第9話 小物たちが遊んでいるところに、本職を送り込む。悪逆非道の悪役令嬢


「では、カードを配ります」


 ディーラーに読手、配られるカード! 


 全員に五枚配られたそれで、役を作って勝負るのがポーカーだ。


 ええ、分かったかもしれませんが、この世界のポーカーは、ファイブ・カードですわ。


 前の世界の日本や、西部劇のカウボーイたちがやってたポーカーの方。


 世界的に有名なテキサス・ホールデムではありません。


 っで。


「これは、勝ちましたね! 1億ゴールド!! ベット!!」


 カードを見た大公夫人は、自信ありげに大きく賭け! 1億ゴールド!


「!? い、1億!? 無理だ降りる! フォールド!!」


 大公夫人の彼氏のドグマーは、びっくりしながらフォールド。


 この場合、同じく1億賭けるか、それ以上の額を掛ける(レイズ)をしないとゲーム員参加できないので。降りたって感じ。


「私は……やろう」


 大商人のイワンは、1億をかけて勝負。


「おりまーす」


 その娘の、金髪ツインテール・イブは、フォールド。


 この二人は親子だし、商人だから、普通に組んでると思う。


「……コール」

 

 ドグマーの元カノである、紫ドレスのメアリーは、ちょっと考えてから1億コール。


 まァ、アメリア大公夫人に勝負賭けてるのに、降りたら負けた気がするからだろうが。


 それでも、よく1億持ってるな。


 他の二人も雇ってるし、財源どこだ???


「コール!」


 んで、メアリーにやとわれた、小太り医者・ギャンブラーは、1億コール。


「んっほおおお~~~!!! ぽっぽおおお~~~!!!」


 その同類の、鎧と剣を装備している自称将軍も、コール。1億賭け。


 こいつらも謎に金持ってるな。資金源どこだ。


「コール」


「……」


 そして、私の代打ちであるマンジェル伯爵と無口のイケメンは、1億コール。


 席に座ってるのはマンジェル伯爵で、後ろにイケメンがいるスタンス。


 ……ゲームでよく見た、死神スタイルだ。


 そうだよね。皆、顔の良いイケメンをチラチラ見るよね。


 大公夫人やメアリー。イブも見てるもん。


 で、そんな女州の影響で、男衆も彼を意識せざるを得ない。


 それが第一の罠とか、ホントさー。


 ヤバいわ。マジで。


 と考えていると。


「では、ゲーム参加が決ま島理たので、カード・オープンです」


 こうして、ゲームの参加者が決まったので、さっさとカードを見せるわけだ。


 今回はみんな手がよかったようで、手札の交換はしなかったが。本来は賭ける前に、1回出来て、それから掛けるか降りるか決められる。


 今回は、そのまま言ってるので。皆強いかもね。


 っと思った私の推理通り!


「ふふふ! Aのフォーカードよ」


 1億賭けた大公夫人は、フォーカード! しかも、Aのだ!


 なかなか強い!!


「うぐ! す、スリーカード」


 同じく1億の大商人のイワンは、Kのスリーカード。


 普通に強い部類だが、この時点で大公夫人に負けてる。


「っぐ! ストレート!」


 メアリーは、56789のストレート。


 大公夫人の勝ち。


「ぐむぅ。フルハウス」


 小太り医者・ギャンブラーは、3三枚に2ペアのフルハウス。


 大公夫人の圧勝。


「2ペア! ぶへへ!」


 自称将軍は、2ペア。


 帰れ、お前。


「では、私ですな。私は、これです」


 そして、マンジェル伯爵の手は。


「ロイヤルストレート・フラッシュです」


「「「「「!? え!?」」」」」


 ヒュー! 初めから飛ばしてるぅぅう!!!


 全員、騒然! へへへ!!!


 うん! そりゃあそうよね!


 最後の最後に、ロイヤルストレート・フラッシュで勝たれら、そりゃあそうなりますわ!!


 ファーーー!!!WWW

 

「マンジェル伯爵の、勝利です。掛け金が、マンジェル伯爵に移動します」


 ――ジャラララ!!!


「どうも。どうも。いやァ、5億ですか! 壮観ですなァ!!」


 ええ、そうね。


 伯爵のテーブルを埋め尽くすコイン!


 5億ゲットの金貨の海!


 すごいわ~! はあああ!!!


 そして、同じくらい!

 

 すがすがしいほどの詐術!!! 


 いいわねぇ! へへへ!!!


 うん。今の勝ちも、当然詐術である。


 魔法を一切使わない、イカサマだ。


 それを、どうやったのか?


