第13話 自己紹介
教室に流れる空気が変わる。
ひとりだけ体育でもないのに青いスクールジャージを着た雅人が教室に入ってきた瞬間、クラスメートたちの顔色がはっきり分かるくらいに変化していた。ある者はうつむき、またある者は雅人から目を背けていた。
これが他人のことなのに恥ずかしくなってしまうという共感性
俺の幼馴染だった白石が所属する陽キャグループは
さすがに高校生だから、小学生のように学校のトイレに行っただけで“う○こマン“などのガキ臭い二つ名を拝命するようなことはないとは思うんだけど、少なくとも雅人はうちの高校にいる限り、人権を失ってしまったと断言できる。
「では一条先生、あとは頼みます。それにしても初日から大変ですなぁ……」
「大丈夫ですよ、なんとかなるでしょう~」
自爆テロ犯の護送任務を終えた体育教師の原田は深いため息を吐いて教室をあとにしたのだが、一条先生を見る目つきがたまらなくいやらしい。たわわな胸元やくびれた腰つき、おしりに太ももを舐め回すように……。
それもそのはず、ゲーム内じゃ原田はヒロインたちを脅して関係を迫るクソ教師。
犯罪者が犯罪者を護送するとか、世も末だ。って、エロゲのなかだから仕方ねえよな……。
生徒と保護者だけになった教室で一条先生はポンと軽く手を叩いた。
「ホントはね、明日に自己紹介してもらう予定だったんだけど、せっかくみんな教室に集まったことだし、今日しちゃいましょうか」
一条先生は
それぞれあいうえお順で自己紹介していったのだが、序盤につまづく。“あ“から“い“の苗字に変わった途端教室のなかが静まり返って、誰も席を立とうとしなかったからだ。
30秒ほどの沈黙だったが、やたらと長く感じてしまう。
「稲垣く~ん、次はキミですよ。お願いしますね」
先生は雅人にやさしく自己紹介を促したのだが、雅人は歯を食いしばり震えるだけ。
――――あとが詰まってんだから、早くしろよ。
――――マジでくそったれ、だな。
――――サイアク~、うちらまでハズいじゃん。
口さがないクラスメートは小声で雅人の煮え切らない態度を批判する。
「くそっ、くそっ、なんでオレが……稲垣雅人だよっ! 文句あっか!」
――――逆ギレかよ、ありえねー。
――――ごめんなさいとか、謝罪なし?
――――A組の面汚し、つか糞漏らし。
そんな声が漏れ聞こえてくる。
雅人が謙虚に迷惑をかけたことを先生やクラスメートに保護者に謝罪できていれば、良かったものを……。さっきの悪態で体調不良で仕方なかったのかも、みたいな同情をいだくクラスメートまで敵に回したかもしれなかった。
雅人以降は順当に自己紹介は済んでゆき、俺の番まで回ってくる。
「八乙女善行です。アニメ、マンガ、プラモと割とオタなんでよろしく」
俺が目立たないよう陰キャっぼく簡単な自己紹介を終えたのだが、そのとき座席がガタンと大きな音を立てた。
「よ、よしゆきだってーーーーーーーーーっ!?」
「萌香さん、静かにしましょうね。まだみんな自己紹介が終わってませんからね~」
「みゆたん、ごめん……」
大きな声で俺の名前を叫んだ萌香だったが、すぐに一条先生にたしなめられ、萌香は意気消沈して着席する。おそらく痩せて昔の面影がまったくないことに驚いたんだろう。
――――やだ、オタなのに格好いいとか反則ぅ!
――――放課後、LINE交換したいな。
――――彼女とかいるのかな、いるよね……。
俺に注目するのは萌香だけでなく、他の女子たちも先生の目を盗んで、ひそひそ声で話をしているっぽかったが、それも若葉の自己紹介で吹き飛んでしまう。
――――綺麗……。
――――
――――マジ、エルフ!!!
――――かわよ。
若葉が席から立ち上がるだけで、美しい銀髪がふわりとなびいて、男女問わずその場にいた全員が彼女に目を奪われていた。
「八乙女若葉です」
だがみんなの期待に反して若葉は自分の名前を告げると、ふっとなにごともなかったかのように着席してしまう。
兄としては、できればもう少しクラスメートたちには、フレンドリーにとは思うのだが絶世の美少女も中身はかなり人見知りなところがあるので、仕方ないと諦めてしまった。
にも拘らず、クラスメートたちは若葉のまったくデレを見せない塩対応に、
――――うおっ、塩対応令嬢マジ、かっけー!
――――かわいいのに男子に媚びないっていい!
――――友だちは無理でも臣下に、いや奴隷に。
――――若葉たんは、おれの一生の推し決定。
まるでアイドルのライブのように熱狂して、「こらこら、そんなに若葉さんがかわいいからって、はしゃいじゃダメよ~」と先生からやさしく注意を受けていた。
「それじゃ、また明日も元気に来てくださいね!」
「「「「「はーい!」」」」」
みんなは元気に来れても、
自己紹介も終わり、雅人にとって前途多難な入学式は終了した。放課後となったことでクラスメートたちが若葉に臣従の証を立てにきたのだが、若葉は「止めてください」と一蹴し、俺の手を引いて両親の下へと向かう。
両親に先に帰ってもらったあと、廊下で彼女からブレザーの
「兄さん……ひとつご相談があるんです」
「ん? どうした」
ここではと若葉が気まずそうな表情をしたので場所を変え、俺たちは人気のない屋上手前の踊り場へ移動していた。
もしかして若葉は俺に愛の告白でもするのか!?
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たくさんのフォローにご評価、マコトにありがとうございます! これからもおっぱいnice b○rtしてイク予定なので、よろチクビ♡
昼の踊り場で兄妹二人……えっちでしょうw
ああ、またヤバいよヤバいよ!
フォロー、ご評価いただけましたら、作者の自爆覚悟のエロを見せてあ・げ・る♡
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