第20話 嫌われ者【ざまぁ】
扉が微かな音を立てて開いたかと思ったら若葉が息を殺して入ってきて、メイド服を脱いでしまった。
なかに着ていたのは下着ではなく、水着……紐で結ばれたピンク色のマイクロビキニを俺のまえで披露する。天蓋つきベッドの柱を掴んでポールダンスっぽく、ふくよかなたわわを俺に見せつけるようにせり出し扇情的に振る舞った。
もちろん若葉は俺が寝ていると思っているのだろうが。
「こんなの……兄さんだから、見せてるんですからね。意味、分かってますか? 他の男の性欲にまみれたキモい目で見られると
夏でも長袖で過ごすことが多く、普段人前で肌を晒すことを極端に嫌う若葉が俺だけに素肌を晒してくれている。薄目でしか若葉の美しくも
くちゅ、むちゅ、くちゅくちゅ、じゅるる……。
若葉の奏でる音に思わず緊張してしまう。興奮をかきたてる
「兄しゃん、ひゃんと覚えてくだひゃいね、こりぇがわらひの味ですきゃら」
呂律の回らない言葉で告げ、俺の頬をしっかり挟み、男なら誰もがキスしたくなるような麗しい唇で口づけしてきたかと思うと、顎クイして俺の口にだらだらと溜めたであろう若葉のだ液を流しこんでくる。
舌で感じる絶世の美少女若葉のだ液。
俺にはポーションどころか、エリクサーに感じてしまう。主に下半身に限ってだが。
「兄さん……兄さん……好きぃぃ」
若葉は俺の頬を両手で挟んで、むちゅ、むちゅ、とキスを何度も飽きるまで落として、俺への独占欲を発揮していた。
「ダメですよ。他の女の子にほっぺにキスされて、鼻を伸ばしてしまうなんて。ちゃんと浄化しておかないと……」
まさかバレてたのか!?
せっかく萌香が若葉から死角になるよう配慮していたのに、まったく気づいてないと思われた若葉はちゃーんと萌香のキスを把握していた。
妬いて、むうっと頬を膨らました若葉は、萌香にキスされた俺の右頬を軽く摘まむと引っ張ったあと離した。そのあとはもふもふが怪我した傷を癒やすように、ペロペロと俺の頬を舐めまわしている。
「これで萌香さんのいやらしいマーキングは浄化されました。兄さんは私だけを見るべきなんですよ。私は兄さんのものです。兄さんが望むプレイはぜんぶ受け入れる覚悟はできてますから……」
若葉は俺のおでこに触れると人工呼吸のようにして口を開いてきて……。
んん!?
そのまま濃厚なべろちゅーをしてきていた。
「んふ、はぁん……兄さんの舌と私の舌が絡み合って、えっちれすぅぅ……上の粘膜だけじゃなく、下の粘膜もこんな風に愛し合いたい、んん、あん!」
若葉に俺の舌はいっぱいちゅっちゅと吸われたあと、若葉は面積の小さな水着をぴろっとズラす。
「はあ、はあ、他の女の子に浮気しちゃうような兄さんみたいにダメな子は私がちゃんと教育しないといけません」
銀色っ!?
俺の上で自家発をおっぱじめてしまい……。
―――――――――自主規制――――――――――
ああん、ダメだって……運営さまが見てるぅぅ。書けないよぉぉ……。
―――――――――自主規制――――――――――
若葉が熱く甘い吐息を吐くと、ぼたぼたと顔に落ちる彼女の生温かい汗(?)。
口に落ちた汗(?)をこっそり舐めとると、汗なのに甘酸っぱい味がして、許されるならもっと味わいたくなってしまうくらいだった。
「兄さんは毒々しい兄さんを私から寝取ろうとする他の女の子のお汁を飲んじゃいけないんです。ふふふ……さあ私だけのお汁を飲んで」
そうつぶやくと、若葉はゆっくりと腰を下ろしてくる。
若葉の俺のへの気持ちをうれしく思うと同時に、若葉以外の女の子と仲よくなることに罪悪感を覚えてしまう。
すべてはキミをクズの雅人から守るためなんだ……。若葉の圧に溺れる俺はそんな言い訳を心に思っていた。
――――翌朝。
「もう、兄さんはどれだけお寝坊さんなんですか……まだ高校が始まって間もないというのに先が思いやられます」
「ごめんごめん」
昨夜に俺を愛でていた若葉はまったくそのことに触れることなく、お小言を言ってくる。だが、普段はツンな態度を取る若葉が俺をデレデレで溺愛してくるのだから、かわいさしかなかった。
玄関を出て、並んで歩いているといつのまにか家の門にたどり着いたのだが……。
「おはよっ!」
「おわっ!? いきなり出てくんなよ、びっくりすんじゃねえか」
門柱に隠れていた萌香が突然出てきて、驚かされてしまった。
「どうしたんだよ、こんな朝っぱらから」
「うふふふふ、そりゃ善行といっしょに登校したいな~と思って」
甘えたように俺の肩にもたれてきた萌香だったが、すぐに若葉が割って入った。
「朝からなに盛っているんですか? 萌香さんには高校生らしい友だちつき合いを心がけていただきたいものです」
「若葉にそんなこと言われたくないわよ!」
俺も萌香と同感だった……。
ただ、若葉の逆夜這いは菜々緒先輩や萌香の好意に嫉妬してのことのことなんだよな。
そんな二人に挟まれながら、一週間ほど過ぎようとした頃だった。いつも学校には雅人の姿はなかったのだが、その日を境に変化が起こった。
ガラガラッ!
