ホシホロボシ3

 好みの星を見付けてから三百年が経った頃、ノヴァはついにその星系に辿り着いた。

 星系といっても、そこにあるのは直径一キロもないような小惑星ばかり。恒星は未だ遥か遠く、惑星の姿すら見当たらない。

 此処は星系の最外周に位置する領域だ。小さな粒や小惑星ばかりが無数に、まるで卵の殻のようにある程度の厚みを持って展開されている。恒星の周りを小惑星などが覆う現象は様々な星系でも見られ、例えば太陽系の場合(ヒト文明ではまだ観測出来ておらず仮説としているが)オールトの雲と呼ばれるものが、太陽から〇・一〜一・五光年ほどの位置に存在している。恒星の重力と銀河全体から加わる重力が釣り合う場所のため、行き場をなくした小さな星や塵が漂うのだ。こういった場所を『雲』と呼ぶ事にしよう。

 一応この『雲』がある位置にも恒星の輝きは届く。しかしあまりにも遠く、故に光は弱々しい。流石にここまで弱いとホシホロボシのエネルギー源として物足りないので、もっと近付かねばならない。今のノヴァの代謝を維持するだけでも恒星から四千万キロ地点、成長するにはもっと近付く必要がある。

 具体的にはあと九兆五千億キロは進まねばならないが、ホシホロボシからすれば大した距離ではない。星系突入時のノヴァは秒速一万キロを出しており、このまま進めばヒトの暦に換算して約三十年後には辿り着く。

 だが、ノヴァはここで減速を行った。


【ピラッ。ビビララッ】


 四枚あるヒレの先端から、進行方向に向けて亜光速粒子ジェットを発射。これにより自身の速度を落とす。

 そしてこの時ジェットの噴射方向は、可能な限り星系の外に向けて行う。

 このため減速時は大きな弧のような軌道を描く。勿論わざわざジェットの向きを気にしなければ、真っ直ぐ飛びながら減速すれば良い。大きな旋回軌道を描けば、その分回り道となるため恒星に付くまでの時間が伸びる。

 では何故わざわざ旋回軌道を描きながら減速するのか。その理由は、ノヴァが更に進んだ先にある。

 本来ならば小惑星や塵しかないこの領域に、金属の塊が浮いていた。

 金属は全長百メートルほどの正方形をしており、側面には恒星の光を電力へと変えるソーラーパネルが(勿論恒星の方を向く形で)一枚設置されていた。恒星がある方を背とした場合、正面にはカメラがあり、付近をじっと観測している。側面には小さな筒状の突起物、所謂『砲台』が設置され、何時でも攻撃が行える状態だ。

 これは攻撃衛星と呼ばれるもの。星系へ侵入してきた存在に攻撃を仕掛け、可能ならば撃退、そこまで至らずとも侵入者の存在を報告する――――そういった役割を担う精密機械である。

 そしてこれは金属生命体でもない。知的生命体の手により製造され、宇宙へと放たれた人工物だ。

 ノヴァが辿り着いた星系・フェンスエスラには高度な文明が存在していた。この文明は宇宙に進出してから数千年が経過しており、既に『雲』がある領域まで進出している。限定的かつ片道数十年も掛かるが、電磁波を用いて他惑星と文化交流もしている、多星系文明でもあった。未だ星系間を渡るまでは至らないが、ヒト文明の数段階先まで発展している高度科学文明と言えよう。

 無論軍事技術もヒト文明以上である。この攻撃衛星が一機あれば、それだけでヒト文明の本拠地・地球は壊滅的な被害を受ける。現代人の兵器が原始人を容易く壊滅させられるように、数千年進歩した文明との力の差は歴然としているのだ。

 さて、ここで視点をノヴァに戻そう。

 ノヴァが大きな旋回軌道を描きながら減速したのは、衛星など文明的監視の目から逃れるためだ。恒星のある方とは、つまり文明の本拠地。このため亜光速粒子ジェットのように『不自然』なものを放つと、文明に発見されてしまう恐れがある。宇宙生物なんて珍しいと観察されるだけなら良いが、貴重な標本や実験動物として捕まっては、その生命は終わりだ。

