第1章 暴走少女 28

 その時、笑顔に戻しつつある彼女から重苦しい顔つきへ変貌していく。黒入は彼女をぎゅっと抱きしめて―――


「どうした!?大丈夫!?ッッ・・・!ひどい汗だ・・・!!」


 彼女の額からは脂汗が噴出して、全身が発汗していた。うぅ、と呻き頭を押さえる。


「頭・・・痛い・・・あたま・・・!」


 頭を両手で抑え悶絶している。

 自体は非常に深刻だ。


 相方にスマートフォンの緊急連絡で呼び出す。

 が、電話には出なかった。


「緊急連絡くらい出ろっつーの!!」

 と、苛立ちを覚えながら叫ぶ。


 しかし、事態は待ってくれない。少女の容態は刻々と悪化していく。


 黒入は、呪力を抑え込む封印術が使えない。厳密には知識として頭にはあるが、術式を発動することができないのだ。


 なので基本的にはバディを組むことが多い。術の対策と、戦闘とに分かれて。

ここぞとばかりに、自分の無能さにも苛立ちを覚える。


 黒入は少女に声をかけ続けるが、いよいよ限界点を迎えた。彼女の身体から眩い光が放出され、力の暴走が発生する合図だった。

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