クラスメートたちのほぼ全員が昼食を終え、午後からの授業があと数分で始まろうとしたときだ。
教室の扉が開いて、雅人の登場に騒がしかった教室が静まり返る。
なんてメンタルなんだ……。
俺はどうやら雅人を見くびっていたようだ。その鋼のメンタルに敬意を払い
【やりてー! やりてー! ああやりてー!】
そんな猿みたいな中学生の性欲を般若心経の“
そのあとに続く本音を俺は訝しんだ。
【早くあの女にぶちこみてー】
あの女? 誰のことだ? 若葉なのか?
まあ、いい。ぜったいに雅人から目を離しちゃいけないことは分かった。
そのとき、俺は外から刺すような鋭い視線を感じ、教室のドアを見るとショートボブに紫のメッシュが入った女の子の髪がなびいていたので、気になり慌てて彼女のあとを追おうとした。
「兄さん! どこに行くんですか? もう授業はじまっちゃいますよ」
「あ、ああ……」
あの髪……どこかで見たことあるような。
誰だ? 思い出せない。
そのあと古典の先生が来て、いっしょに教室に入り俺たち兄妹は着席する。
雅人は久々の学校で漏らすことなく授業を無事終えたのだが、小休憩になると雅人は俺をちらと横目に見て、まさかの行動に出た。
無謀にも萌香たち陽キャギャルたちに声をかけていたのだ。
「なあ、オタって最悪だよな! 見ててなんつうかイラッとくるというかさ。それに八乙女なんかありゃ、オタを装ってポイント稼ごうとするクソ野郎だって!」
「はあ? それ、うちらに言ってんの?」
「サイアクー!」
「二度と声かけんな。このばい菌!」
「ねえねえ、場所変えよ」
「「だねー」」
「な、なんだと!? オレは中学じゃ、女子からチョコレートを100個もらってたんだぞ!」
「ダサ……」
「過去にすがるとか、キモっ」
「おしりからチョコ出してたら、世話ない」
萌香たちは雅人から離れて、別の場所へ移動する。雅人は一人残され、「ああ……」と去ってゆく萌香たちに手を伸ばす。どうやら雅人の思惑は完全に外れてしまったようだ。
それもそのはず、みゆきたちはオタクであることを隠さなくなった萌香により、
「めちゃ面白いじゃん! なんで萌香、隠してたの? もっと早く教えてくれればよかったのに」
「隠しごとはやだかんね」
「ごめん、ごめん。剣術戦嵐、ドハマリしてオールしちゃうから気をつけてね~」
オタということ以上に友だちなのに隠しごとをしていたことのほうが、みゆきたちにとって、重大な違反だったようだ。
萌香が俺の方を向くと、陽キャギャルたちもこっちを向いて、なにやら噂している。
「なんかぁ、善行くんて『その
「うんうん、コスの衣装とか一生懸命作ってくれて、尽くしてくれそう!」
ま、まあ裁縫もできないことはないんだが……。
「私、今日の放課後に告っちゃお!」
「えー、私が先だって!」
「だめーーっ!!!」
萌香が陽キャギャルたちに叫んでいた。一方の雅人はポツンと一人、掃除用具入れのまえに立ってぶつぶつ恨みごとを吐いていた。
「ちくしょー、ちくしょー、なんでこの超絶イケメンのオレが漏らしたくれえのミスで女どもにぞんざいな扱いを受けなきゃなんねえんだよ!!!」
ガンと用具入れを蹴飛ばしたのだが、当たりどころが悪く「いってぇぇーーっ」と叫んで足を抱えていた。
最後にオタクが勝つ! なんてな、はははは。
「はあ、マジつまんない……」
クラスメートたちが雅人の愚考を笑っているなか、一人頬杖をつき不機嫌そうに窓の外を眺める少し目つきの悪い黒髪の美少女がぼそっとつぶやている。
彼女は
―――――――――――――――――――――――
まさかの雅人の復帰。でも安定のざまぁwww
ただ鋼のメンタルの雅人がこれで終わるわけないですよね~。雅人も原田もざまぁして欲しい読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます