第8話「受験勉強。誠の策略」

翌日、告白のチャンスを逃した聡美は、学校の教室で誠を見つけると自分の机に急いで鞄を置き誠の側に歩み寄った。

「誠!何で昨日を待っててくれなかったの?祝って欲しかったのに!」

そう「告白したかった」と恥ずかしくって言えなかったのである。

「別に。お前が優勝した事がわかったから。それに、お前を応援していた人達が祝ってくれただろ。俺は、用無し!」とぶっきら棒に誠が答えた所でチャイムが鳴り、聡美は自分の席に戻った。

その後は、聡美も誠も高校生活最後の大会を終えて部活を引退して、着かず離れずの学校生活。

二人とも、一応は大学への推薦が決まっている。聡美は、大都市の大学。誠は、地元の大学に。

しかし、推薦といえども試験は受けなくてはならない。なぜなら、それなりに学力が無いと大学には入学は出来ないからだ。

聡美は、どちらかと言うと頭が良く3年生全体でも上位の成績。誠は、中間の下の学力ぐらい。

二人とも大学合格を目指して、受験勉強を頑張っている。

そんなさなか、ある日学校で誠から「聡美、お前が受験する大学の過去の問題集で勉強し終わったのが有ったら貸してくれないか?」と言われた。

そんな事を聞いた聡美は、キョトンとして頭の中が?(はてなマーク)だらけになった。

とりあえず「探しておく。あったら明日でも持ってくるね」と答えるのが精一杯だった。

聡美は帰宅後にどれがいいかな~と思いながら使い終わった問題集を選んでいると「何で私が受験する大学の問題集が必要なんだろう?誠が受験する大学ならココまでのレベルの問題集は必要ないのに。まっいいか!」と思い問題集を選んだ。

翌日学校に登校して聡美が誠を見つけると「誠!持ってきたよ〜 何でこんなのが必要なの?誠には、全然関係ないと思うんだけど?」と問いかけると「サンキュー!これで大学合格できる」と聡美の問い掛けに答えず受け取って「トイレ!トイレ!」と言って去ってしまった。誠の相変わらずの態度に呆れ返った。

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