 次のゲームで解説しよう。


「す、少し気分が悪いので、出てきます」


「私もー」


「ぼ、僕も。外の空気をすってくるよ」


「あらそう? 大丈夫?」


「あ、ああ。君は平気?」


「ええ、全然! むしろ燃えてるわ! あと1000億は戦えるわよ!!」


「せ、せんお!? う!」


「あら、お腹抑えて行っちゃったわ。トイレかしら?」


 はい、商人のイワンが青い顔して退場。娘もしれっと逃げてるので、多分全財産使い果たしたかな?


 ご愁傷様。


 もう二度とカジノには戻ってこないだろう。南無。


 んで、まだやる気の一行に、ドン引きみたいな感じのドグマーも、降り降りの降り。


 おそらく、最低1億の高額ゲームのストレスに耐えられなかった模様。


 君、マネーゲーム向いてないよ。


 やめたら?(最高個人資産・1500億の女感)


「では続行よ! カードを」


「は、どうぞ!」


 ――ジュパパパ!!!


「ふむふむいいカードね」


「むー」


「どうするか」


「北北西に進路をとれ!!!」


「さてと」


 これで、大公夫人、メアリー、医者、軍人、詐欺師の勝負となった。


 っで、カードが配られたので、詐欺師を見よう。


「ほうほう。こういう感じか」


 まず、詐欺師のカードは、てんでバラバラ。


 クソ雑魚底辺ですね。これは勝てない。


 なので。


 ――キング・メイカー! 発動!!!


 ――ドッシュゥゥう!!!


 っで、出たァァあ!!! 詐術奥義が一つ! キング・メイカーだァァあ!!!


 わあああ!!!


 説明しよう!! キング・メイカーとは、手をカードにこすりつけ、その摩擦でマークを取り! 手の動きと熱で、5枚のキングの絵柄を作り!!!


 それを、再度カードに! こすりつけて! 


 ファイブ・カード・キングス!!!


 ロイヤルストレート・フラッシュに勝てる、超絶強い役を完成させる技である!!


 はい!!


「ファイブ・カード・キングス!!」


「「「「「!? うおおお!?!?」」」」


 勝利ィィい!!!


 作られた王! フェイクの王たちで、勝ったァァあ!!!!


 イエーーー!!!


 これですよ! これ!


 これが、キング・メイカー!!!


 慣れれば何でも作れる!!


 詐術の王ですよ! ええ!!!


 いやー、懐かしい! 私もゲームで彼に弟子入りし、やったことあるわァ! 


 これ極めると、マジでカジノが貯金箱になるのよね。


 商売や国家運営編で、お世話になりました!!!


 ちなみに、この技がばれることはほぼないです。


 なぜなら、この世界のトランプって、一組のカードでやるんじゃなく。複数のカードを入れてるから。


 故に、キングやエースが増えても、まずバレないんだよなァ。


 なので、あ! 出た!


「5ジョーカー!!」


「「「「「!?!? ええええ!?」」」」」


 はい! 最強無敵のクソ技ァァあ!!!


 全部ジョーカーで、最強です!!! 


 これも疑われません!!! 普通に勝ちで、金が払われます!!!


 マジで強い! 


 ぶっ壊れだわ!! ええ!!


 ヒューーー!!!


 というように!


 そんなチート級の技をつかう詐欺師たちに! 他のメンバーが勝てるわけなく!!!


「ああ、負けましたわ~! いやー、強い!」


「ががが!!」


「ぐぐぐ!!」


「ぎぎぎ!!!」


 全員大負け!!


 タダでさえ強いキング・メーカーに加え! カードのすり替えや、ブラフという別の技・技術!


 そして、無口のイケメンがトイレに行く振りして、ディーラーが配るカードに細工し! 皆のカードが2番目に強い役にして! 掛け金を釣り上げ! 


 マンジェル伯爵が最強の役で狩り! 総取りする!!!


 そんな、容赦ない最強プレイで、マンジェル伯爵の完勝!! 


 300億ゴールドを得たのであった!!!


 ウイーーー!!!


「っち、今日はここまでよ。帰るわ」


「わ、私もですな」


「勇気の撤退!! 後ろに前進だァァあ!!!」


 その敗北で、流石に資金が尽きたのか。


 メアリー、医者、将軍が、テーブルを去り。


「私はまだできますが、ドグマーが心配なので。お開きですわね」


 まだ余裕がある大公夫人であったが、青い顔しているドグマーが心配でゲームを終了! 


 このカジノはホテルもあるので、そこに泊まることにしたらしい。


 って、あれ?


 その話どっかで聞いたことあるような……。


 ……あ。


 ああ!


