53. 雄一の過去(3)
神と自己が水平に並ぶ時、光明楽土が拡がる。
これ、雄一が若い時にやったことである。
当時、原チャリの50ccのミニバイクレースが流行っていた。
雄一もスクーターではあるが、乗り回していた。
センタースタンドを外し、サイドスタンドを取り付け、
ワイドタイヤを履かせ、バンク角を稼ぐ。バンク角は確かに増える、
しかしワイドタイヤではコーナーに侵入しにくい。
少々、乗りにくくなった。
さらに、強化サスペンションに取り替えコーナースピードを上げる。
排気系つまり、マフラーの交換はあえてしない。
つまり、チャンバーにするとエンジン特性が変わってしまい、低速が無くなってしまうのだ!
ようするに、トロトロと走り出し、ある回転まで来ると、
一気にエンジンが吹き上がる。
街中を走る時は、不便になってしまうからだ。
ようするに、「ローリング族」だったのだ!
同じ排気量のJOGやDJ-1、と死闘を続けた。
こちらのスクーターは5馬力しかなく、JOGやDJ-1は、
6馬力あった。
どうしても、勝つことができない!
自分のライディングスタイルを摸索した。
そうなのだ!
今までは、ハングオン(お尻をずらせるスタイル)
ではなく、リーンウィズ(お尻をずらせず、腰のヒネリで、
コーナーに入るスタイル)にこだわり続けた。
そして、負け続けた。
あまりにも、負けるので思い切って、ライディングスタイルをリーンウィズから
ハングオンに変えた。
プラスアルファ、突っ込み重視のライン取りをするようになった。
勝てる!マジで勝てる!
道路を隅から隅まで使うのではなく、道路の真ん中あたりからコーナーに侵入、
一気にバイクの向きを変える!
ジェットコースターといっても良いライディングスタイルになった。
徐々に、スポーツ車、NSR-50、RZ-50、AR-50等と対等に戦うようになった。
相手は、7.2馬力あった。
しかし、「新人の走り屋」では、雄一についていけない。
コーナーでは雄一に敵わない、ストレートで馬力にまかせて勝つしかない。
みじめに負けていた雄一が、恐れられ始めた。
やがて、スポーツ車相手に最高の走りをしたのだ!
戦い終わり、一人で休んでいたら、
「脳波」に以上が起きていた!
突然、空が開け世界が輝き始めた。
つまり「光明楽土」が見えたのだ。
さらに「自分が、世界の中心」となった。
「天上天下唯我独尊!」である。
自分が世界を覆う感じ、輝く世界、
雄一は胸の内から声が聞こえてきた。
「道徳を守れ!」と。
それからの雄一は真剣にレーサーを目指した。さらなる「高み」をめざして!
お金の問題で諦めざる得なかったが……。
最低でも、レースをやるには年間300万円以上かかるのだ!
雄一の家はそれほど裕福ではなかった。
だが、しかし「フォース」に目覚めたのだ。
やがて「龍の一族」の戦士となった。
防御こそ最高の攻撃、つまり守って守りまくり、
相手のミスをまつのだ!
つまり、最強の「防御魔道士」になったのだ!
何度も言うが、
神と自己が水平になったとき「光明楽土」が拡がるのだ!
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