【てんとれ祭】「キミと週末、しんねこ決め込みたい!」  第42話使用 

大入 圭 様

https://kakuyomu.jp/users/fullhouse_k



『僕はつまらない人間だ。

唯一の取柄があるとすれば、それは正直者であること。

人生で嘘を吐いたことは一度もない。

というわけで、自分の気持ちにも嘘を吐かず、今日は意中の女の子をカフェへと呼び出した。


向かい合うように椅子へと腰かけた彼女を見て、僕は想いのたけを吐き出した。


「今日も可愛いですね!」


「ありがとう」とはにかみながらも、少し困った表情の彼女がまた可愛い。

さて宴もたけなわ。場も盛り上がったところで本題に入ろう。


今日は彼女を、週末デートに誘いたい。

それはなにを隠そう、今朝の占いを見たからだ。


『週末、意中の方としんねこを決め込むとよいでしょう!』


というわけで、さっそく彼女に伝えよう。


「僕と週末、しんねこを決め込みませんか!」


僕は正直者だ。

伝えたいことをそのまま伝えることしかできないつまらない人間だ。


すると彼女は怪訝そうな顔になった。

首を傾け、「し、しんねこ……。しんねこ?」と、難解な事件を推理する主人公のように真剣なまなざしへと変わった。


僕は思った。

しんねこってなに?


僕はなんとつまらない、思慮の浅い人間なのだろう。

しんねこの意味も分からぬまま、占いに導かれるまま彼女に伝えてしまった。


彼女は口を半開きにしたまま、「あの……しんねこって……? 下ネタ?」と眉間に深い皺を作ってこちらへ尋ねてきた。


まずい。

ここですぐに『下ネタではないです!』と否定すべきなのだろうが、そもそも下ネタかどうかも分からない。

分からないなら否定することは出来ない。

だって万が一下ネタだったら、僕嘘つきじゃん。

僕の唯一の取柄である正直者が、ここへ来てマイナスに働いているッ!

いや、というか朝の占いで下ネタなどぶっこむことなどありえるだろうか! いいや否ッ!


彼女は僕の反応に「うーん?」と目を細めるが、その後すぐに「わかった!」と手を叩いた。


「猫カフェかあ!」


……猫カフェ?

……え、なんで。どゆこと?


「しんねこって、新しい猫って意味でしょ? そっか、猫カフェに新しい猫が来たから誘ってくれたのね。私が猫を大好きなの、知ってくれてたんだ!」


すっごい良い感じに解釈してくれた。

全然違う。全然違うけど。


でも、ここはしっかりきっぱり、そんなつもりではないと伝えないと。

僕は正直者なんだ。

それだけが唯一の取柄なんだ。

それを捨てたら、僕にはなにも残らないんだ。


僕は彼女の目を真っすぐに見て、答えた。


「はい! その通りですッ!」


みてくれ彼女の眩しい笑顔。

これが見れるなら、僕のちっぽけなこだわりなんてすぐに捨ててしまおう。

なにが唯一の取柄だ。

こんな大事な局面で、諸刃の剣みたいな側面を見せおって。

彼女の笑顔のためならそんなもの、悪かったときの占い結果と一緒にゴミ箱へポーイだ!


ああ、これで正直者で居続ける必要が無くなった。

一度捨ててしまうと、なんて気が楽なんだろう。

きっと僕は、正直者なんて縛りで自分をがんじがらめにしていただけだ。


ありがとう朝の占い。

僕は新しい自分と出会い、彼女と一緒に新しい猫と出会います。


そう。僕は週末、新猫を決め込んできますッ!



『キミと週末 しんねこ決め込みたい !  9点』



おわり。


-----


【参考・引用/蜂蜜ひみつ/てんとれないうらない/第42話 『キミと週末 しんねこ決め込みたい ! 9点/作者使用了承済み】



☆☆☆



【奈落勇者のフォールライフ!】


いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!(勇者談)


ジャンル:異世界ファンタジー

セルフレイティング:残酷描写有り 暴力描写有り

タグ:ほのぼの コメディ ノンストレス 残念ヒロイン 転生無し 女主人公 ひたむきヒロイン部門 稀にシリアス でも主人公がそれを許さない


https://kakuyomu.jp/works/16817330653200453577




大入 圭 様へ

『うひゃあ〜!!

そんな忙しい中遊びに来てくださって、しかもあんなに楽しい素晴らしい作品を読ませていただいて!

すっっごかあ〜!!

おかげさまで勇気でて企画やるっす( ´ ▽ ` )

とても面白くて初々しいしい2人のラブコメ。圭さんらしき、思わずぷぷってわらっちゃう、前向きになれる素敵な☆☆☆お作品でありました(*´◒`*)

本当にプレゼントありがとうございます♪感謝花丸!!』

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