M晴荘の日常

 M晴荘に住むようになってから数ヶ月後、僕は夜勤の警備員をしていた。

 一晩中、緊張感のある現場に派遣され、ヘトヘトになって始発で帰宅する。

 コンビニで酒を買い、どうでもいいようなツマミで寝るために酒を飲む。

 そんな生活を続けていた。

 昼夜逆転の生活。

 これから寝るぞ、酔いも回ってきたぞ、というときにドアを叩かれた。

 こんなときになんだよ、もう寝るぞ。

 酔眼をこすってドアを開けると、新聞の集金のおじさん。午前九時くらいだったか。

 なんでこんなに早くに来るんだよ。

 うんざりしていたら、おじさんが疑問に答えてくれた。

「いま集金に回ってまして、朝早いかなぁって思ったんですけど、窓から彼女さんが手招いていたんで、お伺いしました。ありがとうございます。彼女さん髪が長いから、磨りガラス越しでも目立つんですよ」

 こんなことが日常茶飯事だった。

 いつも僕につきまとう髪の長い痩せた女。

 この部屋で過去に起きたことは、近日、分かることになる。

 しかし、それは謎と混乱しか僕に与えなかった。

 辻褄が合わないのだ。

 お前は、誰なんだよ。

 

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