第5話 悪いことしましょ♡


「あああ~~~♡♡♡ 気持ち良い!」


「ええ、本当に気持ち良いですね! お嬢様! んふふ~~~♡♡♡」


 メイドのリザと一緒に船に乗り、潮風を楽しむ!


 いい風だわ~~~♡♡♡ あああ~~~!!!


「お嬢様。軽食の準備が出来ました」


「あら、ありがとう。アルバーノ。あ、サンドイッチ!」


「では紅茶を入れますね!」


「ええ、お願いね。リザ」


 私付きの執事。アルバーノが、料理を持って来てくれた。


 船の上でも食べやすいサンドイッチ! 具はチーズとハムのシンプルなの!


 それに、リザの紅茶!! いれたての奴に、ミルクを入れた奴!!!


 これこれ! こういうのがいいのよ! はむ! おいしい!! ミルクティーも、おいしい!!


 優雅なクルージングですわねぇ! ヒューーー!!!


 しかし。


「なんで、海賊の旗つけちゃだめなのよー」


「ダメです。襲われますよ」


「そうですよ! やめてください! お嬢様! 危ないです!」


 っちぇ! カッコいいのに!


 まァ、いいわ! いつか絶対海賊旗を、大海原にはためかせて見せる(断固たる決意)!!


 あ、ちなみに、アルバーノはリザの父親だ。


 しっかり者でも頭が固い所のあるアルバーノと、抜けてるが柔軟なリザ。


 いい従者たちだと思う。


 付けてくれた父上に感謝ね。


 っと思いながら! 


 さっきまで船上・筋トレや、レスリングしてた体に!


 栄養をいきわたらせていると!


「!!! モンスターだァァあ!!! 3時の方向から、鯨モンスターだァァァ!!!」


「!!!」


 モンスターを見たと! 船員が報告したので!


「アルバーノ! 全体に指示! 船に積み込んでた酒樽を、投げ込みなさい!!」


「はは!! 全員に厳命します!!」


 船に詰め込んだ酒を! 海に投げ込むよう指示!


 その結果!!!


「投げ込め! 投げ込め! 惜しむな!」


「酒樽投げろ! よーしよし! って、おお!?」


『ブワァァあ~~~♡♡♡』


「く、鯨が! 浮いてきた!!」


「鯨モンスターが、酒によって浮いてきたぞぉぉお!!!」


「「「「「『『『『『おおお!!!』』』』』」」」」」


 狙い通り! 酔った巨大クジラが浮かんできたのである!!


 これを待っていた!!!


「今です! 狩りなさい!! 肉を切り分け、残ってる酒樽に漬け込みなさい!!」


『『『『『「「「「「は、ははァ!!」」」」」』』』』』


 すかさず、全体に指示!!


 その肉を切り分け! 残ってる酒樽の酒に漬ける!!


 すると!


 ――鯨モンスターの酒付け肉! 完成!


 そう、アナウンスが頭で成り!


 商品ができるたのでしたァァあ!!!


 よーし! よし! ここはゲーム通り!!


 うん! 実は、この商品が出来ればいいなと考えて、大量の酒を買っていたのよね。


 まァ、できなければ売るだけだったけど。でも、作れたのは、マジでデカいわァ! 


 イエーーー!!!


 じゃあ!


「もっと作りなさい! モンスターを見つけ、酒を投げ、狩って漬けるのよ!」


「ボーナス弾むわ!!! やったれぇぇえ!!!」


「「「「「『『『『『うおおお!!!』』』』』」」」」」」


 できることがわかったら、作りまくるのみ!


 やる気アップの魔法! ボーナスも使用して、船員たちの士気を上げ!!


 ドンドン狩って、ドンドン酒漬け肉にするよう!


 いいまくったのでしたァァあ!!!


 稼ぎ時ですわァァあ!!! オーッホッホッホ!!!


「えっと、お嬢様。その、このモンスターの酒漬けが、どういう???」


 おや、アルバーノには、よくわからなかったようね。


「申し訳ありません。理解が追いつきません。できれば、説明が欲しいです」


 ふむ。


「!? うっま! これ、うっま! なんですか、これ!? え!?

酒漬けクジラ肉って、こんなにおいしいの!? すっごおおお!!! 

これは売れますわァァあ!!! っはあああ~~~!!!(納得)」


 娘のリザは、酒肉をちょっと味見して、美味しさに感動してるわよ。


 あなたも、あれくらい柔軟でもいいのに。


「いえ、あれはあれで必要かもしれませんが、私はあとでシャルル様に報告しないといけないので」


 あー、なるほどね。


 父上に理解できるよう、理論的にしないといけないわけか。


 手段と、狙いをねー。


 うん。いいわ、教えてあげる!


「ありがとうございます」


 ええ、っで、ぶっちゃけるんだけど。


 この酒肉はまだ完成してないの。もう一工夫いるのよ。


「「え」」


 そう言った私の言葉に、アルバーノがマジの困惑の声を上げ。


 リゼは、もっと美味しくなるんですか!? っと、歓喜の声を上げた。


 その時!!


「!!! み、見つけましたァァあ!!! お嬢様! 例のもの! 見つけましたァァあ!!!」


「!!!」


 そう兵士が叫んだのを聞いた瞬間、私は船長室を飛び出した!!


