第4話 悪役令嬢は、海に飛び出す


「ファイト! ファイト!!」


「「「「「ファイト! ファイト!!」」」」」


 はい! 柔軟に、ラジオ体操! 


 それが終われば、飯! 


 次は、筋トレ、インナーマッスル鍛錬! ロードワーク!


 終わったら、ご飯!! お菓子!!


 次は、船の上でのボクシングや! 相撲! 柔道! 


 終わったら、料理! お菓子!!


 次に、システマの呼吸とマッサージ! 


 終わったら、料理! お菓子!!


 次は武器を持っての、船上訓練!!


 そして、飯!!!


 っと、色々教えこんでるわ!!!


 フーーー!!!(まんぷく)


 ええ、良い感じにできてるでしょう!!


 これでも文武優秀で、学園では主席でしたのでね! 指導もできますわよぉ!


 オーッホッホッホ!!!


 ……っと言いたいところですが。


 逆に言えば、私がここまでしないと『王との戦争に勝てない』。


 それくらいに、兵の実力が低いことを示しています。


 なぜかというと。


「しかし、お嬢様は奇妙な訓練をするな」


「ああ、腕立て、腹筋、背筋、スクワット、ストレッチ。あんなの初めてだ」


「柔軟やラジオ体操も聞いたことないぞ」


「ロードワークなんて初めて知った。あれって、囚人を走らせる罰じゃないよな?」


「お嬢様もしてるし、意味はあるんだろ。それよりも……」


「「「「「まさか、訓練の合間に飯や菓子が食えるのにびっくりだ!!」」」」」


 っと、訓練兵たちが言っているように。


 実はこの世界。柔軟も、筋トレも、ロードワークもないの。


 もっと言えば、訓練の間に飯を食べて、体を作るって概念がない。


 前の世界のスポーツや軍隊では、トレーニングや訓練の間に飯をドンドン食って、体をでかくするってのが、常識だったけど。


 その考えがないから、体が大きくて、力のある体系の人がほぼおらず! 


 ほとんどが、『筋肉のない、がりがりの細い人』が、圧倒的に多いのだ。


 ……まァ、中世ファンタジー世界だから、食うに困って痩せていると言われたら、否定できないけれども。


 それでも、この状態で戦って勝つのは厳しいだろう。


 だから、稼いだ金で食料や酒をめちゃくちゃ買い込み!


 訓練と訓練の間に食わせてるんですよ!!


 相手の国王の兵も同じガリガリだろうから。こっちの兵を大きく、強く育てれば。勝てる確率は上がるから!


 それを見越してやってるんです! えっへん!!


 …え? 技術も教え込まないとだめなのかって?


 はい、そうです。


 戦闘技術も、剣・槍! 振り回してかつ! 盾! 守る!! という、技術も何もないから。少しでも教え込めば、勝率は上がるはず。


 生き残った兵士が、私を守り、経済を回し、領地を育てますからね。


 そういう意味でも、勝って生き残ってくれ。マジで。


 なお、その戦争において、主要貴族は別扱いとする。


 理由は、ゲームの時から主要な貴族には武術が豊富だったから。


 モブ貴族は、兵士・冒険者・私兵と同じく、ワンパターン・モーションだったが。


 名前蟻の貴族には、豊富な武術・魔法が実装されてたからなァ。


 相当強いと思う。


 ぶっちゃけ、育てた平民の兵じゃ、勝てないだろう。


 それくらい、差がありすぎる。


 なので、そいつらと戦うのは私の役目だ。


 うちの平民部隊が相手の平民を倒し! 私が貴族を殺す!


 それができるよう、毎日訓練し! 飯を食い! 体と技術を育てているのだ!!


 そして!


「よーし! 訓練ここまで!」


「「「「「ありがとうございました!!」」」」」


「いやー、しかし! 訓練の効果! 凄いな!」


「ああ、そうだな! まさか俺らの体が! こんなデカくなるなんて!」


「ムン!」


 ――腕の筋肉! ボッコォォお!!! 岩みたいな力コブ!!


「っは!」


 ――背中の筋肉! 盛り盛りィィい!!! バルク! バルク! いいよぉ!!!


「せいや!」


 ――腹筋! ムキムキィィい!!! 鋼鉄のマッスル!!! フン!!!


「「「「「うおおお!!!」」」」


「今じゃ、皆! 筋肉ムキムキのガタイの良い戦士だからな!」


「ああ! このまえ演習でオークに体当たりしたが! オークが消し飛んだぜ!」


「俺も、両手で家を持ち上げたよ!」


「俺なんて、槍で熊を倒したぜ!! しかも、3体貫通で!」


「狼に噛まれても、傷一つ! 突かなかったからなァ!!」


「んだんだ!」


「確実に強くなってるよな! 俺達!!」


「ああ、全てはお嬢様のトレーニングのお陰だ!!」


「感謝してもしきれねぇ!!」


「最高だぜぇぇえ!!!」


『『『『『「「「「「ウイーーー!!!」」」」」』』』』』


 その成果は、出た!!


 訓練&飯の、1週間後には!


 私の護衛兵士たちが、驚きの大変身!!!


 全員骸骨のようなガリガリから、オーガのようなたくましい肉体と! 覇気に満ちた顔で!


「っしゃァ!! 剛力斬!!!」


「ブーメラン・アックス! そいや!!」


「空手正拳突き! 五連撃!!!」


「呼吸法! 五月雨突き!! っはァァあ!!!」


 っと、技を使っているのである!!!


 ああ、ついに実った! 


 船の上でも、全く重臣がぶれず! 斬り合いができる! 


 攻撃の威力が、断然違う!!


 つよつよ平民兵が、出来上がり!!!


 よーし! これで、次の作戦ができるぞぉ!!!


 そう!


「帆を張れ! 海へ!!」


「海賊稼業! スタートですわァァあ!!!」


「「「「「『『『『『ウイーーー!!!』』』』』」」」」」


 金と力を手に入れる! 


 海賊作戦! 開始ですわァァあ!!! 


 オーッホッホッホ!!!


 *尚、私はまったくスタイル変わりませんでした。


 *その変わり、魔力量が倍以上に。


 *魔力筋UPってこと???



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