第29話 暴れん坊御曹司【胸糞注意→ざまぁ】

 俺は原田と雅人が男女問わず行ってきた非道を振り返っていた。怒りを力に換えるために……。


――――【回想】


『矢野ぉ! てめえ、何度目だぁ? 授業中にスマホいじんなっつってんのに、マジ馬鹿なのかよ。Do you have Brain?脳みそ入ってますか?

『ぐぬぬ……』


 原田は生徒指導室に呼び出した男子生徒の頭を中指でとんとんと軽く叩いて、訊ねていた。ネクタイを緩ませ、襟元を開いて制服を着崩した素行の良くない男子生徒でも原田のまえでは歯噛はがみして、侮辱ぶじょくに耐えるのみだ。


 理由は簡単だった。原田の母親が高校の理事であり、親の権力を振りかざし原田に逆らえば退学になってもおかしくない。


『こいつはおれが廃棄はいきしておいてやる。ありがたく感謝しろよ、馬鹿なおまえに学習できる機会を与えてやったんだからなぁ。くはははは!』

『さっきから黙ってきいてりゃ、ざけんなって!』


『ああ? 校則も読めねえんだったら、小学校からやり直してこいや、タコがぁ! 授業中の使用は禁止、見つけ次第没収だろ』


 男子生徒が怒りのあまり立って拳を振りかざしたのだが、長机を原田が蹴り込み、それが生徒の腹にもろに当たると生徒は腹を抱えてうずくまった。


 たしかに校則は原田の言う通りなのだが、職員室で保管したあと、放課後に生徒へ返却する教師がほとんど。原田だけが強硬な手段に出ていた。


 なぜなら……、


『ははは! ウルカリで5万で売れたわ。ガキのくせにいいスマホ持ちやがって。ざまぁ見ろ天罰だ』


 自分のものにして、中古品としてフリマサイトへ横流しするため。それだけに止まらず、男子生徒が交際していた茶髪に染めた女子生徒とのハメ撮りを目ざとく見つけた原田は動画をネットに流すと脅して彼女を呼び出していた。


『おい、三木ぃーーっ。いかんなぁ、高校生が不純異性交遊とは……』

『ち、ちがいます……私じゃないです』

『ん? では矢野とは付き合ってないと? そんなことを言ったら、矢野は悲しむだろうなぁ』


『……』

『な~に、おれも鬼じゃねえんだ。ちゃんと認めさえすれば、悪いようにはしねえ。ただ、なにをすればいいか分かるよなぁ? ああん?』


 椅子に座っていた原田は大股を女子に見せつけるようにして、顎をくいくい上下させて彼女に性的奉仕を促す。具体的になにをしろとは言わない。女子生徒が勝手にやったと言い逃れる逃げ道を用意している汚いやり方だ。


 だが仕方なく女子は原田のジャージとパンツを下ろしたあと、股間に顔を横に向けながら近づけていた。


『おらぁ、もっとしっかり舌を使え!』

『ううっ……ゆるひて、けいごきゅん……』


 くははは! 嫁の祥子のときはやり過ぎちまって、妊娠させちまうわ、寝取ったこと彼氏に教えてやったら勝手におっんじまうわ、責任取らされて結婚させらちまったが、もうそんなヘマはこかねえ。


 ここにいりゃ、馬鹿なJKどもを寝取り放題なんだからなぁ、まったく教師は辞めらんねぜぇ!


