第8話 修羅場ですよ! 修羅場! 私まったく関係ないけど!!


「それでねぇ。彼ったら是非、カジノに行きたいって」


「いやァ。ははは! やはり、好きな女性にはカッコいい姿を見せたいしね」


「へー。そうなんですねぇ~(無心)」


 はい。誘われるままに、カジノに来ました。わたくしです。


 えー、誘ってきたのが私より下の身分なら、お嬢様パワーで断れたんですがァ。


 さすがに、大公夫人……夫は死んでるが、夫人……のお誘いは、断れなかったわァ。


 そうなのである。このイタリアーノの大公夫人。


 ボンキュッボンの30代美女である彼女は、夫が死んだあとは家を切り盛りするのに大変だったらしい(本人に聞いた)。


 しかし、最近出会った20代の青年。


 うん。彼女の隣にいる、ドグマーというのが、彼氏となって。


 毎日遊び歩いてるようだ。


 まァ、家のことしてて、人生楽しいし、合意の上ならいいんじゃね?


 ただ、他人である私を巻き込むことだけはノーセンキュー。


 やめてほしかったなァって。


 二人でデートしてるところに、他人を巻き込む必要があるんですかねぇ?(素朴な疑問)


 ま、いいや。


 こうなりゃ、適当に遊んで帰ろう。


「カジノですかァ。行くのは久しぶりだわ」


「そうだね! じゃ、思いっきり楽しもう!!」


「ええ!!」


 大公夫人とドグマーの目的は、カジノで遊ぶこと。


「いやー、カジノですか! いいですなァ! そういえばちょうどここに! カジノで運運! 良し良し! つきまくり! よしよし・リングという物を売ってましてぇ!」


「お値段、100万ゴールドでーす」


「あら、いいですわねぇ! 買いますわ!!」


「はい! 毎度ありがとうございますぅぅう!!!」


「ぼ、僕はいいかな」


「私もいりません(良く買えるな。そんな胡散臭いの)」


 私たちの周りにいて、世話係みたいに動いているが。


 実際は、大商人である金髪おじさんのイワンと、その娘のイブの二人は。


 夫人が金を落してくれれば、それでいいようだし。


 そして。


「そういえば、サーシャ様はかなりお金を稼いでましたね。カジノでも、大きく賭けるのですか?」


「いいえ、私は勝てるときに大きく勝ち。それ以外は、小さくがモットーですので」


「あら、意外と堅い戦法ですのね。気が合いますわ!」


「ええ、僕も分かります。それが勝つための基本ですよねぇ」


「商売にも通じますなァ」


「勝てるときにガッといく。それ以外は、ぎゅっと。商売の基本」


「「「「「うんうん」」」」」


 フランシーヌからやってきて、大金稼いで時の人となった私。


 この5人……正確には、私の護衛・メイド部隊・兵士部隊・執事たちが、周りにいるので、もっといるが。主要メンバー5人……が仲良くしているところを、イタリアーノの貴族や商人に見せたいんだろう。


 理由? 知らね。


 私はさっさと帰りたいんだ。


 くだらん理由を調べる暇があったら、適当に盛り上げてクールに去るぜ! ええ!


 てな訳で。


「さァ! カジノですわよ!! 遊びましょう!!」


「ええ、大いに楽しみましょう!」


「お供しますぞ~!」


「がんばれー」


 っと、カジノに到着し!


「じゃ、周りの事任せたわ」


「「「「「お任せください!!!」」」」


 適当に、遊ぶことにした。


「赤で」


 ――カラララ! カコン!


「!! 赤です! お客様の勝利!」


「「「「「『『『『『おおお!!!』』』』』」」」」


 ルーレットは、まァそれなり。


 勝ったり負けたりで、プラス100万ゴールド。


「えい、えい、えい!」


 ――777!!! 大当たりィィい!!!


 ――ジャックポットォォお!!! うおおお!!!


 ――ジャラララララ!!! ジャラララララ!!!


『『『『『「「「「「えええ!!!」」」」』』』』』


 スロットマシーンは、ちまちま。


 最後にボーナス当たって、プラス500万ゴールド。


「あら、また21ね」


「!! お、お客様の勝利です。どうぞ」


「「「「「『『『『『おおお!!!』』』』』」」」」」


 カードを引けば絶対21になるので。


 どんどん増えて、プラス1000万ゴールド。


 ……うん。


 なんか、めっちゃ勝ちました!!!


 フーーー!!!


「すごいです! お嬢様!!」


『『『『『「「「「「さすがです! お嬢様!!」」」」」』』』』』』


 いやー、どうもどうも。へへへ。


 しかし、すごいな。


 適当にやっても、稼げるわ。


 これが、悪役令嬢の豪運ってこと!?


