第1章 暴走少女 17

 なぜ、現代社会に溶け込む必要があるのか。


 魔術師や呪術師は、自身らが扱う『術』を基本的には秘匿しており、その『神秘』を自分の功績として世に残していく。そして、次の世代へ、次の世代へと継ぎ足しされていく。

 全ての術師が目指しているに向かって。


 まさに、術を隠すのなれば現代社会はうってつけの森なのだ。


 で、今回の事件で使われているのは恐らく『呪術』の方。

 呪い。

 人が人に向かって、憎しみや怒りを物理的、精神的に追い込む力が働くことを指す。


「アンプちゃん情報では、女子高生の顔には生気が戻っておらずまた、記憶の混濁が発生しているみたいですね」

「吸精と証拠隠滅の作用が同時に発動か・・・。中々難しい術式の組み合わせね。黒入さんも一発KOだったりして」

「ははは、どうでしょうか。僕のはですからね」

「あら、意外に負けず嫌いなのね」

「それこそ負ければ、僕以外死んじゃいますよ?」

「私にも勝つつもりなのかしら―――!」


 談笑を交えながら、お互い無駄な牽制をしていた。

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