第1章 暴走少女 39

「おーい、黒入さん?どうかしましたか?」


 隣で並走するカナリアが心配そうに顔を覗きこんできた。


「―――ッ!あーー、すみません。ちょっと考え事を」


 ドキッとした。

 こんな時になんだが、カナリアさんって超美形なんだよな。サラサラの髪の毛、一本一本がキラキラと光りまるで黄金のような―――。

 しかも、出るとこでて凹むとこは凹んでいる。世界中の男を魅了するに違いない。


 僕とは性格こそ合わないが。


「何を考えているか分かりませんが、また一人で考え事ですか」


 バレた。気がする・・・。


「いえいえ。前の事件のことを思い出しましてね」

「前の事件ですか?」

「あの、フランスの・・・」

「フランス・・・。あぁ!あの、大聖堂の?」

「えぇ、もし暴走状態と仮定すると、当時の状況と似ているなって」

「確かにそうも捉えられるかもですわね」


 コクリ、と黒入は頷いた。


「もし、そうだとすれば黒入さんはどうしたいのですか」

「助けたい」


 即答だった。

 少女のような、ある意味被害者を増やさないために。

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