 そしてノヴァのような幼いホシホロボシは、攻撃衛星を倒す術なんて持っていない。恒星間移動をしても尽きないエネルギーは内包していても、攻撃に使えるのは立派な尾ビレぐらいなもの。おまけに皮膚はそこまで頑丈ではなく、攻撃されればあっという間に貫かれてしまう。

 まともに戦えば、勝ち目はないどころか瞬殺されてしまう。ノヴァ自身はそんな知識などないが、そう動く個体が生き延びた事で、本能として的確な行動・習性が確立されたのである。

 頭を働かせるのは、安全を確保してからだ。


【ピラララララ……】


 自身から八百万キロ以上離れた位置に浮かぶ攻撃衛星を視認したノヴァは、素早く近くの小惑星に身を隠す。ノヴァは体長十六メートルもあるが、この一帯には無数の小惑星が浮かぶ。手頃な大きさのものを見付ける事など造作もない。

 身を隠したら、ノヴァは目だけを小惑星の影から出し(目が凸型をしているため頭を出さずに物陰から出せる。これもレンズ型の目の利点だ)、攻撃衛星の様子を見張る。

 ホシホロボシは確かに優れた知能を持つ。しかしその知能は文明的なものではなく、主に情報処理だ。機械やら文明やらは理解出来ない。そもそもどれだけ知能が高くとも、知識がなければ文明は理解出来ない。ヒトの中で最高峰の天才であるアインシュタインであっても、原始人と同じ生活をしていればその科学的発見は石器の作り方が精々であるのと同じだ。

 ましてやホシホロボシは『教育』なんてものをしない。生まれてからずっと虚無の宇宙空間を旅していたノヴァに知識などある訳もなく、彼女も攻撃衛星がどんなものかなど理解出来ない。

 しかし『危険』は察知出来る。攻撃衛星の内部に大きなエネルギーがある事、自分よりも遥かに大きな図体をしている事、如何にも攻撃的な砲台突起がある事……一つ一つに対する正確な知識はなくとも、それらを複合的に考えて相手の脅威度を算出。自分では敵わない相手だと判断した。

 危険な相手の前にのこのこと姿を表す事は賢明か? 無論、否である。仮に自分より弱い存在だとしても、ホシホロボシの幼体は極めて警戒心が強く、怪しい相手ならそれだけで身を隠しただろうが。

 とはいえこの後、逃げ出す訳にもいかない。ノヴァが目指しているのは攻撃衛星の奥にある、光り輝く恒星なのだから。この恒星を諦め、他の恒星に行くのも(体内のエネルギー量にはまだ余裕があるため)一つの手であるが……再び何百何千年という月日を移動に費やすのは好ましくない。それに逃げた先に文明がないとも、ここで出会った文明よりも発展していないとも限らないのだ。

 ホシホロボシは慎重な性格をしているが、それと同時に退く事を好まない性質でもある。ノヴァも逃げ帰る事はせず、フェンスエスラ星系の恒星へと向かう。


【……………】


 小惑星から小惑星へと、ノヴァは素早く移動する。

 ただ移動するだけでは、攻撃衛星が持つ優れたカメラにより捕捉されてしまうかも知れない。だがノヴァは文明に発見されないための性質があった。

 例えば黒い身体そのものが、迷彩として機能する。黒とはつまり光を吸収している色であり、宇宙空間のように何もない……反射する物体が極めて少ない空間では、景色と一体化しやすい。また体内の動きにより発生した電磁波も、黒い表皮が吸収してくれるため外に漏れ出る心配はない。内外の情報をシャットアウトする事で隠密性を高めている。

 更に噴射口から出ている亜光速粒子ジェットも、検出は比較的困難だ。亜光速で飛んでいく粒子は運動量こそ凄まじいが、数は多くない。またエネルギーは運動の形で存在しており、光などを外には出していないので理論上(重力波でも感知しない限り)発見は不可能だ。