 確かに、前世の記憶が戻る前にもカジノで遊んだことあったけど、ここまで当たったことはない!


 すごいわ、悪役令嬢!!


 凄腕ギャンブラーごっこし放題じゃない!


 楽しィィい!!! イエーーー!!!


 っと、豪運プレイを楽しんでいた。


 その時!!


「待ちなさい。アメリア大公夫人!」


「え? あら、あなたは」


「!? め、メアリー!?」


「久しぶりねぇ。ドグマー。私の元カレ! いい所であったじゃない。ちょっと遊びましょうよ」


「え、えっと」


「メアリーやめろ! 君とは終わったんだ! 何度も僕らの前に現れないでくれ!!」


「そうですぞ! 夫人たちに関わらないでもらいたい!」


「負け犬はどうぞあちらへ。ハウス」


「はん! 金が欲しいハイエナどもが! 忠犬ぶるんじゃないわよ!!!」


「そうですな。忠犬とは、我々の事を言う!」


「ズバリ! そうでしょおおおお!!! んっほおおお~~~!!!」


 なんか、知らん奴らがやってきた。


 誰ぇ!?(二度目)


「勝負よ! アメリア大公夫人!! ポーカーであなたに勝って、ドグマーをとりもろす!!!」


「っく! やるしかないみたいね!!」


「そんな! 夫人! メアリー! やめてくれ!!」


「これは稼げる予感!」


「張った張った!!」


「ふふふ。我々は、メアリー嬢にやとわれたギャンブラーのプロ。逃げるなら今のうちですぞぉ」


「死ぬが良い!! んっほおおお~~~!!!」


 なァにこれぇぇえ~~~。


 いや、ほんとどういう状況だよ。


 なんで、ポーカー・テーブルでバチバチになってんだよ。


 なんで、大公夫人の彼氏の元カノが、自称医者でありギャンブラーの小太りおっさんと、自称将軍でギャンブラーの変な爺を連れてきて。


 彼氏と金を掛けた、賭けバトルになってんだよ(困惑)


 そして、なんで私も参加させられてんだよ!!!(憤怒)


 そこが一番わけわからんわ!!!


 帰りてぇぇえ!!! あああ!!!


 っとマジで思って、他所のテーブルを見ると!


「ははは! 今日はついてたようで!!」


「コクコク」


「あ」


 いたよ! 救世主!! 


 この地獄をナパーム弾で弾き飛ばしてくれる!!


 救いの死神が! いたァァあ!!!


「少し失礼。友人がいましたので」


「え」


「あら、そうなの? サーシャ様のご友人なら、是非ご挨拶したいわ!」


 そうですね。では、呼んできます(暗黒微笑)。


 そういう訳で、私は席を立ち。


「失礼。ちょっといいかしら、マンジェル伯爵」


 小太りの貴族風な男と、無口な背の高い青年に。


 声を掛けたのだ!!


「はい? って、え! さ、サーシャ侯爵令嬢様!?」


「!?」


 おお、凄い。


 声で私に気付いて、席を立ち。膝をついた臣下の礼をしてきたぞ!!


 なんてスムーズな流れにして、ド派手なパフォーマンス!!!


 流石は、天才・詐欺師! 二人組! 


 ゲームでは、主人公の敵となって、金を奪う! 凄腕詐欺師たちですわ!!!


「え」


「なんだあれ?」


「え、何が起こったの?」


「え、ええ?」


 ――ざわざわざわ!!!


 もう、カジノ全体の空気を掴んでるものね。


 大公夫人や、元カノ。そのお付きの連中も、臣下の礼をする詐欺師たちと、それを受ける私の空気感に、圧倒されてるもん。


 乱すは、相手の心から。


 心に付け込め。


 誰が言ったか忘れたが、それで考えれば、彼らは既に全員の心を乱してる。


 詐欺が始まってますね。素晴らしい!!!


「頭を上げて。マンジェル伯爵。実は、こちらの台で、私の代わりにプレイしてほしいの」


「ほう。代打ちですか?」


 そうよ。


 私の代わりに、地獄でやってくれって言ってるの。


「少し疲れてしまってね。1億貸すから、思いっきりやってくださいな。あなたの腕、是非見たいわ」


「おお! そこまで我らを買っていただけるとは!!」


「!!!」


 あ、通訳します。


 私は今、『1億あげるから、皆殺しにしてほしい。詐術を使って、全員の金を食ってほしい』と要望しました。


 それにマンジェル伯爵は、『あ、詐欺師ってこと知ってるんですね。それでやれと。りょ!』って返事。


 これで、契約はなりました!


 では!


「分かりました! お引き受けしましょう!」


「ええ、頼みますわね」


「コクコク」


 私の代わりに、席についてもらい!!


 虐殺スタートと、いきましょうか!!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る