第15話 決戦の時!! 


「おお! 帰ったか! サーシャ!」


「ただいま戻りましたわ! 父上!!」


 手紙をもらって、数日!


 やっとフランシーヌのロレーヌ侯爵家に帰り! 父上とハグです! んんん~~~♡♡♡!!!


「っで、状況は?」


「ああ、敵の陣営が! かなり先の丘にある。東だ! 屋敷の二階から見えるぞ」


 なるほど。では見てきます。


 こういう時、我が家が城のようにでかいのは便利だ。


 ちょっと階段を昇れば、様子が知れる。


 そういうわけで、私は我が家の階段。白いそれを上がり、適当な部屋に入る。


 そこにはメイドガいて『お嬢様!』『おかえりさないませ!』っというあいさつに軽く返し。


「お帰りなさいませ。お嬢様。面白いですよー。ひひひ」


「楽しそうだね。ばあや」


「ええ、久しぶりの戦争ですからな。血がたぎますわ。この窓から東です。あの横に黒いの」


「ふむ。なるほど」


 確かに黒い。


 横位一列に長く、黒いそれ。


 ものすごい数の馬や鎧に、兵士。


 そして長く作られた柵がその正体だが。


「旗が多いな」


 参戦している貴族が、想定より多い。


 王についたか。


「ですなァ。これは領地切り取りが楽しいですぞ~! ひひ」


 まったくだ! 全員殺して進ぜよう!!!


 っと、ばあやと笑っていると。


「お嬢様。お手紙です。マンジェル伯爵という方から」


「! ありがとう」


 メイドから手紙を受け取った。


 ついに返事が来たか。


 急いで封をしたのか、まだ温かみを感じる封蝋を破る。


 ふむ。


「そうか。王妃を殺すのか。わかった」


 手紙の内容はシンプルだった。


 『我ら、仇討ちを望むもの。穢れた化け物を殺す。返事はいらず』。


 穢れた化け物は、返り血を浴びた犯罪者。つまり、直接手を下した人物。


 証拠を消したのは王だが、前の王妃を罠にはめ、暗殺者を雇って殺したのは今の王妃だ。

 

 つまり、『王妃は殺すな。自分たちでやる』。


 それが、マンジェル伯爵とユーデウス・ヴィ・フランシーヌ殿下の意志。


 返事はいらないらしいから、行動で答えるとしよう。


 では!


「何もしないのは暇ですからね。勝ちに行くとしよう」


 作戦開始!!!


「ソーバーン族。夜になったら相手の陣営に潜り、護衛を殺せ。そして、よく爆発炎上するよう。油と火薬を設置せよ」


「「「「「御意!!」」」」」 


 彼ら彼女らはマジで有能。


 夜の闇に紛れて敵を殺し、破壊工作をするプロだ。


 故にゲームでは、存在を無いものとされ。表では奴隷として存在し、裏の仕事となれば買った主人を殺してでも仕事をするという、とんでもない存在な訳だが。


 そこらへんは、私の直臣に取り立てたので解決済み。


 戦後には、きちんと土地と給料を出しますし。将来は、『私の血をソーバーン族に入れてもいい』と約束した。


 めっちゃ驚かれて、一族全員が船の床に頭擦り付けるほど、感謝されたけど。


 リザとアルバーノには、流石に破格過ぎです!! っとめっちゃ怒られたけど。


 でも、それくらいして『私の身内』にした方がいい。


 その価値が、彼らにはあるのだ。


 なら、手放さないようにしないとね! へへへ!!!


 てな訳だ。


 砂漠の風と言われし殺戮。期待している。


「飛龍船団。ソーバーン族からの合図を確認次第。空を飛び、爆撃せよ。

その際、敵が我らの館・本陣を攻めているのが見えても、構うな。我ら全員で出撃するので、最悪本陣が落ちてもいい。


王都貴族を殺せれば、それでいいのだ。奴らを生きて返すな! 根絶やしにせよ!!!」


「「「「「はッッッ!!!」」」」」


 ソーバーン族が準備を整えて、逃げたら合図。


 そうして、船の中で一生懸命作った飛龍船団が飛ぶ。


 これ、作りは簡単(ゲーム知識と、特訓でパワーUPした侯爵令嬢基準)なんだが、数が多かったからな。


 父上に会うまでに、100作るので限界だった。


 今後は増やそうと思う。


 空を支配できるのは強いからね。ええ。


 っで、そうやって飛龍船団で、爆撃・火炎放射・大砲・魔法を行い! 


 この世の地獄を作ったら!!


「リザはメイド部隊を。アルバーノは執事部隊を。私は、私兵部隊とスパール人たちを率い! 全軍突撃だ」


「「「「おおお!!!」」」」」


 これが一番強いと思います!! いや、マジで。


 ああ、戦闘は私で、鍛え上げた私兵でぶっ飛ばし。スパール人たちが、虐殺。


 左右は魔法と戦闘ができるメイドと執事で、カバーできるし。


 こういうのでいいんだよ。こういうので!


「っで、貴族を倒した後だが、できれば王も倒したい。が」


「まァ、逃げるでしょうな」


「それな~」


 王族、自分の城にワープできる魔法持ってるからな。絶対逃げるだろ。


 まァ、フランシーヌ中央にある、フランシーヌ城にしか逃げられないから、そこを包囲すれば終わりだが。


 つまり。


「貴族連合を破り、フランシーヌ城を包囲する。ここまでやれば勝ちだ」


「全員、これを目指し! 奮起せよ!! 我らを舐めた者どもに、絶望と死を与えてやれ!!」


「「「「「うおおお!!!」」」」


 城をとれるのかが重要ってこと。


「よき返事だ! では、作戦開始時間まで備えよ!! 飯を食い、英気を養え!!」


「「「「「『『『『『ははァ!!』』』』』」」」」」


 このために、食料を買って、旨い食材や料理も開発してきたからな!


 本物の酒付け・ドラゴン肉を買ってるし! 食べて能力UP!!


 絶対に勝つぞ!! うん!!!


 っという風に!


 私たちは、作戦開始までに宴をし! 英気と能力を上げたのであった!!


 よし。私の策、成功ね。


 うん。この宴会自体が、実は私の策。


 父上にも言ってない、マジで秘中の策だ。


 どういうことかというと。


「ご報告です。敵陣営。宴会をはじめました。こっちに対抗しているのかと」


「ありがとう。上手くいったわね」


 報告してくれたソーバーン族の一人が言ったように。


 王都貴族連合で、宴を起こすためだ。


 常識的に考えて、王都貴族連合は、こちらを探るため。スパイを放っている。


 なら、こちらの食事・宴会のことも報告するはず。


 きっと、のんきに宴会してます!! とでもいうだろう。


 それを聞いて、さっさと攻めてくれれば楽なんだが……正面からなら、スパール人でぼこぼこにし、飛龍船団で追い打ち。逃げても、ソーバーン族で殲滅できるから……そうもいかない。


 彼らは、こっちを下に見ているのだ。


 なら、憤怒で攻めるのはカッコ悪い。ここは貴族として、王族として、余裕を見せるべき。


 っと、そうフランシーヌ国王や、周りの貴族は言うはず。


 フランシーヌ人は、酒や料理大好きだから、それに便乗して、酒盛りしだすでしょうねぇ。


 っと思ってたら、マジでやったよ。うん。


 これで、策は成功ね。


 ソーバーン族が忍びこみやすくなった。


 もはや、9割勝ったようなもんだ。


 でも、一つ一つ丁寧に。


 着実に勝っていきましょうか。ふふふ。



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