 粒子がなんらかの物質にぶつかると崩壊時に光を発するため、これは観測される可能性があるが……ホシホロボシは本能的にこの現象を理解しており、噴射するジェットの角度を調整して亜光速粒子が近くの物体にぶつからないよう調整する。このため粒子が光を放つのは、ホシホロボシが意識していない遠くの流星など。光を観測しても、複数のデータを積み上げて居場所を推定する事しか出来ない。

 そして『長寿』という性質故に、前に出るタイミングを待つのが苦ではないのも隠密には役立つ。攻撃衛星の視線が移るまで、或いは視線を遮る位置まで小惑星が流れてくるまで、何時間どころか何年でも待てる。ヒトのような知的生命体と違い、彼女達に『じれったい』という感情はないのだ。また精密機械は定期的なメンテナンスや交換が必要なため、数十年と待てばどうやっても隙は生じる。寿命の差は極めて大きなアドバンテージなのだ。

 この三つの性質は、ホシホロボシにとっては基本的な生態だ。勿論ホシホロボシは「こんな風に進化しよう」と思った訳ではなく、幾億と積み重ねた自然淘汰により、多くの子孫を残せたのがこの形質という事である。

 では何故この形質が有利だったのか。それは文明が発展する過程で持つ、洗練された性質の影響だ。

 発達した文明は、星系外からの侵入者に対し攻撃的になりやすい。何しろ宇宙という未知の領域から、未知の存在がやってくるのだ。これを無警戒に受け入れる能天気な文明は、宇宙進出前の『国』の段階で滅亡するのがオチである。警戒心の強い文明が発展するのはある意味生物進化のようなもので、一部の特殊な事例を除けば必然と言えよう。故に文明と接触すれば、十中八九ホシホロボシは捕獲されてしまう。

 そして今の宇宙には幾つもの文明がある。つまり星系に侵入すると、それなりの頻度で警戒心の強い文明に当たるという事だ。無警戒に入ればあっという間に見付かり、捕獲され、研究対象として解剖されてしまう。バレずに侵入出来た個体がより多くの子孫を残し、ノヴァまで血筋を繋いできたのだ。


【……ピラァ】


 慎重に進んだノヴァが『雲』を抜けるのに掛かった時間は、ヒトの暦に換算して凡そ九十六年。本来ならば三十年で済む道のりに三倍近い時間を費やした。文明の主である知的生命体にとって決して短くない時間であるが、ノヴァからしたらちょっとした寄り道に過ぎない。

 『雲』を出た後はしばし何もない空間が続く。

 こういった場所は文明側もあまり監視をしていない ― 大きな小惑星がなく中継基地などを置けないため補給や管理に難があり、そこまでして守るべきものもない ― 事が多く、フェンスエスラ文明も同じで此処には攻撃衛星が配置されていなかった。しかしではノヴァにとって好ましいかと言えば、それもまた違う。何もないという事は、身を隠すための小惑星などもないという事だ。攻撃衛星がなくとも、遠くから観測している機器があれば見付かってしまうかも知れない。確かに『雲』ほどの厚みはないが、それでも一兆五千億キロ近い距離があるのだ。秒速一万キロで飛んでも抜けるのにかなり時間が掛かる。

 このような時、どう切り抜けるべきか? 多少のリスクは覚悟で突っ切る、というのも一つの手だろう。だが通行時間が数秒〜数十秒なら兎も角、全速力でも数年必要な道のりでやるのは危険が大き過ぎる。相手に対処する時間を与えないならまだしも、これだけ猶予があれば発見=対策をされると思って良い。可能ならばもっと安全な方法を使いたいところだ。

