第1章 暴走少女 21
完全に陽が落ち切り、闇夜が支配する時間帯。
時計は、午後九時を回った。
天候も安定し、気温も過ごしやすい気候だが夜になると少し肌寒さが残っている。
黒入は、夜にも関わらず黒いスーツと黒いカッターシャツ黒の薄手のジャケット、ワンポイントとして黄色のネクタイを緩めに装着している。
革靴のコツコツと一定のリズムを刻みながら、事件現場に足を運んだ。
星々が煌々と光っており、三日月が良い塩梅で付け加わっている。そんな中で、チカチカと不規則に点滅する現代技術の灯の下に見知った女性が立っていた。
「あれ、カナリアさんじゃないですか。まだ帰られてなかったんですか?」
「あら、黒入さんじゃないですか。こんな夜遅くにお散歩ですか?」
ブロンド美女のシスターカナリアが、修道服の格好で立っていた。
お互いにわざとらしい挨拶を交わす。
もちちろん目的は一緒だろう。
二人の口から、フッと息が漏れた。
結局、性格は合わないにしても考えることは一緒なのだ。そのまま、黒入とカナリアは更に光が届かない場所へと足を運んだ。
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