第57話 燻り出された黒幕
――――【雅人目線】
「キミ、かわいいね! オレと遊びに行かない?」
「えっ!? もしかして、あの有名なマサト?」
「おお! 知ってるのか? オレのこと?」
「うん! 知ってるもなにも……」
学校で女子とハメようとしても入学式のことが尾を引いて、オレと仲良くなろうとする奴なんてまったくいねえ!
――――ムリ! 途中で漏らされたら、あたしまで悪い噂立っちゃうじゃん!
あろうことか世界一のイケメンのオレの誘いを無碍に断る学校のメスども……。
仕方なく駅前でナンパしてると隣の学校の制服を着崩した金髪に短いスカート丈のギャルがようやく引っかかろうとしていた。
オレの最ハメ理論だとスカート丈と知能は比例し、こいつはすぐにヤらせてくれそうだと、オレの頭脳は答えをはじき出していた。1時間後にはオレはこのドB級ギャルに片方だけになっちまった生産施設で造られたオレの貴重な遺伝子をはじき出してやってるがなぁ!
オレが勝利を確信しているとドB級ギャルはにやつきながら、オレに言った。
「Rik Rokで漏らしてるマサトだよね! マジでウケる。ブリュッ♪ ブリュッ♪ ブリュリュリュリュリュリュリューー♪」
その目はオレを完全に蔑み、舐めた腐ったもの。
「あはは、もしかして、赤ちゃんプレイでオムツ穿かせてもらいたかったの? キモっ! つかスカト□とか無理だかんね」
「なんだと!?」
「あー、怒った? でも漏らした男に人権ねーし」
オレが歯を噛みしめ怒りにうち震えているとドB級ギャルはあざ笑いながら、去ってしまう。
くそっ! くそっ! くそっ! おまえが頼んできても、おまえのきたねえあそこなんぞ、舐めてやるかっ!!!
「雅人ォォォォーーー!」
ナンパにしくじり、次のターゲットに切り替えようとしていたときだった。
大声がして振り返ったら、ドゴッと鈍い音がして強い衝撃が顎に走り、徐々に痛みへと変わってゆく。ふらつきうなだれると口が切れて、アスファルトに血が落ちてしまっていた。
見上げるとオレのまえには日下部が眉間にしわを寄せ、拳を振り上げていた。
「なにしやがんだクソ下部!!!」
「クソッ垂れはおまえだろうがよぉ! 先公にチクりやがって!」
「はあ? オレはなんも言ってねえよ」
「しらばっくれんじゃえぞ、クソ雅人のくせに!」
「クソクソうるせえぞ、クソ下部!」
「だったら、てめえは種なしだっ!!!」
「おいおい、マジで切れたわ。まだ種なしじゃねえ! 片方、ちゃんとあっぞ」
「だったら、今日で種なしにしてやるっ」
金玉めがけてきたクソ下部のう○こキックをオレは華麗に避け、
「ぐわぁっ!!!」
クソ下部の鼻っ柱に見事と自画自賛できるストレートを叩きこんだ。するとクソ下部は尻もちをついて、倒れた。
すぐさまオレは倒れたクソ下部に馬乗りになる。
「人に喧嘩を売ってきて、そのざまかよ?」
「ほざけ! おまえが先公にタバコの隠し場所をチクったんだろうが! とぼけんのもいい加減にしろっ!」
クソ下部は意味の分かんねえことを言いやがるので、気絶するまで殴ってやろうかと思ったときだった。
振り上げたオレの腕はピタリと止まる。
サツでも来たのかと思って振り向くと、
「ブサイク同士がもっとブサイクになってしもて、うぷぷ。あかんて。あんたらうちを笑い殺す気?」
「周防!」
「すおう?」
周防は腹を抱えながら笑い、オレの腕を右手で掴んで、制止していた。周防は日下部を知っているような素振りを見せるが、日下部はどうやら知らないらしい……。
「ほんまアホやね。あんたら、ハメられたんやで」
「ハメハメハ大王と呼ばれたオレをハメただと!?」
オレの二つ名を周防に名乗ってやると、あれだけ腹を抱えて笑っていたのに真顔へと変わる。
「なにそれ? つまらんし。とりあえず、ここに居ったら警察のお世話になってまうわ」
場所を変え、駅から少々離れたさびれたガード下で周防はオレたちに語りかけた。
「喧嘩なんかしてんと早よ、八乙女の周りにおる女の子を寝取ってきてや。あの子ら、ほんまウザいんやわ~」
「じゃあ、オレたちを仲違いさせたのも八乙女の仕業だっていうのかよ、周防さんよ」
「そうや。あの男はあんたらがまんまと騙され、喧嘩したことをざまぁ思とる」
「くそっ! くそっ! 八乙女の野郎!!! ぜってえ許さねえ!」
「ちょっと、あんたら耳貸しぃ」
オレと日下部の耳を千切れるんじゃえかと思うほどの馬鹿力で引き寄せた周防はオレたちに作戦を吹き込んだ。
「くっくっくっ、そいつぁ、いいな」
「オレは八乙女の周りにいる女どもを食いまくってやる!」
「ほな、おきばりや~!」
そのままオレたちのまえから周防は姿を消していた。ふん、周防よ。八乙女の女どもをすべて寝取った暁にはおまえもハメまくって、ひぃひぃ鳴かしてやるから覚悟しておけ!!!
――――【善行目線】
シンデレラとなった夕霧を守るため、俺は若葉と部屋でモニターを見つめていた。若葉も周防に関しては怪しいと思っていたらしい。
「兄さん、ちゃんと見えますか?」
「ああ、ありがとう若葉。ばっちり見えるよ」
若葉の操縦するドローンのモニターには周防に顔を共に腫らした雅人と日下部が映っていた。いかにも不良たちが集まりそうなガード下でなにやら謀議を重ねているらしい。
「やっぱり黒幕は周防だったのか……」
日下部を停学に追い込んだことで、その怒りの矛先は雅人に向くのは容易に予想できた。さらにその裏で2人を操っている黒幕を燻り出せた。
高性能マイクが周防の声を拾う。
――――地味子を分からせてたらええわ。あの子の母親はな~んも言えへん。雅人のおとんの女なんやからなぁ!
「えっ? えっ? そんな……」
マイクの声を聞いた若葉は驚くが、俺は驚きもしない。周防がそのことを把握している時点
ただ俺もなにも手出ししてない奴らを断罪することはできない。ここは奴らを罠にはめて、きっちりケリをつけてやる。
そのために俺はある人の協力を仰いだ。
《というわけで夕霧をお願いします》
《分かった。あたしに任せとけって》
LINEすると二つ返事で気持ちの良いメッセージが返ってきた!
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