第3話 俺が魔法を?
「タクミ君を選んだ理由。それはこの国では見たことのない膨大な魔力を持っているから」
はい?
「いやいや膨大なっていうか、魔力自体持ってないと思うんですけど」
「それって実は地球にいたから気づけていないだけなんだよ。体内で魔力を感じ、流れを制御すればタクミ君も魔法を使えるようになるの」
〜まさかの発言に口をポカーンと開け、呆然とするタクミ〜
俺が魔法を?まじ?
「ちょ、ちょっと信じられないんだけど、試してみたい。魔力を感じるってどうすればいいの?」
「コレが簡単か難しいかは生まれた時からすでにできてる私には分からないんだけど、血の流れを感じるのと同じような感覚で良いって聞いたことあるわ」
「まずは目を瞑って集中して」
〜言われるがままに目を瞑り、よく分からないけど集中してみようとするタクミ〜
とりあえずやってる感だけだな、こりゃ。
「血の流れを感じるって何?さっぱりわからないし、できる気もしないんだけど」
やっぱり、そうなるよねって顔でリオルは体を前のめりにして、そっと両手を前に出した。
「私の手にぎって。目も瞑って何も考えないでいてね。今から魔力流すから、たぶん才能次第だけど、すぐに魔力の流れが頭の中に見えてくると思う」
「いやいや、初めっからそうすればよくない?」
「まぁまぁ」苦笑いでごまかすリオル
それから数分が経った頃、タクミの表情がニヤけた顔へと変わった。
「見える!見える!なんか虹色の線が見えてサーって流れてる」
「よし!さすが若い上に才能もあるみたいだね。あとはどれだけ長く持続できるかだね。ちなみにその線の色すべて教えてよ」
「んー流れが一定じゃないし速くて分からん。けど、ちょっと待って」
そう言うと、ニヤけた顔が真剣な顔にもどり、何かコツをつかんだようだった。
「おー!できた。流れをゆっくりにしたから、はっきり見える。えーっとね、赤と青と緑、それに黄色に黒、あと白で全部」
その言葉を聞いたリオルは固まりながら口を開く
「あのー、それは冗談じゃないよね?」
「もちろん、ここで嘘言ってどうすんだよ。そんな余裕こける神経持ってないけど」
「さっき言った色はタクミ君が持ってる属性なんだけどね。なんと全ての属性なの。赤が火属性、青が水属性、緑が風属性、黄色が聖属性、黒が闇属性、白は無属性。無属性っていうのはどの属性でもない属性ってこと」
「まさかだよ。全属性持ってる人って初めて見たんだけど…」
「国王様でも3属性だし、私は2属性。ほとんどの人は1つの属性しか持ってなくて、2属性も持ってれば国から優遇されるし、求めるなら簡単に国王様の元で働くことができるの」
「へぇー、まじか!そりゃすごいや!てことは、いろんな魔法を使えるってことか!でさ、話少し戻すんだけど、地球にいたから魔力に気づけなかったっていうのはどういう意味?」
「あー、それね。地球にはね、魔素が無いの。
魔法を使うには魔素が必要なんだけど、地球の空気中は魔素率0%。だから当然、体内魔素量も0だから魔法を使えることはなく、気づくこともなかったってわけ」
話の感じだと、魔素って車でいうガソリンみたいなものなのかな。
「この星には魔素があるから、タクミ君の体内にも少しづつ魔素が入っていってるよ。それに、さっき魔力の流れのきっかけ作る時に私の魔素を流したしね」
てことは、もしかして!もしかして!
〜夢や漫画のような事が現実に起きそうでワクワクが止まらないタクミ〜
「今、何か魔法って使ってみることってできる?練習とか必要?」
「もちろん練習は必要だけど、才能と想像力次第では少しで済むかもね。魔力の基本制御についてはさっき勝手にできてたから、あとは頭の中でどれだけ魔法を想像できるかってとこね」
「あー!それ知ってるよ。異世界漫画で読んだ!」
まさか漫画と同じやり方だなんて。
「とりあえず、基本魔法のファイアボールにしてみようか。火の玉を想像してみてくれる?」
「了解!本当に出たら危ないから小さい火の玉イメージしてみるよ」
〜そういうと、タクミは目を瞑り集中し始めた〜
「そういうことなら大丈夫!あちこちに魔力障壁が施してあるから、もしも制御しきれなくて暴発しても消えてなくなるだけだから」
そういうことなら気にしなくていっか。
よし、イメージばっちりだぞ。頭の中に完璧な火の玉が完成!
「ファイアボール!」
「できた!」
〜手のひらサイズの火の玉が手のひらの上に浮かび上がってふわふわ揺れている〜
「すごい!一発でできちゃったね!魔法の出し方までは言ってなかったのにやるじゃない」
「うん。なんとなく手のひらに一点集中して一気に気を放出する感じでやってみた!」
「小さい頃、よく真似事してたから。ドドン…あ…いや、なんでもない」
「ちなみに、魔法の名前は特に言わなくても大丈夫。想像と魔力の制御だけで出せるからね」
「あっそうなんだ。漫画だと言ってるから、そういうもんだと思ってた」
「あー、漫画だと描画上わかりやすいようにじゃないかな。アニメとかでもカッコよくなるしね。でもまぁ、言ったほうが魔法出しやすいなら言えばいいよ」
うん!言おう!カッコいいし!
そういえば今って何時なんだろう?帰らないとまずいかも!
「ところで、ここにどれくらいいた?」
「んーっと、1時間ちょっとだね。だけど、地球とは自転の速さが違うから半分くらいだよ」
「そっか、楽しくて忘れてたけど、そろそろ晩御飯ができてる頃だから帰るかな、あの白い空間出してよ」
〜そうだ!ってニコニコ顔でリオルがこっちをみていた〜
「ねぇ、自分でやってみる?ゲートって魔法。ゲートは無属性魔法なんだけど、全属性できるタクミ君に制限はないからね」
「あっそっか!しかも想像するのって部屋なら簡単だし」
「やり方は同じ。追加なんだけど、行きたい場所をしっかりはっきり想像した上で、そこに繋ぐ道を繋がるようにしっかり想像して、入り口の形もイメージしておくように」
繋ぐ道を繋がるようにか。あと、入り口ね
〜実はゲートという魔法。基本魔法ではないのだけど、何も知らないタクミは集中し始めた〜
「よし!完璧!俺の部屋とここがイメージ繋がった。あとは…」
「ゲート!」
〜名前を言うと、一瞬の間に白く光ったドアがタクミの前に現れた〜
「おーっ!想像通りのドアできあがり!」
「ドアの形にしたのね。それじゃ、ちゃんと部屋に繋がってるか確かめてみてね」
「了解!」
〜恐る恐るドアの取手を掴み、開けてみる。頭だけ入れて覗くタクミ〜
「成功っ!ちゃんと繋がってた!俺の部屋だ!」
「お、おめでとう!…」冷や汗と苦笑いのリオル
〜そう、なぜならゲートという魔法は上級魔法。
扱える素質があり練習を何度重ねても、なかなか上手くいかない魔法。
それを一発で成功させてしまうタクミだった〜
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