 そこでホシホロボシが持つ、一つの能力が役立つ。


【ピラァァ……】


 『雲』から出た事を感知したノヴァは、早速その能力を使う。

 それは身体を『透明』にする事だ。

 黒かった体表面がどんどん透き通っていく。これは普段電磁波を吸収している細胞小器官の働きを応用し、吸い取った光をして成し遂げている。見た目の現象で言えば、光が身体をすり抜けた形だ。向こう側の光をそのまま出しているため、完全な保護色と言えよう。

 透明になれば光学的な観測から逃れるのは容易く、また電磁波もすり抜けるため反射などで存在を確認しようとする観測も無効だ。強いて言うなら音波はすり抜けられないが、宇宙は真空なので音は使えない。また重力波(質量あるものが移動した際に生じる空間の波)も遮断出来ないが、重力波は恒星衝突クラスの出来事でなければ大抵の文明は検出すら不可能。つまり対応出来ない物理現象は、殆どが気にする必要もない要素という事だ。

 極めて高度な迷彩能力である。

 勿論欠点もある。迷彩能力を発動している間は、電磁波の吸収が出来ないためエネルギーの補給が出来ない。そのためどんどん体力を消耗していく。しかしこれは大したデメリットではない。そもそも恒星から遠い位置では光が殆どないため、吸収量などたかが知れているからだ。

 もう一つの問題は亜光速粒子ジェットを使うと迷彩の意味がなくなる点。吸収・排出出来るのはあくまでも身体に当たった光であり、ジェットそのものは隠せない。だが、これについても問題にはならない。身を隠せない領域という事は、障害物もないという事。方向転換の必要はなく、真空の宇宙では空気抵抗などによる減速もない。このため加速のためジェットを使う必要はほぼないのだ。

 秒速八千キロ程度の速さで渡れば、何もない空間も ― 勿論ホシホロボシの時間感覚の話だが ― すぐ通り過ぎる。

 いよいよ恒星から六十億キロ地点まで来ると、再び小惑星の数が増え始める。

 太陽系で言うなら、エッジワース・カイパーベルトに該当する領域だ。準惑星も存在する場所で、小惑星も直径百キロを超えるものが幾つか見られる。ここまで来れば、透明にならずとも姿を隠す場所には困らない。

 そしてこの先にあるのが惑星であり、ノヴァが求める恒星である。

 いよいよ目的地が迫ってきたが、同時に此処が最も発見される可能性が高い領域でもある。何しろ惑星があるという事は、この辺りが知的生命体の本拠地だからだ。事実フェンスエスラ文明は第四惑星にて誕生した。第四惑星の公転軌道周辺には数え切れないほどの人工衛星が配備され、更にテラフォーミングされて知的生命体が居住する第五惑星にも多数の衛星が存在している。衛星の全てが外宇宙を観測・防衛している訳ではないが、その役割を担うものは少なくない。

 またフェンスエスラ星系には第七惑星まであるが、知的生命体が定住していない星にも多数の衛星や基地が置かれていた。軍事的な施設も多数存在しており、ノヴァという怪しい存在を発見すればあっという間に出動し、とりあえず捕獲を試みるだろう。また星系内は文明の本拠地という事もあって、物資や人を運搬する宇宙船も数多く飛んでいた。それらもノヴァを発見すれば、未知の存在として通報する可能性がある。

 ノヴァはそれを理解するほどの知識は持ち合わせていないが、警戒心の強さから見付かる事に対して強い嫌悪を持つ。よって全ての人工物に見付からないよう振る舞う。

 具体的には透明化を維持した状態で進み、文明の目を欺く。

 『雲』を抜けた後と同じやり方であるが、しかし文明圏には様々な機械が無数に飛び交う。小惑星や衛星、それに惑星も多数浮かんでいる。つまり障害物だらけだ。文明がない宇宙ならそれでもスカスカなのだが、フェンスエスラ文明は『雲』まで到達した高度文明。第四惑星の本拠地に対する守りは堅牢で、あらゆる場所に人工物が飛び交う。

