自然の恵みね

伊藤テル

自然の恵みね

山の木が川に香りを与えてく私は君のいつもになりたい


太陽の光を浴びてトマト熟す君の笑顔を見る口実


ズッキーニ受粉のための花を裂くもっと優しくできたらいいのに


アカシアの花が並んで咲いているそれぞれの蜜まとまり一つに


つわぶきを持った子供が傘にするあの小ささは私にもう無い


霧が降る枯山水の灰色に君にだけ色ある共感覚


アーティーチョークつぼみの奥に強い影そんな楽には知らせる気は無い


無意識に四則演算しているが幸せを足すブドウの薫り


豆ごはんグリンピースが笑ってる私もピースと自ら言いたい


一年で収穫できないアスパラガス最初は可愛いだけで君のよう


熱すると赤が消えてく流れてく赤玉葱のような感情


雨音が大地の渇きを潤して私の涙を隠してくれる


雑草も酸素を吐いて生きているあの時どうすれば良かったのだろうか


雨浴びてキュウリが伸びる爽やかに私はなれる? ちょっとしたトゲ


水田が光を浴びて青くなる今年も日々が始まっている


あさつきを茹でて醤油で食べていく薬味だなんて自分で決めない


さやえんどうツルが伸びてく捕まって手当たり次第で君みたいだね


春いちご水にぬれると傷みやすい弱点辞書に載せられたくない


葉の色が濃くて香りも癖も強い行者ニンニクに憧れた人生


ルッコラを選んで買うほど手練れじゃないビタミンKと言われましても

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自然の恵みね 伊藤テル @akiuri_ugo5

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