第16話 メスダチ

――――善行の部屋。


 ぺちぺちぺち……。


「安西先生やめろ」

「えー、なんかぁ、たぷたぷできなくなってるじゃん。あれ好きだったのに、どーすんのよ」

「知るかよ」


 萌香は俺の横にならんで、某バスケまんがの主人公よろしく俺の顎に気安く触れて、いじってくる。


 勝負しろ、とやたらうるさいので、仕方なく招き入れた幼馴染の萌香。思春期に入ると萌香が家を訪れる機会は減ってゆき、中学が別々になり疎遠になっていたが、数年ぶりに俺の家へとやって来ていた。


「相変わらず広いわね。親のすねをかじるだけしか能のない善行の部屋って感じだけど」


 部屋に招き入れた途端、メスガキ発言が飛び出す萌香だったが、部屋はすっかり整理されオタク感は皆無であり、フィギュアやプラモ、マンガやラノベ類はクローゼットや書庫の中だ。


「親の世話になってんのは認めるけど、脛をかじってんのは萌香も変わらねえだろ……」

「う、うるさいわね、高校生なんだから仕方ないじゃん。そんなことより、マンガ見たい」


 痛いところを突くとサッと話題を変えるのが萌香のいつものやり口で、善行は常に言い負かされてしまっていた。


「あったあった、まん喫になかったんだよね」


 だが萌香は鼻歌混じりに勝手知ったる俺の部屋でクローゼットを開け、『自滅の刀』の最新巻を取り出すとソファーに足を投げ出して座り、さも自分の部屋であるかのように振る舞う。


「たく、なにしてんだよ。家にくつろぎに来たのか勝負しにきたのかはっきりしろって……」

「うっさいわね、。あっ! そうだ。まだ善行のエロい漫画あるかなぁ~?」


 俺が萌香の態度に業を煮やして、注意すると彼女はまたクローゼットを漁り、自滅の後ろにこっそり隠していた俺の秘蔵の単行本を抜き取って、テーブルの上に並べていた。


 漫画はブックウォーカーに掲載されてる『異世界迷宮でハーレムを』、『セックス&ダンジョン』、『ラストギアス』……。どれをとっても肌色率が極めて高くて、えっちばかりしてるもの。


 萌香は俺をあざ笑うかのように、にやにやしながら言ってくる。


「善行って、マジ好きだよね~、この手のエロいの漫画」

「ご、合法だ! これらは成人指定されてない健全な漫画なんだからなぁ!!!」


「マジ、善行は若葉のように控え目な女の子好きだよね~、お腹よじれそう! つか、あんた彼女がいないからって若葉しか手を出せないとか、クソザコすぎでしょ」


「さっきから言ってるが俺は若葉に手だしなんてしてねえ。頼まれたらから……見てただけだ」

「どうだか。手は出しませんけど、中には出しますとか? もうサイテーのウジ虫じゃん、きゃはは」


「あのな……俺が男女同権主義者なら分からせてやってるとこだぞ!」

「えー、どうやって分からせるの? 意気地なしの善行にそんなことができるの? ねえねえ、じゃあやって見せてよ」


 萌香はすっかり久々の俺の部屋に馴染み、黒い靴下を脱ぎ捨てた生足でうりうりと俺の太ももを押して、挑発してくる。我慢の限界を迎えた俺は、さっと萌香の足を掴むと萌香の顔のそばに手をついていた。


 まっすぐ萌香の瞳を見つめると、頬を赤く染めて俺から顔を反らして、彼女は強がりを吐いた。


「い、いまさら壁ドンなんてされたって、ど、ど、ど、どうってことないんだからね。そ、そ、その程度の女の扱いする男なんて、慣れっこだから!」

「その割に余裕なさそうじゃん。汗がスゴいな」


 売り言葉に買い言葉……正確には壁ドンというより、俺の迫る圧力に負けて、萌香はソファーに寝そべってしまった。萌香は視線が定まらず挙動不審ぎみになり、俺が予想するより遥かに焦っている。


 雅人に籠絡ろうらくされた萌香はメスそのものになってしまうんだけど、いまもその片鱗が見えてしまっててちょっとかわいいのだが、やっぱりもっと分からせてやらないとな。


 萌香の腰に跨がり、彼女が逃げられない程度に足で挟んだら、ブラウスのボタンに手をかけると額から滴り落ち、ブラウスの脇は黒っぽく染みて、萌香の股ぐらのそばのソファーの皮には滴が垂れてしまっていた。


「な、なに本気になってんのよ……き、キモいって……は、早くゲームで決着つけよーよ……」

「分かった」


 萌香は事後のように着衣を直し終えるとテレビボードの引き出しからSvitchスビッチを取り出しセットしている。


 ゲーム機をセットし終えると萌香は俺にコントローラーを放り投げてスイッチを入れると、ドカッとソファーに腰を落して隣に座る。


「さっきはいいようにやられたけど、勝負は手を抜いたりなんてしないから! 忘れてないでしょうね、勝負に負けたら脱衣ってこと……」

「んな萌香そんなの止めて普通に勝負しようって」


「きゃはは、そんなこと言って。善行は短小包茎のチンカスまみれの粗チンだもんね。見られるのが恥ずかしいだけなんでしょ。でもあたしはあんたと違って、思わず男が黙っていないような素晴らしいプロポーションだもん。妹に手を出さないといけない善行なら見たいでしょ、ぜったいに見たいに決まってんだから」


「勝手に言ってろ」

「なにビビってんの? ちょっと格好よくなったからって、やっぱり意気地のないところはまったく変わってないじゃん! さっきだって寸止めとか信じらんない。あ~ホント、ダメダメね」 


 俺が止めたから、なんにもなかったのにこれだ……。


 俺がグリーンのドレスを纏ったマリアの妹ルイーザを選択した瞬間に萌香はけたけたとお腹を笑ってしまっていた。ルイーザはTier Bにランク付けされており、日本ランカーと世界1位では、差がありすぎるとハンデのつもりだったんだが……。


「あ~私の勝ち確定じゃん! めちゃ余裕~、やだやだ善行のくせに強がっちゃって。あ、分かった! あたしに負けたときの言い訳に弱キャラ使うつもりでしょ。ん~、マジセコ~い」


 萌香は強化外骨格をまとうTier Sのサウスを選んだ。


「善行とゲームしても、あたしが勝ち過ぎてつまんな~い」

「やってもみないうちから決めつけるのはどうかと思うがな」


 ――――3・2・1!


「なっ!? なんで私のサウスが落ちてんの!」


 余裕をぶっこいて油断していた萌香に開幕ダッシュをぶちかまし、サウスを場外へ押し込んだ。


 あまりに呆気ない結果にコントローラーを掴む手をぷるぷる震わし、歯噛みする萌香に俺は取り決めの確認を行う。


「萌香さんよ、忘れてないよな? 負けるごとに服を脱ぐって約束を!!!」

「いまのはサービスよ! 善行が1勝も出来なかったら、泣いちゃうかもしんないし。むしろ感謝して欲しいくらいだわ」


 意外と日本ランカーっていっても、そんなに強くないな。


 なんだかんだ俺をザコ呼ばわりしておいて、対戦まえにはブレザーから脱いだ靴下まで履いてフル装備になった萌香に対して、一方の俺はシャツに、メガニケの紅蓮がプリントされたインナー、パンツにズボンと軽装だ。


 ブレザーを悔しそうに脱ぎ捨てた萌香は宣言する。


「次はぜったいに負けないんだから、覚悟しなさい! あんたの粗チンを撮して、一生逆らえないようにしてやるってば」


 相変わらずの減らず口だったが、俺はそんなことよりブレザーを脱ぐ際に腕が萌香の乳房が当たり、ぷるんと揺れたことのほうが気になってしまった。


 萌香の減らず口を俺は黙らす自信があった。


 萌香はまぐれだと思いこみ、俺が世界1位だとはまったく気づいてないからな。そのたわわ……見られても知らねえぞ。俺はちゃんと止めたんだから。


―――――――――――――――――――――――

安西先生! 作者もK社レーベルさまから【R15】で、おせっせしても大丈夫な合法エロのコミカライズ原作が書きたいです!

脱衣麻雀ならぬ、脱衣ス○ブラの行方は!?(配信して倫観堂から怒られる奴w) とりあえずメスガキの萌香をすっぽんぽんにしていきますので、作者がんばれと応援してくださる読者さまはフォロー、ご評価いただけるとありがたいです。

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