「「!? お、お嬢様!?」」


 驚いて後を追うアルバーノとリザには申し訳ないが、マジで重要なので急ぐ!


 船の甲板を走り! 声がした船へと、飛ぶ!


 ドンドンを鯨を倒して、加工している船を飛び越し! 目当ての船!


 後ろから2番目にいる、船のマストへと着地した!


 っで!


「どこに!?」


「!? お、お嬢様! これです! 3匹目のクジラを捌いたら、胃の中にいました!!」


 そう、私に驚きながらも、報告してきた兵士の手には! おお!!


 ――ピカピカ。ピカピカ。


 弱っているが、点滅する光!


 この金策で、絶対に必要なもの!!


 私が絶対に欲しがっていた、最後のピースが! そこにはあったのだ!!!


「でかした!! 回復魔法!! ポーションを持て!!」


「は、はは!!」


「兵士諸君と船員諸君! 全員の功績だ! 金一封を約束する!!」


「「「「「『『『『『は、ははァァあ!!!』』』』』」」」」


 部下の功績には報いる! 当然ね! ええ!


 じゃ、魔法を掛けてポーションの瓶の中に入れた! 光2体は、お!


「……う~ん?」


「あれ? 生きてる? あれ~~~???」


 蘇ったァァあ!!! フーーー!!!


 ひとまず、成功ね! ええ!!


「お、お嬢様!」


「追いついたー! もう、早いですよー! って、なんですか、それ?」


 私に追いついたアルバーノとリザが、質問。


 ああ、この光ね。これはね。


「海の妖精。水の精霊よ」


「「え」」


 そう、『精霊信仰であるアルバーノとリザの親子』に。


 ポーションの中に入った光たちを見せると!


「「?!!? わあああ!!!」」


 めっちゃ感激して、声なき歓声を上げていた。


 ははは、会えてうれしいのは分かるけど、すぐに仕事をしてもらうからね。


「あ、はい! え?」


「し、失礼しまいした。お見苦しい所を……え、仕事?」


 そう。精霊は、助けてくれた人間に仕え、助けてくれるでしょ?


「ええ。まァ」


「助けた人間が精霊の巫女となり、お互いを助ける。精霊信仰の一番有名な話ですな」


 そうね。ゲームでもそうだった。


 それを利用して、戦ったり、金策したりと、良くやった者よ(しみじみ)。


 でも、それはゲームの話。前世の話。


 今世の私は、精霊信仰じゃないから、精霊様もやりにくいと思うの。


 だから。


「リザ。あなたが精霊様を使役し、お使えする。精霊の巫女になりなさい」


「「え」」


 それで、お酒を奉納。


 お返しに、肉を付けてるお酒のレベルを上げてもらって。


 そうすれば、精霊様にも最高級・酒漬け肉をお供え出来て、皆ハッピーだから。


「わ、分かりました! やらせていただきます!!」


「!? リザ!? お前、事の重大さが分かっているのか!? 今お嬢様は、物凄い大役を辞退されて、お前を推薦されたんだぞ!?」


「? そうですよ。父上。だから、頑張るんじゃないですか! お嬢様の期待に応え、精霊様にお仕えしますよ!! 大変名誉なことです!!(えっへん)」


「……確かに。何も問題ないの、か? いや、しかし。おほん!

その、少々私も興奮と混乱で、よくわからないことになっていますが。

いいのですか? お嬢様は。精霊の巫女は、かなり名誉ある事ですが、辞退されて」


 いいのいいの。私、巫女って感じじゃないし。


 むしろ、加護だけほしい罰当たり人間だからねー。


 そういうのが巫女になるのは、いかんでしょ。


「えっと、その……」


 ふふ。ごめんなさい。


 たとえそうでも、あなたの立場で『主である私を糾弾することはできない』わよね。


 今のは、私が意地悪すぎたわ。


 ごめんなさいね。


「いえ、お気になさらず。私も、主が良いというのに、何度も確認する無礼をしました。お許しください」


 じゃ、これでおわいこで!


 これからは、私の目的の話をしましょう。


「ありがとうございます」


 といっても、大それた話じゃないわ。


 巫女は、リザがすること。


 そして、精霊様からのお返しで、最高級・酒漬け肉を作りたい。

 

 それが、私の狙い。


 この大海原に出て、モンスターを狩る理由よ。


「……早速ですが、無礼をお許しください。

その、お嬢様の話を聞くに、最高級酒漬け・鯨肉を作り、売るのは分かりました。しかし」


「なにやら、裏がありそうに思うのです。その、娘を精霊の巫女にしてくださるのは本当にありがたいのですが。何か、さらなる計画が、あるのでは?」


 ……やはり、あなたは頭がいいわね。アルバーノ。


 ええ、そうよ。さらなる計画があるわ。


 それには、精霊の巫女が必要。


 つまり、リザをがっつり巻き込むことになる。


 でも、安心して。


 あの子と精霊は、危険には晒さないから。


「そこはお嬢様を信じておりますので、一切疑っておりません」


「私もです! ご命令とあらば、何だってできますよ! へへへ!!!」


「……ですが、分からぬことをそのまま旦那様に報告するのも、良くありません。

なので、お嬢様の計画をご教授願えないでしょうか?」


 いいわよ! じゃ、あとで一緒に見て、学びましょ!


 大金を稼ぐ、詐欺って奴を教えてあげるわ!!


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