第34話 タッピドラゴンウミネコモドキ

「間違いない。龍飛崎の展望台だ。主人公が祖母と会った場所だ! ポータルは本当にあったんだ!」


〝すげえぇぇっ! さすが青森県!〟

〝空を見ろよ。なんか飛んでるぞ。ドラゴンっぽくね?〟

〝あのシルエットはドラゴンだ! 間違いない!〟

〝龍飛崎ってマジにドラゴンいるんだ……〟

〝でも鳴き声が猫っぽくない? にゃーにゃー聞こえるけど〟


「あれは遠目にはドラゴンに見えるけど、ドラゴンじゃありません。ドラゴンとウミネコが交配して生まれた、タッピドラゴンウミネコモドキです。大きさもウミネコと同じくらいです。あ、一匹降りてきた。ほら、見た目はドラゴンだけど小さいでしょ。普通のウミネコがいなくなっちゃったんで、地元の人はあれをウミネコと呼んでます」


〝なんだって?〟

〝タッピドラゴンウミネコモドキ???〟

〝情報量多い〟


「にゃー」


〝鳴き声かわいいw〟

〝家で飼えそう〟

〝でもウンコしたぞ〟

〝半分ウミネコだからな。家が白いウンコまみれになるぞ〟

〝それは嫌だ〟

〝それにしてもドラゴンとウミネコってどうやって交配するんだ〟

〝ドラゴンカーセックスより難易度高そう〟


「魔王を封印するには『ドラゴンの角』が必要らしいけど、モドキのじゃ駄目だと思うんで。本物のドラゴンが出るのを待とうと思います。それまでは龍飛崎観光です。まず駐車場に向かいます。お土産屋とかあるんで。アミーリアさん、明日香さん、行くよ。さっきからボンヤリしてどうしたの?」


「そりゃボンヤリもしますよ……菜の花畑の中に本当にポータルがあったんですから……」


「しかもドラゴンとウミネコの交配種とか意味分かんないんだけど……」


「意味分かんないって言われても、現にいるわけだし」


「にゃー」


「ほら。認めてあげてよ」


「あ、はい」


〝真顔w〟

〝あ、はい、って言うしかないもんなw〟

〝目の前にいるんだから受け入れるしかない〟

〝考えるな感じろ〟

〝龍飛崎観光楽しんでw〟


「はい、ここが駐車場です。ほかにも駐車場はあるけど、ここに停めるのがオススメです。展望台が近いし、さっきも言った通りお土産屋もあるんで。リスナーのみなさんが車で龍飛崎に行くことがあったら参考にしてください」


〝あ、はいw〟

〝まあ人生なにがあるか分からんからなw〟

〝マジで行ってみたいんだけどなぁ〟


「お土産屋って言ったけど、俺的に食べ物が印象に残ってるな。あ、あれだ! タコ玉子! 小さいタコの中にウズラの卵を入れて煮込んだやつ。あれ美味しいんだよ~~。すいませーん、タコ玉子三つくださーい」


「あいよ!」


〝小さくてかわいいタコ〟

〝串に刺さってる系のか〟

〝小腹空いたときにいいな〟

〝酒の肴にしたい〟


「ん! 本当に美味しい!」


「タコと玉子ってこんなにあうんですね」


〝普通のグルメリポートみたいになってきたな〟

〝二人とも並のタレントより可愛いからこのままでいいよ〟


「ごちそうさまでした。昔はドラゴン肉の串焼きも売ってましたよね? 今はないんですか?」


〝ドラゴン肉の串焼きだと〟

〝また変なワードが出てきた〟

〝やっぱ普通のグルメリポートじゃなかったわw〟


「それがねぇ。ここ数年、あんまりドラゴンが出てこないのよぉ。昔は毎日のように飛んできて『追い払うのが面倒ねぇ』なんて言ってたんだけど。いざ数が減ると寂しいものねぇ」


「え。ドラゴンいなくなっちゃったんですか?」


「年に一回くらいは飛んでくるから、そのタイミングならドラゴン肉を出せるんだけどねぇ。来るときは前触れなく来るから、もし今日来たら、狩るのを手伝っておくれよ」


「分かりました。ぜひ手伝わせてください」


〝龍飛崎なのにドラゴンいないのか〟

〝龍飛崎って地名なんだからドラゴンがいて当然みたいなこと言ってなかったか?〟

〝ドラゴンカーセックスが見れると期待してたのに!〟

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