第1章 暴走少女 31

 暴走状態の少女とは言え、まだ第一フェーズと言ったところだろうか。

 動きは止まっており、うつ向いたままだ。が、その圧倒的な圧力でこちらを寄せ付けない。


 一名を除いて。


「しげちゃん抜刀ぉぉぉぉおおおおお!!!」


 無銘伝則重をしげちゃんと呼ぶのは、後にも先にもサヤカだけだろう。

 しかも、すでに抜刀してるし。


 ガギィィイン!!と鈍い音が響く。

 その刃は彼女に触れる前に止まる。


 反動を受け流し、軽やかに後方へ退避した。


「チィッ!アイツ、魔防壁まぼうへきまで備えてやがる。しかも、しげちゃんで切れねぇところをみると・・・かなりの魔力だぜ」

「四枚羽だ・・・。クラスが違う」

「どうでもいいけどよぉ!へへっ、久方ぶりだぜ・・・。なんざ!!」


 魔力と呪力の両方の力を持つ人間など類稀なる存在だ。

 然るべき者が血反吐を吐きながら修行し、辛うじてどちらかの力を得る。

 


 少女はもちろん修行などしていない。生まれ持った逸材で、それもある一種の例外だろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る