 そのとき、メッセージウィンドウには邪悪な原田の心情が流れてきて、俺はエロゲにも拘らず吐き気を催してしまっていたことを思い出した。



 原田もクソだが雅人もクソだ! 雅人が黒瀬を救ってやると原田からNTRしたように俺は受け取っていた。


 原田から性的搾取を受けていた黒瀬は開放感から雅人に身体も心も許してしまって、ほぼ家出状態で雅人の家に入り浸ることになる。


 ブー♪


『は~い』


 黒瀬の家の呼び鈴が鳴らされ、檸檬ちゃんが応対したのだが……。


『あ~、スンマセン。私は心愛さんの担任してます、阿久津と申します。心愛さんの件でご相談がありまして参りました』

『お姉ちゃんのこと知ってるの!?』

『ええ、もちろん。帰ってくる方法もしってます』


 なかなか帰ってこない黒瀬を心配している檸檬ちゃんの下に原田が現れた。ドアの向こうにいる檸檬ちゃんに嘘で塗り固めた素性と口調で信用させようとしていた。


『いいやぁぁぁ……お姉ちゃぁぁぁん……お姉ちゃん、助けてぇぇぇ……』


 原田を信じたというより、姉恋しさでガチャリとドアを開けてしまった檸檬ちゃんだったが、その次のシーンには原田に処女を奪われ、目の光を失い、レイプ目になった檸檬ちゃんから原田の体液が垂れてしまっていたんだ……。


 そのあと原田と雅人がハイタッチをしていたシーンに怒りがこみ上げて、俺は『スクダイ』プレイ中にマウスを壊していた。


 回想したところで、俺には胸糞しか残らなかった。だからこそ俺はあいつらの好き勝手を許すつもりもない。



――――休日。


 雅人が原田にパパ活を垂れ込んだ週末のことだった。


【心愛】

《ごめんなさい》

《今日のデートは》

《キャンセルさせて》

《急用ができちゃって》


 理由を知っていた俺は黒瀬のメッセージを了承し、《またデートしよう》と返した。送り終えたときにスマホの画面を見ると赤い点が学校に到着していた。


 原田に呼び出されたあと、真っ青になり肩を落とした黒瀬だったので固有スキルパパラッチで彼女の心中を探ると、


【私さえ我慢すれば、八乙女くんを巻き込まないで済むんだから……】


 黒瀬の俺を身を呈して気遣う想いに涙があふれそうになるのを必死にこらえていた。


「兄さん!? 白兎馬になんて乗ってどちらへ?」

「世直しだよ」

「は?」

「若葉、ごめん。聴診器借りたから」


「へっ!?」

「いくぞ、白兎馬!」


 ヒヒヒーーーーーーーーーーーーン!!!


 ――――何だぁぁ!?


 ――――ウ、ウマァァ!?


 ――――白馬のおぅ……御曹司さまぁ!?


 ――――ウマ、カッケーーー!!!


 驚いたり、賞賛してくるご近所さんたちにペコリと会釈しながら、俺の乗れる乗り物で最速の白兎馬に騎乗し、黒瀬と原田の下へと急ぐ。


 学校に着くと部活に熱を上げていた生徒たちの注目を浴びてしまうが、そんなことに構うことなく、スマホ画面の赤い点がずっと一箇所で固定されている場所へ直行していた。


 ――――くははは! おれがおまえにたっぷり教育的指導をしてやる。大人しくしてろ。


 ――――好きにすればいいわ。でも絶対に八乙女くんを退学にさせないで!


 ――――それは黒瀬の心がけ次第ってな。


 体育館とグラウンドの間にある体育倉庫の扉に若葉から拝借した聴診器を当てると原田と黒瀬の声がしていた。原田のクソさに胸糞が悪くなると同時に黒瀬の自己犠牲の精神に思わず目頭が熱くなる。


 黒瀬姉妹に渡したお守りのなかにGPSを仕込んでおいて正解だった。


「なっ!?」

「八乙女くん!!!」


 カシャッ!


 思いっきり、体育倉庫の鉄の引き戸を開け放つと原田が下半身丸出しで体操用のマットに寝かせた黒瀬に迫っており、俺はカメラモードにしていたスマホで原田の悪行の証拠をきっちり収める。


「や、やめろっ! なにしてやがんだ!」


 手をかざして顔を隠す原田だったが、俺がそれでも撮り続けていると立ち上がり、俺に迫ってきていた。


「八乙女ぇぇーーー! おれが柔道五段にフルコン空手三段ってことを思い知らせて……」


 ピリィィィーーーーーーー♪


 俺に殴りかかろうとした原田の胸に触るように触れると原田は全身に電気が走ったように仰け反ったかと思うと、すぐに四つん這いになって地に伏せていた。


「いまおまえの秘孔を突いた。残念だったな、俺は少林寺拳法の六段技を修めているんだよ」

「な、なんだと!? あの北斗の拳のモデルになった圧法をだと!? 八乙女、おまえはいったい何者なんだぁぁぁーーーーーーー!!!」


「知れたことを……俺はただの高校生だ。それよりも下半身丸出しのままでいいのか? 今日はマジでヤバい奴といっしょだから気をつけろ」



 ヒヒヒーーーーーーーーーーーーン!!!



