7.これからの課題
仕留めた熊をもぐもぐする。
あ、もぐもぐと言っても捌かないで熊そのままなのでグチャグチャとかブチッとか壮絶な音が聞こえてきます。
人化してそんな事をしていると相当猟奇的な光景になるので今は龍に戻ってますが。
初めはそのまま食べようとしたんだよね。
全然噛み切れなくて諦めたんだけど。
私の貧弱な顎の力じゃどう頑張っても無理だった。
まあ私の低すぎる物理じゃそんなもんだわな。
もう翼腕以外の全身の筋肉が人並み。
龍の利点とか欠片もなかった。
ごくん。
ごちそうさまでした。
骨だけを残して綺麗に平らげた。
南ー無ー。
さて、食事も終わった所でこれからの事を考えますか。
まず、これから私は強くならなければいけない。
目標はあのいけ好かないイケおじをぶっころがせるレベル。
ただ、多分というかほぼ確定だけど、イケおじの上にもう一つくらいは何かいそうなんだよなー。
だってお母さんを直接殺したやつは「依頼があった」と言った。
もしかしたらイケおじが依頼したのかもしれないけど、自分達の一番お偉いさんからのは「依頼」なんて言わないと思う。
命令とか指示とか。
そこから考えるに、ギルドに光龍討伐を依頼した人物は必ずいる。
その人物がどのくらい強いのかはわからないからなんとも言えないのが辛いところだ。
イケおじより強いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
まあわからんことを考えても仕方ないか。
当面の目標はイケおじにリベンジする事。
その手段だけど、一つは言った通り戦い方の研究。
それも魔法の使い方を工夫するという事で方針は決まっている。
目指す所は息をするように魔法を使うこと。
何かしながら魔法の構築を練習するのがしばらくの方針かな。
で、二つ目。
正直これはかなり危ないと思う。
あの謎男に教えられた龍玉を食べる方法だ。
いや、これが一番早く強くなれるだろうなーとは思うのよ?
ただ、結構問題点が大きい。
まず、他の龍を殺さなくちゃいけないということ。
今世の私は龍で、他の龍は同族だ。
つまり例えるなら人間が人間を殺すという事で、それって結構ヤバげな……あ、そうでもないか?
まさか龍が龍を殺しちゃダメって法律がある訳でもないだろうし。
復讐をする為なら何でもする気の私にとってそこまで忌避する理由でもなかったわ。
それはノープロブレム。
ただ、問題はそれだけじゃない。
私、他の龍がどこにいるか知らんし。
龍ってどんな所にいるの?
この3年間私たち以外の龍見た事がないんだけど?
謎男はこともなげに龍玉をポイッとしたけど、実際そんな簡単じゃないでしょ。
で、よしんば居場所が分かったとして私で勝てるのか?って疑問もある。
私が見た事ある龍と言えば、お母さん以外にない。
今になってもそのお母さんに勝てる気がしないんだから、もし龍の平均レベルがそのくらいだったまず勝てない。
ま、お母さんほど長生きな龍はもうほとんどいないらしいし、謎男が投げた龍玉も若い龍の物って言ってたし多分大丈夫だとは思うんだけどね。
んじゃま、魔法の練習するかなー。
熊の骨はその辺にポイしてまた飛び立つ。
まだこの森から出る気はないから、やっぱりひたすらぐるぐる回ってるしかないんだよね。
飛びながら魔法を使ってるのでそこまで余裕はないけど、ふとした瞬間に思う。
これおもんな。
だって景色変わらんしやってることも変わらないし全然変化がないんだもん。
変化があればいいのでは?
って考えてもアクロバット飛行に挑戦してみた。
限界ギリギリまで上昇してから、森の梢ギリギリまで下降してそこからまた急上昇。
スリル満点だよ!
その間も魔法を使ってたせいで、上昇中にまた魔法が不安定になった。
あっぶな。
下降中じゃなくて良かったわ。
ちょっとミスってたら間違いなく死んでたね。
そういうスリル求めてなかったんでちょっとご遠慮したいです。
まあ、飛ぶ練習にはなるでしょ。
よし、次はひねりこみだ!
アドリア海のトップになってやるぜ!
詳しくは知らないからただ体捻って空中宙返りしただけだけどな!
これくらいなら魔法を使いながらでも問題なくできた。
その後もアクロバティックな飛行をしながら魔法を使い続け、墜落しかけるのもそんなになくなってきた頃に日が暮れ始めた。
ん、そろそろ日が暮れそうかな。
龍だから夜目は効くけど、日が暮れると眠くなってくる不思議。
前世では夜更かし上等で平均睡眠時間2時間弱くらいだったんだけどね。
この体になってからあんまり夜更かしできないようになった。
不思議だなぁ。
ま、別に夜中までやろうとは思ってないからいいけどね。
昼間休んでいた窪地まで戻り、その中心に身を横たえる。
あ、晩ご飯食べてない。
まあいいか。
じゃ、おやすみなさーい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます