藤野様?私です。」

「あ!良かった!それで少しお聞きしたい事があるのですが…仁君のパソコンを操作などは出来ますか?」

「いえ…すみません!私パソコン等は触れもしなくて…」

「では…ちょっと提案なのですが…これからまたお邪魔してもよろしいですか?仁君のパソコンに確認したい事が…」

「分かりました!ですが…もう時間がこんな時間ですが大丈夫でしょうか?」


そう…気がつくともう時間は18時を過ぎていたのだ。

だけど私はどうしてもこのままにはしておけなかったのだ。

運がいいのか悪いのか…明日は休日だ。

今日ならば時間が多少かかっても問題ない。


「私は大丈夫ですが…そちらで少々時間をいただいても問題ありませんか?」

「こちらは問題ありません…どうぞお気をつけて!」


そんなやり取りをした後…私は再び仁の屋敷へと出向いたのだった。

もう暗くなろうとしていたが仁のパソコンにも同じ何かが来ているのではないかと私は考えたのだ。

そして私は家にその旨を伝えてきた。

怪異やこういったものは夜になると何かが起こったりするかも知れぬ。

私は走りながらも仁の屋敷へと向かう。

すると私は屋敷前に綺麗な桜の木を偶然見つけた。


「これまであまり気にもかけて来なかったがこんな桜の木があったのだな。」


すると…ふと思い出した記憶。

それはニコニコしながら私に話す仁だった。


「部長!今度僕の家の近くの桜の下で花見なんてしませんか??」

「ん?桜の木などどこにでもあるではないか?」

「いやぁ!部長みたいにめっちゃ綺麗な桜の木なんですよ?」

「なんだそれは??熱でもあるのか?仁?」

「酷いなぁ!僕はいつでも部長に本気で言ってるのになぁ!」

あれ?

おかしなこと思い出しだぞ?


「ふぅ~ヤツめ…早く戻ってこないと桜が散ってしまうではないか。」


私は、そう…つぶやき。

再び…仁の屋敷の門を叩いたのだ。

お読みくださりありがとうございました!


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