「では、サーシャ様。こちら、200億です。お納めください」


「コクコク」


 と、ちょっと衝撃的な展開を思い出していると。


 勝ったマンジェル伯爵から、200億返された。


「あら、ありがとう。いただきますね」


「ええ、ご期待に応えられて良かったです。しかし、なぜ私たちを知っているのでしょうか? どこかでお会いしましたかな?」


 ふむ。


 ゲームで知ってますよ。とは言えんが。


 ま、いいか。


「知ってますよ。あなたが、詐欺師であること。その青年が口がきけない契約を悪魔と結んだこと。フランシーヌ国王を殺したがっていること」


「そして、彼こそが、10年前に王家から追放された。先妻の産んだ王子」


「フランシーヌ正統後継者、ユーデウス・ヴィ・フランシーヌ殿下であることも」


「!?!?」


「な、なぜそれを!?」


 ゲームクリアしたからですね!(笑)


「侯爵令嬢ですから。色々とね?」


「さ、さようですか」


「っで、まァ知ってるでしょうけど。私、近々王家をぶっ殺そうとしてるのよ」


 ここはぶっちゃけていきましょう。


「え、ええまァそうですね。スパール人も買い上げたと聞きましたし」


「それでね。勝てば、我がロレーヌ侯爵家が王となるでしょうけど、なんならユーデウス様を王にしましょうか? ロレーヌ家は後ろ盾となります。まァ、口がきけない悪魔の契約がるので、うちが摂生になりますが」


 さァ、どうでる?


 ユーデウス様?


「ブンブン!!」


「いえ、それには及びません。首を振ってノーと示した通り、殿下は王になる気はありません。ただ、王家を追放され、失意のうちにお亡くなりになった。先代王妃の無念を晴らしたいのです」


 なるほど。知ってる通り、王になりたいんじゃない。


 復讐をしたい復讐者か。


「そうですか。それは失礼しました。

では、殺したいのは王ですか? 今の王妃ですか?」


「「!!」」


「決めてないなら考えていてください。どちらかの首は、できれば私がほしいですが。

まァ、私は最悪ワイリー王子の首でもいいですよ。2度も負けて、価値があるかは微妙ですが。王族であり、戦犯にはまちがいないので」

 

 ここは、要望を知りたいね。


「あー、そ、そうですな。いや、まさかこうなるとは思ってなかったので。後で殿下と話して決めましょう」


「コクコク」


「ええ。そうして下さい。

ちなみに、先代王妃様を罠にかけて追放し。暗殺者を雇って殺したのは、今の王妃。ワイリー王子の母親で、その証拠や暗殺者を消したのが、国王です」


「「!?!?」」


 ゲーム知識で爆弾を投下するの! 楽しいいい~~~!!!


 ちなみに、ゲーム知識ではなくても確証はある。


 まだワイリー王子(笑)と私が付き合っていた頃に。『余の母は、自力で地位をとった!』『実力の王妃だ!』『余に逆らえば、母上が黙っていないのだよ!』という話を何度も聞いているし。


 酔った今の王妃が、『王子を生んだ!? 信じられない』『殺して!!』と言っていたことを。王子のメイドたちの噂話ネットワークで、リザが把握しているので。


 まず間違いないですわ。ええ。


「直接の仇は、王妃ですね。

殺すなら、放って来る氷魔法を防ぎ、心臓を刺し殺す。レイピアで挑みなさい。

全身を刺して、血だるまにし、殺せますよ」


 ゲーム知識ですが、たぶん行けるでしょう。


「……」


「あの、なぜそのような極秘情報を? というか、え、本当ですか?」


 ゲームクリアしてるので。とはいえないので。


「ええ。本当です。一時期、ワイリー王子と付き合ったりしたときに、そういう話を聞きました。

 あと、天領権利書を用いていろいろとしましたら。そういう話も、色々と聞こえるので」


「あーーー」


 天領権利書とかいうジョーカー。便利だわ~。


 知らない情報持ってても、『天領の権利書』を持ってたってだけで、謎の説得力が出る。


 ありがてぇ。


「分かりました。考えておきます」


「ええ、では、さっさと逃げなさい。いまから、殺人が起きるから」


「え!?」


「!?」


 いや、私も、さっき情報を得た(思い出した)のだけどね。


 さっき集まったポーカーメンバーの一人が、死ぬのよ。


「だから、ここにいると疑いがかかるやも。お逃げなさいな」


「わ、分かりました! では! 失礼!!」


「コクコク!!」


 ええ、さようなら。さて。


 本当に今さっき思い出した、殺人事件。


 ゲームでは絶対に止められなかった事件を、止めに行くかァ!!


 そういう訳で。


「行くわよ。リザ。アルバーノ。恩を着せに行くわ」


「「「「「御意!!」」」」」」」


 私は、兵たちを連れ!


 動きだしたのであった!!


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