夢のまた夢

かてぃ

夢のまた夢

(舞台を作っているようなガチャガチャした音の中)


叶田 夢『そこのライト!!もっとへ上お願いします。モデルさんにライト当たってないよ〜』


裏方スタッフa『はーい。もっと上へ上げて〜オーライオーライ…』


夢『音楽!!今のところでチェンジしないと〜プログラムちゃんとチェックして〜』


後方スタッフa『今確認してまーす。』


裏方スタッフb『マイクテス、マイクテス、あ、あ、あー』


夢【私の小さい頃からの夢はデザイナーになること。

きれいな舞台にライトアップされてきれいな服を着ているモデルさんがランウェイする·····

幼い頃、テレビで見たファッションショーに憧れてずっと夢を見ていた、

その夢が今まさに叶おうとしている。いつにも増してとても気合いが入る·····】


夢『ねぇ、光さん、ここもう少しギャザー入らないかな?

ライトが当たる時、ぼやけるんだよね』


後方スタッフ『叶田さーん。ライトチェックお願いします。』


夢『わかったわー。あ、いいよ。その感じで行こうか。』


宇都宮 光『あっ、分かりましたここでピン打ちしときましょうか?』


夢『いいねー、グッと、モダンになった。

さすが私のアシスタント兼敏腕マネージャー』


光『何言ってるんですか!!

私のことをここまで育ててくださったのは夢さんじゃないですか!!』


夢『私さぁ、光と出会わなかったらいつまでもダラダラと目標も持てないままいたと思うし、留学したのに何の成果も上げられないまま日本に帰るところだったんだよね笑』


光『本当ですか?』


夢『本当に本当に!!光と出会えて本当によかったよ。』


光『はい、それを言うなら私だって同じことをいつも考えてました。

そういえば、夢さんと出会ったのって去年の今頃でしたっけ?』


夢『そうだね、高校卒業してからデザイナーの専門学校行って、私はアパレルで販売をしながらお金を貯めてたでしょ?』


光『あーそんな話してましたね。』


夢『でさぁ、やっとの思いでファッションの聖地フランスへホームステイした時にBと出会ったからかれこれ10年近いかな』


光『ですよね?Aさんにはお世話になってばかりでしたよ』


夢『美術館で光を見かけた時一つの絵をずっと見てて私もその絵が好きで見に通ってたから何回か光を見かけた時あっ、この人日本人だ、またいるって思ったんだよね笑』


光『私も夢さんの事を見かけるようになってすごく気になってたんですよ』


A『でもさ、話しかけづらくて、つたないフランス語で「ボンジュール」って声かけたんだけどえ光ったらバリバリの日本語で返事してきて』


光『そうです!そうです!夢さんに声かけてもらって〜ああ、日本人だと思ってめちゃくちゃはしゃいじゃいました。』


夢『アハハ、そうだったね』


光『めちゃくちゃ夢さん驚いてて楽しかったですよ』


夢『あの時なんだかんだで話弾んだよね。食べ物が合わなくて、日本食が恋しいとかトイレが有料だとか。』


光『一緒にトイレ探しましたよね。なんか外観が全然公衆トイレっぽくなくて…』


夢『そうそう。私も日本人と話するのって久しぶりだったから楽しかったのを覚えてるよ』


光『ですね。でもあの時期私は挫折してしまって、夢さんに迷惑かけちゃいましたよね』


夢『本当に色々大変だったもんね。男には騙されて住むところもなくなってボロボロで、なんかどこかのドラマみたいな展開になってたし。』


光『はい。本当にごめんなさい。』


夢『でも、そんなことはいいんだよ、あの時はBのこと本当に心配だった。ただ、今こうして一緒に仕事ができるんだからそれでいいんだよ。』


光『はい…Aさんありがとうございます…ぐずっ…』


夢『私もBも努力したし、成長したんだよね』


光『エヘヘヘヘですよね私も一生Aさんについていきます。命の恩人なんですから』


夢『ありがとう、私も光がいなかったらこんなショーできるまでに至らなかったよ』


光『何言ってるんですか?夢さんなら絶対大成功ですよ』


夢『そうかな?ありがとう!!不安いっぱいだけど笑。さあショーが始まるよ』


光『はい!!行きましょ』


夢【私と光は2人生の舞台へと進んでいった】



(時計の目覚ましの音)


夢『あっ、夢か·····やばっ·····もう朝?

専門学校の課題終わる前に寝ちゃったよ。

なんかすごくリアリティあったな…私がフランスに留学?

日本で成功して、ファッションショーを開催する?

すごい夢見ちゃったな』


夢【私は服飾デザインの大学に通う20歳の女性。

私の夢はファッションデザイナーになること

まだまだ学生の身だし、課題もたくさん。猛勉強していかなくてはいけなくて、これから私にはどんな道のりが待っているのだろう?朝みたいなこと、夢のまた夢かもしれないけれど·····】


夢『うーん·····さて、課題終わらせますか』


(スマホの着信音)


先生『あ、もしもし叶田さん?朝早くにごめんなさいね。今いいかしら?』


夢『はい、すみません先生。私、まだ課題終わってなくて·····』


先生『とりあえず課題の話は置いておいて。実は今職員会議があってね。

あなたのフランス留学の申請が通ったのよ』


夢『えっ留学の申請が通った?えっ?しかもフランスですか?』


先生『先月のファッションコンクールで受賞したでしょ?あの作品を見たフランス姉妹校の教授がねOKを出したのよ。』


夢『本当?夢みたいな····················』


先生『もしもし?叶田さん?聴いてる?とりあえず学校へ来て書類の申請してちょうだい。もしもし?今から来れる?もしもし?………』


(徐々にフェイドアウト)

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夢のまた夢 かてぃ @LieereKaty

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