第12話報酬
私が職員室を出た瞬間に、左耳へ吐息を吹きかけられるのと同時に甘ったるい声で呼ばれた。
「晶せんせぇ〜報酬を貰いに来ましたっ!さっささ、早くぅ〜!」
「み、三輪さんっ!職員室にまだ残ってるんだから、もうちょっと声を潜めて……」
「ふふ〜なにぃ、焦っちゃってぇ!共謀した仲じゃないですかぁ〜!オナってたりぃ〜?」
「ちょっ——三輪さっ」
私は口を滑らし同僚らに聞かれてはまずい単語を聞こえるような声量で続ける三輪に唇の前にひとさし指を立て、黙るようにレクチャーをする。
「私は後輩をイジめて昂揚感に浸れちゃえるんです。晶せんせぇを奪った後輩があんなになるなんて、興奮しないわけないですよぅ〜!はぁぁああぁぁあああんんっっ、あんなの見せられたら晶せんせぇを味わい尽くせないと熟睡出来ないですよぅ〜んん!せんせぇが逃げるなんてこと……ありませんよね?あ・き・らせんせぇ〜」
三輪が肩に手を置き、耳元で艶っぽく囁き、間に喘ぎを漏らし、脅しをかけた。
「はぅっ……はぁはぁ、わ、わかったから。場所を移し——」
私は三輪に共謀を持ちかけたが、恐ろしさを今更だが、思い知った。
「良いですよ〜ぅっ!もうもうもうもう〜っ、晶せんせぇの指がアソコを刺激してるのを想像しただけでヤバいんですよ、私の疼きぃっっ!!」
私は左腕を彼女に掴まれ、職員用のお手洗いに連れて行かれ、奥の個室に押し込まれた。
三輪が私を隣の個室の壁に両手を突かせ、スカートに片腕を潜ませ、ショーツ越しにデリートな部分を撫でてきた。
「あぁ〜やっぱり濡れてるぅー!汐嶋は可愛いですけど、乗り気じゃないですから私で良いじゃないですかぁ〜!もう晶せんせぇが私に手ぇ出さないから、毎日ムラムラするんですよぅ〜!絶頂かせて、絶頂かされたいのに……満たされない。ねぇ、私を気持ちよくさせてよ」
三輪が耳元で艶っぽく囁き、首筋を舐めて、あぁぁんんっ、と喘ぐ。
私は初めて、歳下に恐怖を抱いた。
私は汐嶋が抱いているであろう感情の恐怖が理解した。
足元に水溜りができ、羞恥心と脚がピクピクと痙攣してきて、呼吸が乱れ出している。
思考が正常に働かず、もう耐えきれない状態だ。
「あれあれ〜ぇ、晶せんせぇがもうギブぅ?もっと愉しませてくださいよ〜!」
「……」
私は汐嶋にごめんなさいと謝りたくなった。
三輪は最終下校時刻の放送が終わる10分前に職員用のお手洗いを出ていった。
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