第4話 裏路地の少女
スライム狩りに草原に赴く。
何の面白みもないミッションだが、自分の魔法を試すいい機会だ。
ファイアブラストはどうやら指から火炎球を出して爆発させる魔法のようだ。スライムに当てると、それが弱点らしく容易く吹っ飛ぶ。
この分なら目標の20体も軽そうだな。
ファイアブラストの魔法を使いこなすために、指先や手のひらから自在に出せるようにしておく。
気付けば魔法使いLv3に上がっていた。この分なら順調にレベル上げができそうだ。しかし、何といっても地味だ。
スライム20体を狩り、ドロップアイテムであるジェムをゲットすると、帰路についた。
ジェムは一個につき50銅貨に換金できる。大ジェムならさらに値が付く。
安宿になら泊まれそうだな……。
さすがに野宿は嫌なので、さっさと店に換金に行く。
さて、1000銅貨か。銀貨にしてみると10枚。なかなか溜まったな。
長い下積み生活が待っているのだから節約しなければならないだろう。
店を出て裏路地に入ったところで、既に薄暗がりだった。
道具屋で気づいたことだが、俺の腰にはホルスターがあり、そこにはリボルバー拳銃のようなアイテムがあった。
多分、武器だよな。
俺は裏路地の階段に腰かけてリボルバー拳銃を調べる。鑑定すると、ブラックリボルバー・レア度10と出ている。
レア度10か……結構すごそうだな。
ブラックリボルバーの名の通り、それは黒い拳銃だった。
コートのポケットを調べてみると、弾丸らしきものがある。しかし、それはただの尖った鉛の塊のように見えた。
どうやって撃ち出すのかな。
素朴な疑問を抱えつつリボルバー拳銃に弾を装填していく。計6発。
撃ってみようか。
しかし、引き金を引いてもカチリと音がしただけで拳銃からは何も発射はされない。
おかしいな。レア度10のアイテムなのに……。
「助けて! 誰か!」
悲鳴がする。その方向を見ると、女の子が3人のチンピラ風の男に絡まれていた。
「お嬢ちゃん、俺たちといいところへ行こうぜ。金はたんまり出すからさあ」
「やめて下さい! お花を買ってください! 私は花売りなんです!」
「そんなこと言って、本当はお客を探してたんだろ?」
腕に入れ墨をした男が少女の手を掴んで強引に連れて行こうとする。金髪おさげ髪の少女はびくびくしながら恐怖におびえている。
「このスカート、長すぎねえか? 動きやすく破いてやるぜ」
「嫌っ! は、離して!」
にじり寄る男たちに為す術もない少女。
あーあ、面倒なところを目撃しちまったな。
俺はブラックリボルバーを構え、銃口を向けた。そして、弾丸の詰まったシリンダーの中でファイアブラストを炸裂させる。
鉛弾が飛び出し、裏路地のレンガにぶち当たった。
チンピラ共が何事かとこちらを見ている。
――これは、やるしかないのか?
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