11. サイクロプス

異臭がする、豚小家のような匂いだ。


水天宮は巨大な青い肌の一つ目のサイクロプスたちを、品定めしている。

大きい戦闘力の高そうな、サイクロプスを探しまわる。

しばらく、探すと、


(よし、これだ!)


と思える巨人にぶつかった。

12番と背中にかいてある。


「12番、出ろ!」


サイクロプスは動き始めた。

木製の棍棒の代わりに、鋼鉄製のさらに破壊力の高そうな、棍棒を持たされた。

サイクロプスの一つ目は、戦いに飢えて、燃え上がった。


「お前、頼むぞ!」


若干、時間を開けて、


「オー!」とサイクロプスが答えた。


ケインもそのサイクロプスに満足した。


「サイクロプス」、彼等は実は「神」だった時代があったのだ。


姿かたちも今のようではなく、美しい人型の巨人族だったのだ。

天空神ウラノスと大地の神ガイアの間に生まれた子供達で、つまり、紛れも無い神であった。

ゼウスに雷霆、ポセイドンにトライデント、ハーデスに透明になれる兜という、自分たちの造った強力な品々を供物として捧げた。

では、何故このように使役獣のような立場になってしまったのか?


ずばり、「人間狩り」である。


サイクロプスは、「人間の肉」が大好きなのだ!


ところが人間は「創造の神」の「傑作」として生まれた。

つまり、「創造の神」にとっては、「最高実現」が人間だったのだ。

その人間を、頭からかじる脳みその味、腹部の内臓の味は最高だった!

やりすぎたのだ。


そのことが、太陽神アポロンに知られ、全員、姿かたちを変えられ、

楽園の居場所を追われてしまった。何とも痛ましい最期を遂げてしまう。

さらに、ほとんどの「知性」が奪われ、この醜い一つ目の青い肌の巨人に姿かたちを変えられたのだ。


本当に憎むべき存在は、サイクロプスにとってアポロンなのだ!


しかし、そのことすら忘れている、旺盛な食欲だけがあるのだ!

それも「人肉」に対してである。

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