第13話 お嬢様、砂漠の国・ミラージュで爆買いする


「いらっしゃーせぇ! 安いよぉ!!」


「肉! モンスター肉! あるよぉ!!」


「小麦ィ~! 小麦ィ~~~!!!」


「魚あるよぉ! 新鮮なモンスター魚だ! 買った買ったァ!!」


 ――わいわい! がやがや!!


 さて、やってきた活気ある城下町!!


 モンスター肉や、魚! 小麦に、酒! 砂糖など!


 あらゆる食料に!


「ミラージュ伝統の串焼き! 肉、サソリ、砂鮫、沙漠鳥の串焼きだよぉ!!」


「ミラージュパン! 砂漠の伝統! ミラージュ焼きパンだよぉ! うちはチーズが入ってる! 焦げててうまいぞぉ!!」


「トマトと麺の、スープだよぉ!! ニンニク入れて、旨いぞぉ!!」


「それ、塩トマト?」


「んな訳あるか! 屋台だぞ! 普通のトマトだ!!」


「なーんだ」


「死ね!!!」


 と、ミラージュならではの料理も売っているようだ!


 これは面白い!!


 じゃ!!


「端から端の店まで、食料を買いましょう」


 戦争のためにも、少量は必須!


 買いまくりなさい!!!


「「「「「はは!」」」」」」


 そう指示を出し!


「店主。ここの肉、全部買うぞ」


「え、ぜ、全部? ですか?」


「ああ、金はある。ほら(札束&金貨の袋ドサ!)」


「!?!? え!?」


「「「「「え!?」」」」」


「足りんか?」


「滅相もございません! 是非どうぞぉぉお!!! うっひょおおお!!!」


『『『『『「「「「「うおおお!?!?」」」」」』』』』』』


 っと、店や客! 通行人がビックリするほど! 買いまくり!!!


「お嬢様。食料はあらかた買い占めました」


「ご苦労。一応聞くけど、街の人たちが普通に生活できる程度には、残したでしょうね?」


「はい。そこは心得ております。『先に高級店から買い占め、庶民の店には手を付けるな』。それが、貴族の流儀ですので」


 ならば、よし!


 では、次!!


「「「「「はは!!」」」」」


 どんどん行きましょう!!!


「お嬢様。こちらが、ミラージュで有名な『砂金通り』でございます」


 ほー! ここが!


 うん! ここは、店、通路、柱! 全てが、金で出来ている! ミラージュで有名な『砂金通り』!


 金の産出国であるミラージュで、最も多い砂金や! 金塊! それを扱う! 高級店通りですね!!


 では!


「買い集めなさい」


「「「「「ははァ!!!」」」」」


 やってしまいなさい!


 オーッホッホッホ!!!


「店主」


「あ、はい! いらっしゃいませ! なにようでしょうか?」


「この店全部の品物を売れ。金ならある」


 ――ドサ!! 金貨と札束の袋の山!!


「!?!? ファ!?!?」


「「「「「え!?」」」」」


「か、買い占めるってマジ!?」


「マジだと思うぞ! 俺、さっき見た! 食品通りで、高級店の食品! 全部買ってるのを!!」


「え、高級食品店で!? ええええ!?!?」


「めっちゃ金持ちやん!!」


「あのお嬢様が買ってるんだよな?」


「いったい誰ざんス?」


「馬鹿! 新聞診てないのか! あの方こそ、フランシーヌの侯爵令嬢! サーシャ・ド・ロレーヌ様!! 塩トマト、海ワイン! ソーダで財を成した! お嬢様だよ!!!」


「え! あの方が!?」


「すっげえええ!!!」


「そりゃあ金持ってるわけだ!」


「お金持ちィィい!!!」


「やっべぇぇえ!!!」


「!! さ、サーシャ様!?」


「っで、買い取りたいんだがいいか?」


「はいいい!!! かしこまってございますぅぅう!!! お買い上げ、あざっしたァァあ!!! んっほおおお~~~♡♡♡!!!」


 こうして、金と砂金も買い占めて!


「お嬢様。買い占めました」


「ありがとう。重さは大丈夫?」


「はい。マジック・ボックスもありますし。兵士や奴隷たちは『まだまだいける』『むしろ軽い』『本当に金ですか? 軽いんですが』と申しております」


「あら、それは頼もしいわね。訓練の成果が出ていると、伝えてあげなさい」


「御意にございます」


 さァ、次ぎよ!!


「お嬢様。こちら、コーヒー豆通りです」


「おおお~~~!!!」


 やってきたのは、白いテントのような店がいっぱいある通り!!


