第1章 暴走少女 36
黒入は呪力、少女は魔力と呪力を全て吸い取られた。故に、術式の強制解除が行われる。少女の頭上付近にあったあの光球も、跡形もなく消え去った。
黒入はまるで全速力を十回分ほどしたような息切れ感に襲われる。息を吸っても吸っても苦しく、全身に力が入らない。
少女はと言うと、何事もなかったかのように落ち着いている。大理石の床に横になっており、顔は自分の血で汚れていた。
術式解除―――。
と、サヤカが呟くとキューブ型の結界はパリンッと割れ、空気中に霧散していった。
「おうおう!だらしねぇなぁ黒入さんよぉ。今、本命に襲われたらアンタ死んじまうなぁ?」
わざとらしく黒入を詰めてくる顔は、どこか楽しそうだ。
黒入はまだゼェハァと息を整えている最中だ。右手で手をひらひらさせ、相槌を取る。
魔術師や呪術師にとって、その源である魔力と呪力は枯渇すれば命にかかわってくる。生命力そのものだ。回復には相応の時間がかかる。
サヤカはコツコツと靴を鳴らし少女に近づく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます