第18話 カンオチ

 変態丸出しの俺を残念そうにジト目で見ていた萌香だったが、すぐに気持ちを入れ替え次のラウンドに備えていた。


「ああっ、もう! もう一歩ってとこだったのに」


 だが俺のまえに一歩も手が出ず、サウスはルイーザに二歩も三歩も場外へ押し出されてしまっていた。


「これだけ負け続けても、闘志が衰えないのが逆にスゴいな……」

「うるさい、うるさい! 善行の着てるもの、ぜんぶひんむいてやんだから」


 萌香は地団駄じたんだを踏んで悔しがるのだが、ふと我に帰りあ然としていた。そう、彼女はもうブラウスを脱がなくてはいけないことに気づいたのだから。


 萌香は俺のまえで連敗した怒りからか、震える手でボタンをひとつひとつ外してゆく。


「あ~、もう外れないよぉ!」


 いらだちながら外していたのだが、はたと萌香はあることに気づいたらしく、やかんが湧いたように顔から蒸気を吹き出し、真っ赤になってしまう。


 それもそのはず、すでに萌香のブラは俺の手の内にあり、脱げば彼女のおっぱいは俺の眼前に晒される。


「うう……なんでなんでこんな恥ずかしいことになっちゃうの……」


 なんだかんだ言いつつ、脱衣の約束はちゃんと守る幼馴染に好感を覚えた。ブラジャーのサイズからすると萌香のカップはBだろう。


 それでも巨乳グラドルがカメラ目線で微笑んでくるのとは違い、身近な幼馴染の萌香がブラウスを脱ぎ、恥じらいながら手ブラする姿はグラドルなど霞むくらいグッと股間にくるものがある。しかも萌香の顔立ちはグラドルを凌駕する美少女ときてる。


 萌香は手で乳首を隠しながら上目遣いでじーっと威嚇いかくするように、俺をにらんでいた。不思議なもので、あれだけ憎まれ口を叩いていた萌香が静かに黙り、恥じらっているのでなんだかかわいく思えてくる。


 それと同時にかわいそうにも……。


 萌香は諦めが悪く肘でティクビが見えないように隠して、左手だけでコントローラーを握っていた。

 

「もう勝負はついただろ? 両手でも勝てないのに片手で勝てるわけないって」

「やる……最後まであきらめないんだから!」

「そんな意地を張んなくてもいいって……」


 萌香は聞く耳を持たずに、それでも画面を見続け戦っていたのだが、攻撃時に右手でボタンを押すものだから萌香の胸元の綺麗な色のボタンまでチラりと見えて、俺は前屈みになった。


 萌香……。


 それでもスポット的にボタンを押すような状態で勝負になるわけもなく、呆気なくサウスは俺のルイーザの餌食えじきになっていた。


「うう……そんな……1勝もできずに全敗なんて」


 ついに萌香は最後の砦であるパンティすら失ってしまった。


「見たら殺してやるんだから、絶対見ないでよ」


 俺をキッと睨んだあと、萌香は後ろを向いてしまう。そのときシュシュに一瞬、手がいったかと思ったのだが、すぐに萌香はパンティのウエストに手をかけ膝下まで下ろしていた。片足になり、パンティから足を抜く動作がいちいちエロい……。


 まえこそ見えないが萌香のおしりは俺から丸見えだ。俺の視線に気づいた萌香は慌てて、桃尻を手で隠す。


「み、見ないでよ!」

「たくっ、自慢の身体なんだろ。悪かないぞ……」

「ほめるんなら、ちゃんとほめなさいよ!」


 俺にすっぽんぽんにされた萌香はよほど恥ずかしかったのか、ぼふっと俺のベッドにダイブして、恨みごとを言っていた。


「煮るなり焼くなり、善行の好きにしなさいよ! どうせ若葉と毎日、シてるくせに。このオーク以下の鬼畜外道!」

「えっ!?」


 それって、萌香とシてもいいってことなのか? 俺はまったくそんなつもりはなかったので戸惑うしかない。俺の枕に顔を押しつけ、萌香は恨み節を吐きながら拗ねている。


「どうせ善行はあたしのことなんて、若葉とおんなじ性欲処理のオナホぐらいにしか思ってないんでしょ! ずっともとか言ってたくせに、ゲームのフレぐらいにしか思ってないだもん……」


「いや俺は嫌われてるとばかり……それに若葉とは清い……関係だ」


 若葉がこっそり俺の性欲処理していることは、この際話がとんでもなくこじれそうな悪寒おかんしか湧かないので黙っておこう。


 萌香は振り向き、恥ずかしいのか俺から視線を逸らすとシーツを口に当てながら、ぼそりとつぶやいた。


「嫌いな男の子の家に来るわけないって……」


 その瞬間、わざわざ脱いだものまで身につけ、フル装備になった萌香がシュシュだけは取らなかったことに気づく。


「もしかして、そのシュシュ……俺があげたものだったりする?」

「そうよ! 善行の鈍感ばかぁ……」


 なんだよ、こいつ……俺のこと散々こき下ろしておいて、昔あげたシュシュを裸を見られるよりも後生大事につけたままでいるなんて、反則だろ。


「じゃあ、なんで脱衣勝負なんて持ちかけてきたんだよ」

「だって……かっこよくなった善行の筋肉見たかったんだもん」


 はたと俺は気づいた。


 天草四郎時貞の胸元は大きく開いて、たくましい大胸筋が露わになっていたことを……。


「あたしばっか見られて、ハズいじゃん。善行のも見せてよ」

「あ、ああ胸くらいなら……」


 俺が頷き、要望通りシャツを脱ぎ捨て、萌香と離れていた距離がぐっと縮まったかのように思っていると彼女はとんでもないことを言い出した。


 大胸筋を萌香に見せると顔がかーっと赤くなり、あれだけ俺のことをこき下ろしていた彼女がうっとり俺を見つめて、素直な言葉が漏れてしまう。


「善行かっこいい……」

「でも萌香はイケメンなら誰でも良かったんじゃ……」


 脳裏に雅人の策にはまり、身体を許す萌香の姿がよぎってしまい、彼女に訊ねていた。


「うん、イケメンは好き。でもオタで、オタにやさしいイケメンはもっと好き!」


 萌香!?


 温かく、ぽよんと溶けそうなほど柔らかい感触が俺の肌から伝わり、ドキドキが止まらない。萌香が全裸のまま秘めた想いを爆発させるように抱きついてきたからだ。


 俺は戸惑いながら、曖昧に萌香に答える。


「俺はオタだけど、オタにやさしいかどうか……」

「ううん……意地張ってたあたしを何度も止めようとしてくれてたし、やっぱり見た目は変わっても善行は昔のまんまでやさしいな、って思っちゃった、えへへ」


 俺はホンモノの善行じゃない……。


 そう答えてしまうと彼女の期待を裏切り、絶望したところを雅人につけ込まれ、不幸な未来しか見えなかった。


 いま、善行は俺なんだ。


 萌香の肩を抱いて、彼女を見るとぽろぽろと滴が頬を伝ってこぼれ落ちてしまっている。小さいころにいっしょにお風呂に入ったときはつるぺただったのに、今はすっかり出るとこ出て、引っ込むところは引っ込んだ魅力ある大人の女の身体つきだ。


「……萌香もすごくきれいだ」


 首筋から鎖骨、ちょうど俺の手に収まるくらいの程よい乳房に、かわいいおへそと人恋しく涙を流す下半身……。


「きれいってほめんなら、触れるぐらいしなさいよ……」

「えっ!?」


「若葉とは本当にシてないんだよね? じゃあ、あたしと練習する? 失敗したら、若葉から嫌われちゃうよ」

「練習って、もしかして……」


 萌香はなにも応えず、微笑んでただコクリと頷くだけ。恐る恐る俺は萌香の乳房に手を伸ばしていた。


【B82 W56 H84】


 小柄な萌香のプロポーション……。固有スキルで覗いてみたら、【久々に再会してら善行がかっこよくなってたのに若葉とあんなことしてるとこ、見せられたらあそこがキュンキュンしちゃう……】らしい。


 泣き笑う萌香のまぶたにたまった涙を親指で拭ってやると、彼女は目を閉じ俺の答えを待っている。


 ここで幼馴染とキスしてしまったら、最後まで至り若葉を裏切ってしまうんじゃないかと思ったときだった。


 部屋の扉が開き、ドリンクなどを運んでくる猫型配膳ロボットが静かに入ってくる。驚いて目を開ける萌香だったが一般家庭での珍しさからか、うれしそうにはしゃいでいた。


「あっ、デラボットじゃん! やっぱ無駄に金持ちだよね~、善行ん家は」


 だが俺は違和感しか湧かない。


 あれ? あんなデラボットって、こんなにでかかったっけ?


 それにランチやドリンクを載せているトレーがなくて、人が入れるくらいの箱が載っており、そこからウィーーンと音を立てマニュピュレータが出て……。


 って!? 


 ただのヒトの腕じゃんっ!!!


「ご主人公サマぁ! ただいまから意地汚いメス豚を調教します。少し離れていてくだサイ」


 いや、いまの若葉の声だろっ!!!


「ひっ!? なんなのよ、なんなの? こいつ、や、やめてよ……やめぇぇ……ら、らめらめっ」


 デラボ……中の人が明らかに若葉っぽそうな猫型配膳ロボットは萌香のおっぱいと大事なところに手を伸ばしていた。


―――――――――――――――――――――――

想いをひた隠し、ヒールを演じていた萌香。恋のライバル登場にどうする若葉! って、もう行動に移してましたねw 善行も善行で、ブチ切れた若葉の搾精のお仕置き必至! 逆夜這いえちえちがもっとみたい読者さまはフォロー、ご評価お願い申し上げます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る