 ゲーム知識でも知ってたが、この白いテントの店! 全部が! コーヒー豆の店かァァあ!!!


 きれぇぇえ!!!


「しかし、お嬢様。コーヒー豆など何にするのですか? まァ、薬にはなりますが」


「それはあとで教えてあげるわ。戦後になるけどね」


「は、はァ?」


 ふふふ。その通り!


 実は、この世界! まだコーヒー豆はコーヒーとして飲まれておらず! 薬として使われているのだ!!


 これはゲームでもあった流れで、主人公がコーヒーを作り! カフェを作って、広め! 大流行り!!


 チェーン店まで作って、莫大な金を儲ける!! そんなイベントがあるんですよ!!


 なので、今! コーヒー豆を買いまくって、フランシーヌ王との戦後に喫茶店で流行らせる!!


 それで稼いでもいいし! それまでに誰かがコーヒーを流行らせても、あと乗りで稼げる!!


 そんな必勝の二段構えで、コーヒー豆を買うのです!!


 まァ、戦後の復興・発展には金がかかるのでね。


 今のうちに、稼げる物は手に入れておく!


 そういうことですよ! ひひひ!!!

 

 ……しかし。


「なんか、遠巻きに見られてない? 人だかりができてるんだけど」


 うん。そうだ。


 私たち、リザ。アルバーノを中心に。


 メイド部隊に兵士。スパール人たちで、守りをガッチガチにしているから、近づいてはこないが。


 遠巻きに、めっちゃ人が集まっている。


 これ、私たちが動くと一緒に動いてくるし。私たち目当てだよな。


 なんだ???


「……えー、それはお嬢様。その……」


「いや、あんだけ金払って買い物しまくってたらそりゃ目立ちますよ。あの人たち、自分の所も買ってほしい商人や、お嬢様の買い占めを見るのが楽しい野次馬。あと、暇なのか、何を買い占めるか賭けてる人たちですね。あ、露店も出てる。完全に見世物だ」


「リザァ!! 言い方ァァあ!!!」


「だって本当のことじゃん!!!」


 あー。そういうことね。


 うん。今気づいた。


 そりゃあ、高級食料品に、砂金通りの店買い占めてたら、そうなるな。


 ふむ。


「手出ししてこないなら放置で。この通りのコーヒー豆、買い占めなさい」


「「「「「了解です。お嬢様」」」」」


 買いますよ! それ!!


「お! 買うぞ! 買うぞ!」


「さァ、何を買う!!」


「頼む! コーヒー豆! コーヒー豆!」


「王道の麻酔! スヤスヤ草!」


「阿〇! 阿〇! 阿〇!!!」


「絶対水たばこだって! 命かけてもいい!!」


「逆張りクソ雑魚野郎は黙ってろ!」


「来い! こい! こい!!」


「!!!」


「店主」


「は、はい! なにか御用でしょうか!? 豆に、水たばこ! 水たばこありますが!(ド緊張)」


「コーヒー豆をあるだけ全部くれ。金ならここにある(金貨と札束の袋。ドサー!!)」


「!!!」


「!!!」


「!!!」


「やったァァあ!!! コーヒー豆だァァあ!!! うわあああ~~~♡♡♡!!!」


「「「「「『『『『『うわあああ!!!』』』』』」」」」」


「なんでだよぉぉお!!! そこは水たばこだろぉぉお!!!」


「あああ!!!」


「全財産が!! あああ!!!」


「200万! 200マーン! 必死で溜めた、200マーン! 娼館にもいかず! 真面目にコツコツ溜めてきた、僕のシコシコ200マーン! あああ!!!」


「どわァァァ!!! どわどわ! どわァァァ!!!(腰砕け)」


「これは夢や。夢なんや。夢から覚めたワイは、まだ20代。借金して転売に挑み、+2億を成し遂げ。もっと逝けると、金を借り。売りチャンスを逃して大爆死。

残りをかき集めてギャンブルに挑むも失敗して、帰る家も失う。そんな悲劇は夢なんや」


「あばばば。あばばば」


「なんでや! そこは媚薬! 媚薬やろうが!! 媚薬飲んで、パーティー!! 酒池肉林の桃源郷やろうが! あああ!!!」


「ほな、また……」


 おお、本当にかけてたんだ。


 でも、コーヒー豆通りに来て、コーヒー豆以外に買うものある?