 大きくいなないた白兎馬は原田の汚いケツアナを見て興奮していた。白兎馬……いや中央競馬登録名ハラマセオーは目を血走らせ、前脚で原田の背中を押さえつけると人間とは比較にならない分からせ棒を見せつけていた……。 


「や、やめろ! やめさせろ、八乙女ぇぇーーー!おれが誰の息子か分かってやってるんだろうなぁぁ? おれはこの学校の理事の息子だぞっ! 八乙女、おまえなんかいつでも退学にできるんだ!」


 原田は理事の息子であることを強調していた。原田がやりたい放題できたのも、その地位を笠に着てのこと。


「はは、だからどうした? 俺の父さんは理事長の同級生でこの学校の最大の出資者だぞ。理事の息子のくせして、そんなことも知らないなんて不勉強にもほどがあるだろ」

「なんだとぉぉーーーー!?」


「おいおい、原田。俺に構ってる暇があったら、俺の愛馬の相手をしてくれ」


 原田がハラマセオーのほうを向いた瞬間だった。


「ギャァァァァァァァァァァァーーーーー!!!」


 原田はハラマセ棒を受け入れた途端、学校中に響くような断末魔のような叫び声を上げていた。


―――――――――自主規制―――――――――― 

真似しば:

「ねえ知ってる? 馬のアレの長さは70センチにもなるんだよ」

―――――――――自主規制――――――――――


「おほ、おほ、おほぉぉ! I’m knock uuuuuup!孕ませられりゅぅぅぅぅぅぅ!


 原田はハラマセオーによほど気に入られたらしく何度となく種付けされて、キモいおほ声をあげたのち、アヘ顔で舌を出し、よだれを垂れ流しながら突っ伏していた。


「良かったな、ハラマセオーに種付けされるなんて。ほら、種付け料の5千円だ。本当は逆に1千万円をおまえからもらわないといけないんだがな」


 白兎馬ことハラマセオーが馬肉にされそうになった理由は牝馬ひんばを見るなり、勝手に種付けを始めたからだ。駄馬のくせに種付けするな、と怒った前オーナーがハラマセオーを鞭で打って折檻せっかんしていたら、いまの原田と同じような目にあってしまったから……。


 だが善行が購入したあと、生産馬がG1レースを次々と制するようになり種付け料が高騰こうとう。1回1千万円を越えていたのだ。それが判明するのは悲しいことに善行が飛び降りたあとことなんだけどな……。


「ねえ……八乙女くん」

「ん? どうした、黒瀬」

「ウマ娘って、こうやってできるのかな?」

「いや、分かんねー」

「冗談だってば」


「だよな、ははははは」


 黒瀬の冗談に笑っていると彼女はまぶたいっぱいに涙を浮かべて、俺に抱きついてきていた。


「黒瀬……」

「……こわかった。でもまさか八乙女くんが助けに来てくれるなんて思ってもみなかった」


 俺はひとことも発することなく、黒瀬の涙と震えが止まるまで両腕で彼女を包みこむ。


 ゲーム内で黒瀬以外にも女子生徒に手を出し、口止め料にもならない安値で妊娠と病気のリスクのある生でやるという暴挙を重ねており、俺はその証拠を調べ上げ証言してくれる子を探し、ようやくその了承を得られていた。


―――――――――――――――――――――――

次話は原田の断罪回です。はてさて、数々の悪行を重ねた原田に待ち受ける運命は? 忘れちゃいけない穴兄弟が残ってますので、そちらもきっちりざまぁが待っておりますw ざまぁが良かったら、フォロー、ご評価お願いいたします。


●アンケート

ネコ耳メイド姉妹か、うさ耳バニーガール義妹、添い寝してくれるならどっちがいい? コメント欄で教えてね♡

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