第1章 暴走少女 24

 かなり近づいてきたと思う。黒入の感知能力というのは、彼の経験上や本人の感に任せられることが多い。カナリアのように、寸分違わずに対象の居場所を突き止めるという高等技術など使えない。なので、相手が身を隠す術が長けていれば長けているほど不利な状況に陥ることになる。しかし、当の本人はそのことをさほど気にしておらず、なんとかなるでしょわはは――と笑い飛ばしてしまう、意外にも豪快さを持っていた。


 今回は、そんな黒入さえも所在が簡単に分かる相手だった。隠そうともしない呪力、垂れ流し状態と言えよう。


 力を誇示するかのような感じもする。


 この力を気持ちも分かるが、魔術師も呪術師も一族で鍛え上げた『神秘』を隠匿するのを美徳としている。

 なのに、なぜ自らバラしてしまうような行動を取っているのだろうか?


 黒入は疑問に思う。


 もし、何らかの事情どうにもならないことがあるとすれば・・・?


 もちろん、一つの可能性の話であり彼女を擁護するわけではない。

 ただ、黒入は昔携わった仕事を思い出した。

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