 そして不運にも、それらの人工物にぶつかりそうになる事もある。

 ノヴァは正にその不運に見舞われてしまう。こういう時は流石に、逆噴射や噴射などで速度・軌道を変えなければならない。いくら姿を消していても、衝突したら流石に存在がバレてしまう。ジェットの痕跡で発見されるリスクを犯してでも、ここは接触を避けるしかない。

 障害物を避けるため、ノヴァは一瞬だけ亜光速粒子ジェットを噴射。これを見逃してくれれば良いが――――フェンスエスラはそこまで甘くなかった。

 星系中に警報が発令される。

 発生源不明の高エネルギー粒子が確認されたのだ。未知の推進機関、或いはに該当するもの。いきなり最高峰の警戒態勢にはならずとも、調査隊の一つ二つは送り込まねばならない。警報があったビルに警備員が駆け付けるように、最寄りの基地から発進した軍の調査用宇宙船がやってきた。このままではノヴァが発見されるのは時間の問題である。

 ノヴァの優れた知能は、ここが『賭け時』だと判断した。


【――――ピィイィラララアァ!】


 最早隠れるのは止めだ。そう言わんばかりに、ノヴァは噴射口から最大出力の亜光速粒子ジェットを吐き出す。

 亜光速の粒子が絶え間なく吐き出されれば、フェンスエスラほど高度でない文明でも観測可能だ。居場所は即座に判明し、その危険性から無数の宇宙艦隊がやってくる。星系外からの侵入者……とまではバレてなくとも、怪しい何かを捕らえるために。

 しかしもう、ノヴァは捕まらない。

 亜光速粒子ジェットでノヴァはどんどん加速していく。秒速一千キロ、二千キロとなれば、フェンスエスラが誇る最新鋭戦闘艦でも追い付けない。慌てて戦闘機を発進させた頃には、ノヴァの速度は秒速三千キロに到達。更にどんどん加速していく。

 耐久面・攻撃面で文明には全く敵わないが、速度だけはホシホロボシの方が圧倒的に上だ。極めて高度な文明であるフェンスエスラでは、無人化などで速度の上限(生命体を乗せているとどうしても動体視力や慣性への耐性という限界がある)はなくしているが、それでも秒速二千キロを超える速さまでは達していない。文明としては極めて高度であるが、宇宙に進出して高々数千年。百億年以上宇宙環境に適応し、星々を渡るための進化をしてきた生命体には未だ及ばない。

 フェンスエスラ文明にも対処法はある。行く手に網を張るなどして、広範囲の進路を塞いでしまうのだ。勿論ノヴァはそれを迂回して回避しようとするが、それも先読みして網を展開すれば逃げ道は塞げる。これを何度か繰り返せば、いずれは包囲網となってノヴァを捕獲出来ただろう。

 しかしそれには準備時間が必要だ。

 ノヴァは既に星系内の『奥深く』に入り込んでいる。秒速三千キロ超えの圧倒的スピードもあって、文明側は対応する暇がない。隠密行動を徹底し、可能な限りバレずに進んだ成果がここで現れた。

 いよいよ目的地である恒星が迫る。

 とはいえ此処で止まっては意味がない。ノヴァが目的地こと恒星のエネルギーを十分受け取れる位置(恒星から凡そ四千万キロ地点)に辿り着いたからといって、文明側は「しょうがないなぁ」とは言ってくれないのだ。極めて高いエネルギーが照射される危険地帯だが、フェンスエスラ文明の優れたテクノロジーであれば問題なく耐えられる環境でもある。ノンストップで後を追い、そのまま捕獲を試みるだろう。例えノヴァが恒星周辺を秒速一万キロで飛び回ろうと、周回しているなら進路の予測は難しくなく、また恒星から離れない以上何度でも挑戦可能だ。つまり到着しただけでは、ノヴァは安心を得られず、逃げ続ける事も出来ない。

 ではどうするのか? ノヴァの、ホシホロボシの答えは簡単だ。加速を止める事なく一直線に恒星へと向かい――――

 そしてそのまま、のだった。

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