第12話 人妻女教師

 新入生の一人を除く全員とその保護者が体育館から避難するように出ていくが、一年生の担任以外の先生たちは雅人の汚物の片づけにバケツやモップにぞうきんを持って奔走ほんそうしている。


 そんな最中、雅人は広い体育館のほぼ中央で虚空を見つめて、立ちすくんでいた。そんな雅人の姿を目の当たりした俺の脳裏には、『スクダイ』のバッドエンドで流れる“哀しみの不幸へ♪“が再生されてしまう。


「……兄さん、行きましょう」

「ああ、そうだな」


 俺の袖を掴んで体育館から退出を促してくる若葉だったが、どこか目が泳いでいるような気がした。まああんなの見せられたら、男でも動揺するのに女の子だったら、なおのこと嫌だろうな……。


 それにしても雅人はなぜか盛大に汚物を垂れ流してしまったが理由はまったく分からない。


「入学式は各クラスで行います! クラスは掲示板にありますので、そちらを確認後に速やかに教室に移動してください」


 体育館の外では拡声器を使い、アラフィフの教頭先生が案内していたのだが、非常事態に焦っていたのか頭髪の位置が斜めにズレてしまっていた。


 体育館から教室へ異動している途中、俺たちのまえを歩く金髪をシュシュでツインテールにした女の子の後ろ姿を捉えた。背丈からして間違いなく、善行の幼馴染の白石萌香しらいしもえかだった。


 萌香のスカートの丈は短くうら若き乙女の生足を「見て! 私のキレイなあんよを」みたいにさも自慢げにさらけ出し、アングルを変えればすぐに下着が見えそうなくらい。


 ――――高校初日から漏らすとかねーわ。


 ――――ホント、サイテー!


 ――――あれって、女ったらしの雅人だよね?


 萌香は同中おなちゅうだった陽キャな子たちと雅人のことを話すことに夢中で、容姿の変化した俺にはまったく気づいてなさそう。


 廊下で先生たちから、あいうえお順で席に座るよう指示され着席するのだが、教室の後ろには俺の両親はもちろんのことクラスメートの保護者もおり、図らずも親同伴で教室へ移動してきていたため、授業参観のような形となってしまっている。


 そこへ、ガラガラと教室の前側のドアが開いて、ひとりの大人の女性が入ってきたのだが、彼女を見て、クラスメートの父親たちはズボンをもぞもぞさせたり、鼻の下が伸びたことで隣にいる配偶者から肘打ちをもれなく食らっていた。


 それも仕方ない。


 錬金工房シリーズのルイザを描いた神絵師、とりのもも先生もびっくりなほど、ムチムチした女教師が現れたからだ。とくに太ももはスゴい!


 思春期の男子にはけしからん過ぎるエロボディは教師よりもセクシー女優のほうが向いていると思う。


 紅茶色の長い髪が毛先で緩く巻かれており、垂れ目で優しそうな笑みを浮かべ既婚者の一条先生が教室にいるみんなにあいさつしていた。


「はいはーい、皆さーん。はじめまして、1年A組の担任になりました一条みゆきと申します。これから一年間、皆さんといっしょに学んでいきましょうね♡」


 中世の貴族を思わせるボリューミーなフリルシャツにタイトスカートからわずかに太ももがはみ肉してるのが、どちゃくそエロかった。ちなみに一条先生は水泳部の顧問なので、水着を着ると横乳とか出てて、もっとヤバい……。


 ゲーム内では、そんな一条先生は旦那さんとレスになっており、その悩みを聞いた雅人が旦那さんから寝取った上に妊娠させてしまっていた。


【今日こそ、ゆうくんとえっちしたい……】


 俺だけ見えるステータスの本音。


 固有スキルパパラッチで探るとやっぱりレスっぽい感情にあふれているようだ。てゆうか、あの誰もが股間を……いや夢を膨らせ憧れる一条先生と結婚して、なにゆえレスになるのかが不思議でならない。


『人生にはさまざまな困難が待ち構えていますが、そんな荒波にも負けない芯の強い生徒になってください』


 教頭先生の締めのあいさつが放送されるなかで俺に流れこむステータスの文字。


【ダメ……誰かに見られちゃう】


 みんなはまさか先生が、教卓に隠れて悶々とした性欲解消のために自家発しているとは思ってないだろう。


―――――――――――――――――――――――

 ピー自主規制音がピーでピー、ピー、ピー!!!

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『最後になりましたが、生徒諸君とご臨席の皆さまのご健勝をお祈り申し上げ、渡鹿野わたかの高校入学式を終えたいと思います』


 ボオンとマイクがなったかと思ったら、教頭先生の締めのあいさつで異例中の異例の入学式が終わった。


 それに合わせ、みんなに悟られることなく充電を完了した先生。それに気づく者は……俺しかいない。もちろん先生は声を殺していたが俺にはステータスを通して伝わってしまい……。


「兄さん、兄さんったら……大丈夫ですか? まさか兄さんもお腹が痛いのですか?」

「いや、大丈夫だから。痛いわけじゃないから」


 むしろムラムラする……。


 前のめりになった俺を若葉が心配してくるのだが、先生のステルス自家発で俺まで充電ならぬ充血していたとか言えるわけがない。


 さすがエロゲの高校だ!



 放送が終了すると先生は何事もなかったかのようにプリントを配布してゆく。プリントに目を配ると、


【高めよう! ひとりひとりの人権意識】


 などという注意事項などが書かれた配布物に目を通していたのだが、雅人の人権が奴が漏らしたことで高まるどころか皆無になってしまったことで草しか生えない……。


「失礼します、一条先生。連れてきました」

「ありがとうございます、原田先生」


 俺が人権が意識だけでは回復しないことにシュールさを感じていたそのときだ、教室のまえのドアが開いて、ひとりの生徒がゴリマッチョの体育教師の原田とともに入ってきたのだが、着ている服は制服ではなく体育でもないのにジャージ姿の雅人だった。


 そこへ集まるクラスメートたち全員の侮蔑の視線……。


 入学初日からクソを漏らしてしてしまった女ったらしの雅人に果たして、女の子たちを落とせるのだろうか? いやそれこそ無理ゲーだろ……。


―――――――――――――――――――――――

市中引き回しよりも酷い拷問w

まだまだ若葉やセンセを寝取った罪の断罪が甘いという読者さまはフォロー、ご評価、どちらでも良いのでお願いいたします。


本日、カクヨムのコンテストに落ちて、哀しみの不幸へ♪ リアルにイッてしまった作者ですwww

浮気せずにラブコメがんばれ、とフォロー、ご評価、コメの応援お待ちしております!

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