 何考えてたんだろう。あの人たち。


「買い占めました。お嬢様」


「あ、ありがとう。アルバーノ。その、周りが」


「気にしないでいいです。お嬢様。勝手に金借りて、金掛けて、金を失った愚か者どもの末路です」


「は、はァ」


「フランシーヌもそうですが、ミラージュもこういった輩が多いんですよねぇ」


「リザの言う通りです。我関せずですよ、お嬢様。我々は何もしていない。彼らの爆死ですので」


 それはそう。


 うん。気にするだけ損ね。


「ありがとう。気が晴れたわ。じゃ、次へ行きましょう」


「「「「「ははァ!」」」」」


 んで、やってきたのが。


「奴隷商ですか。何を買うので?」


 奴隷商である!!


 ああ、イメージとしてはうす暗い路地裏にあると思いきや。


 メイン通りの所に堂々とあって! めっちゃきれいな店だった!


 うん。周りにゴミ一つない! 綺麗な、三階建ての建物!!


 初見だと、絶対に奴隷商とは見えないわね。


 金掛けてるわ~。は~!!


「ソーバーン族を。いるだけかってきなさい」


「ソーバーン族ですか? 分かりました。買ってきます」


 そう。ここで買うのは、ソーバーン族。


 窃盗・情報収集・破壊工作ができる! 傭兵民族・ソーバーン族だ!


 ゲームじゃ、情報収集に破壊工作ができる存在って少なかったのよね。


 だから、その中でも有能として有名な、ソーバーン族だけは買いたい!!


 このためだけに、3000億稼いだといっては過言じゃないのよ。マジで!


 ……まァその割に、一番早く奴隷商に行かなかったんだけどね。


 そこはちょっと理由があるんだけど。説明が難しい。


 まァ、一言で言えばァ。


 地雷キャラに会いたくなかったってことかな。


 うん。『マリ成り』における地雷キャラ。


 名前は伏せるけど、『友好的な言動・行動をすると敵対フラグが進み、最終的に殺し合いになる』っつー、罠ってかもうクソみたいな仕様のキャラがいるんですよ。


 そのくせ、グラや性能はいいからさ。最初は絶対に引っかかるんだよね。


 そして、無双されて死ぬと。南無。


 一時期は、この地雷トラップに引っかかった。初心者レビュワーの叫びで、作品のレビュー欄が埋まったっけ。懐かしい。


 尚、その後は地雷トラップの部分も受け入れて愛おしい派と、地雷だけのけろ派で、レスバが始まった模様。


 人は分かり合えない。つらいねぇ(棒)。


 ま、私としてはキャラとしては好きなんだけどぉ。


 地雷と分かってるのに、近づきたくないじゃん?


 こちとらフランシーヌ国王と、命の取り合いに忙しいんじゃい!


 地雷は避けるに限る!!


 そういうこと! ええ!!


 てなわけで!


「お嬢様。ソーバーン族買ってまいりました」


「ありがとう。アルバーノ……ふむ」


「? 何か?」


「いえ、何でもないわ」


 一応、アルバーノたちが買ってきた奴隷たち。


 褐色の肌で、美人が多いソーバーン族を確認したが、よし! 大丈夫!!


 地雷なし!! よし!!


「じゃ、最後の買い物に行きましょうか」


「「「「「お任せください。お嬢様」」」」」


 最後の買い物に行くぞ!


 うおおお!!!


「お嬢様。こちらが、モンスター素材市場です」


「ええ、そうみたいね」


 はい! やってきました! モンスター素材市場です!


 ミラージュ王国のメインストーリーにある、市場で! 多くの素材を取り扱う屋台が多くある!


 青空市場って感じの場所ね! 屋台も、結構カラフルで、力入れてたりするから! 景色もきれいだわ! はー!


「では、買いましょう。ドラゴンの骨を、あるだけ買い集めなさい」


「「「「「了解しました」」」」」


 ここでの買い占めは、ドラゴンの骨だ。


 これも、戦争で必要な物!


 できれば、ドラゴンの頭から尾まで、全部揃えたいが。さすがにそれは高望み。


 まァ、要所要所抑えて、あとは別の素材でキメラにするか。


 錬金術の応用で行けるし。コストも安くなるしねぇ。


 そう、現実的に考えていると!


「ドラゴンの素材か。一通りあるぞ」


「え」


 そう、声を掛けられたのである。


 声の主は、私を守る、メイドと兵士のガード。その外側にいる、店主。


 褐色の肌をところどころ露出させた、白い民族衣装を着て。


 細めの腕には、金の腕輪をいくつか身に着け! 


 腰には、大振りのナイフを差している!


 そんな、銀髪の青年!


 目が、黄金の! 銀髪褐色の美せいね……。


 え。


「? どうした?」


 イイエ。何でもないです(片言)。


 まじかよ、おい。


 出会っちまったなァ。


 大人気・地雷キャラと(白目)。 

 

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