第9話 クソ主人公
クソ野郎どもが俺に一斉に襲いかかってくるが俺は平然とその前を歩き、戦闘スキルを発動させる。
「かはっ……かはっ……」
「い、息が……で、できねぇ……」
「か、身体も動かねえ……」
俺の
二階堂平法っていう剣術の奥義でエロゲのくせして、チートっぽい戦闘スキルがあるのが『スクダイ』の特徴だ。
ちなみに雅人でプレイしてると習得の難易度が高すぎて、ヒロインの攻略そっちのけでやって、三十路童貞の
「若葉、終わったよ。先を急ごう」
「ありがとう、兄さん。ちょっとだけ待っててください。つまらない者を見て、
「大丈夫か?」
こくりと頷いた若葉は電柱の後ろでなにか黒いオーラをまとい
「はあ、はあ……兄さんはやっぱりかっこいい。兄さんは至高にして最高のお人。見るも堪えない汚物に兄さんが負けるわけないんです。ああ、本当に汚い物を見て私の目はただれそう。早く兄さんをいっぱい見つめて浄化しなければ……私の目は見目麗しい兄さんを見るためだけについてるんだから」
なにを言っているのか、聞き取れないがひとしきり恨み事を吐き出した若葉がもどってくる。
「兄さん、もっとしっかり私を守ってください。でないと二人で通う意味がありませんから」
「あ、うん。じゃあ、あんまり俺から離れないようにな」
「離れません。離しません、私の命がある限り……ぜったいに。転生してもいっしょです」
「なんか言った?」
「いえ、なにも」
絡まれる前よりも若葉は俺にすり寄り、ちょんちょんと手のひらを指でノックしていた。なるほど恋人繋ぎして、偽装彼氏を演じろということらしい。
「ま、待て……おいていくな……」
「ぐ、ぐるじい……」
「じ、じぬぅぅぅ……助けて……」
喉をかきむしり白目を剥いて泡をカニみたいに吹き出す不良たち。
「若葉、ちょっと待って。後ろを振り向いちゃだめだからな」
「はい?」
少し不思議そうにしたが、若葉は素直に俺の言葉に従い、学校のほうを向いていた。
ズルッ!!! ズルッ!!! ズルッ!!!
「や、やめ……ろ」
「うわ……ぁぁ」
「ひっ……ぃぃ」
まるで秘宝館だな。
俺は
「せいぜい後悔しろ。『助けて』と許しを乞う者たちを笑いながら、殴り、犯し続けたことを……」
スキルは時間経過で解けるかもしれないが、解けたときには警察のご厄介になってることだろう。
「お待たせ」
「兄さんは彼女を待たせてしまいそうで心配です」
俺に手をつなぐよう若葉は妖精かと思えるような透き通る肌の手を差し出す。
「俺は彼女といるより、若葉といるほうが楽しい」
「はわわ……また、そんな見え透いた嘘を……」
手をつなぎ、若葉に本音を告げると彼女の手が急に温かくなるのを感じてしまう。若葉とこんな風に仲良くずっと過ごしたいと願い、不良たちから離れていくとき、俺たちの背後から「キャァァァァーーー変態ぃぃぃ!」と叫び声が響いていた。
そのとき、俺は電柱の裏に隠れていた男の視線を見逃さなかった。
雅人……次はおまえだ。覚悟しておけ。
影でこそこそしている男に向かって、俺は心のなかで言い放った。
最大の難関を乗り越えたことに、俺はふうと胸を撫で下ろす。雅人と若葉のファーストコンタクトのイベントのフラグをばっきばきにへし折ってやった。
『スクダイ』のヒロインたちは雅人と出逢うのが早ければ早いほど、焼いたハマグリかよ! と、つっこむくらい雅人にぱっかぱかに股を開いてしまうチョロイン揃い。
だが、ひとつでもイベントを逃すと途端にハードモード、いやデスモードに突入し、ヒロインたちから
まあせいぜい頑張れ、
―――――――――――――――――――――――
某所で作者のことか分からないけど、垢BANされた作家でも書籍化できんの? みたいなコメがあったんです。時期的に丸被りだったし……。ロリなH動画を所持してて書類送検されちゃった原作者さまの作品でもリメイクされるんだから、K社レーベルは無理でも希望はあると思いたいです。
そんな人達に見返しざまぁできるようにがんばりますので、よろしければフォロー、ご評価お願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます