第1章 暴走少女 42

「ほんと、に臆せずとは・・・。恐れ入ったなぁ」

 右手で頭をガシガシ搔きながら、黒入もカナリアの後を追う。


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 ドームの中は、呪力に満ちていること以外普通だ。建物や道なんかも、特に変わっていない。が、少し違和感が残る。


「てっきりこの中は、迷宮みたいになっているかと思いましたわ」

「そうですね・・・。以外に普通というか、あ、いえ呪力は満ち溢れてますけど」

「ただ、何でしょう。この違和感・・・。少し、頭がボーっとするような」


 カナリアは頭をトントンと手のひらで、軽く叩いた。やや、思考に霧がかかったようで、物事をハッキリと考えられないような感覚だ。


「僕は全然そんな感じはしないですけど・・・。カナリアさんも術式展開した方がいいんじゃないですか?」


 そう。

 カナリアと対象的に、黒入はドームに入る前と思考に違和感はない。


「いえ、そこまでではないのですが・・・。まぁ、黒入さんが大丈夫なら問題無いでしょう?」

「あはは、期待されてるなぁ」


 苦笑いで誤魔化してみる。

 戦闘になったら、こっちにぶん投げる気だこの人。

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