第7話:俺氏、熟女好き認定される

「で、お前は何しにここに来たんだよ、人様の家まで」


 桜凛櫻子が家に来た目的を知りたい。

 本来ならば、この質問からするべきだったが。

 話が長引き、全然話し合うことができなかったのだ。


「大変嬉しいお手紙をお届けに来たんです」

「手紙だと?」


 訝しげな俺に対し、桜凛櫻子は笑って。


「はい。出禁通告書ですね〜」

「全然嬉しくねぇーよ。誰が喜んでもらうんだよ!!」


 出禁通告書は書留だった。

 名前を書かなければならないらしい。


「要らないなら食べてみたらいいのでは?」

「俺はヤギか? 子供の頃に聞いた歌にもあったけどさ」


 と、その他にも、聞きたいことがある。


「で、お前はどうしてそんな格好を?」


 桜凛櫻子は、某有名な宅急便の制服を着ているのだ。


「クビになったんです。ワールドバーガー」

「だろうな、お前みたいな態度悪い奴はそうなるよ」

「態度は良好だったみたいなんですけど」


 桜凛櫻子は悪びれる様子も全くなく。


「まかない以外のバーガーも食べちゃったみたいで」

「もうバイトテロじゃねぇ〜かよ!! テメェは!!」

「お客が食い残したバーガーなら食べても問題ないかなと」

「もったいない精神じゃなくて、意地汚い精神だよ」

「えへへへ、うっかりしてました」

「だから、うっかりしてたレベルじゃねぇーよ!!」


◇◆◇◆◇◆


「神奈川県のお住みのYさんって大学生ですか?」

「そうだよ。俺は大学生だよ」


 でもさ、と呟いてから。


「某漫画の手葉書職人みたいになってない?」

「ん? 何言ってるのか意味分からないです」


 桜凛櫻子は首を傾げて、口元に指を当てる。

 それから、ふふっと頬を緩ませると。


「お暇なんですね」

「うるせぇーな。大学生は基本的に暇なんだよ!!」

「親の脛を齧って、おもちゃ集めしてたんですね」

「仕送りは貰ってるが、俺はバイトもしてるがな」

「ここだけの話、ママ活はやめたほうがいいと思いますよ」

「ママ活じゃねぇーよ。家庭教師だよ、家庭教師!!」


 桜凛櫻子は「しぃ〜」と人差し指を立てた。


「家庭教師? 何を教えてるんですか、淫乱家庭教師さん」

「誰が淫乱だよ、生徒想いのイイ家庭教師で有名だわ」

「目的は生徒ではなく、お母さまのほうだったとは」

「ねぇ、もうそろそろ熟女ネタやめてくれる??」

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