第6話 排卵日

 まさか菜々緒が号泣と言っていいほど泣いてしまうなんて思ってもみなかった。動画を撮ったのも彼女が若葉をいじめないことと、雅人対策のためであって、思い通りにしようとか邪な考えはない。


 まだ泣いていないか風呂場の外で彼女を待っていたら、浴衣を羽織りさっぱりした顔で出てきたのだが、日本人離れした若葉とは正反対の美しさに思わず俺は息を飲んだ。


 まだ乾ききっていない濡れた黒髪が薄紅色の生地に花がらの浴衣とよく似合い、和風美人そのもの。パワハラまがいのことをしなければ、かわいいと彼女に素直に言えそうなくらいだった。


 菜々緒と目が合うと、俺は彼女から顔を背けてしまう。若葉いじめる奴ぜったい許さないマンになった俺だったが、やっぱり雅人みたいな鬼畜になれそうになく、女の子を泣かせてしまったことが後ろめたい。


「あっ、師匠ぉぉ~」

「師匠?」

「はい! 私に勝ったから善行さまは今日から私のお師匠さまです」


「お師匠と言われると、とてもご支障があるんだけど……」

「いいじゃないですか、私がお慕い申してるんです!」


 頬を膨らませて、ぷんぷんする菜々緒の変わりように俺は驚きを隠せないでいる。まさか彼女がこんなかわいい表情ができたなんて……。


 俺が驚いていると菜々緒の身体がふらふらと左右に揺れだして、片方のスリッパが脱げたかと思うと、彼女はのぼせてしまったのか、ふら~っと俺に寄ってきたので彼女の身体を受け止める。


 その途端、菜々緒とシャンプーと石けんのとてもいい香りが漂い、変な気分になってしまう。それだけじゃなくなにか妙に生暖かくて、とても柔らかいものが手に当たっていた。


「あん! こんなところで……師匠のえっち……」

「なぁぁぁーーーっ!?」


 つけてないだと!?


 あろうことか、俺の手は浴衣の襟のなかにずっぽり入りこんで菜々緒の生おっぱいに触れてしまっていた。


 菜々緒は鍛えているから硬いかと思ったら、つきたてのお餅のように柔らかくて、手が吸いつき一瞬触れた手を離すべきか迷ってしまいそうになる。


「ご、ごめんっ!」

「謝らなくていいの、私は師匠のものだから……」


 また俺にセクハラされて菜々緒に泣かれてしまうと思い、俺は慌てて菜々緒のおっぱいから手を引こうとするが手首を掴まれ、彼女からおっぱいに触れるように促されているように錯覚する。


 公式設定資料集の乳比べによると菜々緒のおっぱいは若葉より小ぶりみたいなのだが、雅人とのエッチシーンを見る限り色、形ともにかなり美乳だった。


「なななな、なにしてんだよ!?」


「私はぁ、師匠と子作りしたぁ~い。師匠の強くて優秀な遺伝子をいっぱい菜々緒のあそこに注ぎ込んで欲しいの。そして、師匠みたいに格好よくて、強い子を産み育てたいの。ねえ、師匠……早く私と夜のお稽古しよっ」


 とろ~んと菜々緒の瞳孔がハートマークになっており、ノーブラなのは触れて分かってしまったが、ぴろっと菜々緒が浴衣の裾をめくるとちらりと見えてしまう。


「は、履いてないのかっ!?」

「ええ、まだ洗濯機の中なの、ふふっ」


 おパンツ履いてない上に、しかも浴衣に染みができて足首にまで垂れてくるほど……。


「師匠の強さに菜々緒……感じちゃった。さっきは師匠がスゴく怖くて失禁しちゃったけど、いまは師匠に抱かれたくて、とろとろ汁をお漏らししちゃってるの……」


 俺はぎょっとして、固有スキル盗撮者で菜々緒のステータスの状態を探る。



 なっ!?



―――――――――――――――――――――――

 発情度MAX!!!(※生でえっちすると100パーセントの確率で菜々緒が妊娠します)


【本日、絶賛排卵日♡ ああっ、一刻も早く師匠の硬くてたくましいもので、突いて! 私の初めてを奪ってもらい、師匠の赤ちゃんを孕みたい気分キ・ブ・ン

―――――――――――――――――――――――


 100パーセント妊娠するとか余計なこと書いてんじゃねえよ!!!


 さすがエロゲ……堅物剣道美少女の菜々緒の変わりっぷりにもう戸惑うしかない。


「師匠ぉ、がまんできないよぉ。師匠も我慢しすぎてパンツがどろどろだったりしてぇ?」

「そ、そんなわけない」

「ほんとに? 師匠のズボン、パツパツ♡」


 菜々緒は俺の膨らんだズボンを凝視しながら、親指と人差し指で輪っかを作り、上下にストロークさせたかと思うと人差し指と中指を口に含んで、舌でもてあそぶようにちゅぱちゅぱと音を立てて、出し入れしながら舐めだしてしまう。


「や、やめろ……菜々緒のイメージが壊れる……」

「イメージ?」

「あっ、師匠は指しゃぶりを卑猥なことと勘違いしちゃったのかなぁ? んもう、師匠のえっち」


 雅人に落とされるまで菜々緒はこんな淫乱ピンクじゃなかったので、つぶやいてしまったが菜々緒自身は、彼女を倒した男になびいてしまってるだけなんだろう。


「でも間違ってないよね。師匠が私の胸元、稽古が終わるたびにチラチラ見てるの知ってるんだ・か・ら」

「普通Tシャツなり胴着の下に着るだろ。谷間見せつけてきてるのは菜々緒のほうだ」


 俺はちょっと自分が恥ずかしくなり、菜々緒に責任転嫁するような言葉を吐いた。彼女が言い返してくるかと思っていたんだが……。


「うん、師匠に谷間だけじゃなく、いっぱいおっぱい見せてあげる。ううん、それだけじゃないよ。触らせてあげるから師匠の部屋で休憩しよ♡」


 いやそれ、休憩という名の運動ですよね?


「なにを言ってるんだよ、菜々緒!」

「あっついぃぃ……ほら早く早く。師匠のクーラーの効いたお部屋でぇぇ、二人っきりで秘密の特訓しましょ」


 菜々緒はまるで恋人のように腕を組んできて、彼女のたわわが肩に当たり、脳がとろけ、鼻の下が象のように伸びそうになっているときだった。


 目の前には、菜々緒に貸し出すためのかわいいブラジャーとパンティを抱えていた若葉は下着をポロリと床に落としてしまい、立ち尽くしてしまっていた。


 だが若葉はすぐ下着を拾い上げ、菜々緒に押し付けるように渡し、言い放つ。


「当家で破廉恥な真似はやめてください」

「あれれ? お子さまの若葉ちゃんには刺激が強かった? こんなの、ただのスキンシップだから」


 敵もさる者、菜々緒は若葉が頬を赤らめ恥ずかしそうに目を背けたことを見逃さず、挑発していた。そんな子どもじみた菜々緒の挑発に対し、若葉はうつむいてしまう。


「兄さんは私には触れようともしてくれないのに菜々緒先輩のおっぱいはあんなうれしそうな顔して揉んでしまうなんて。私の方が大きいのに……。彼女にはお漏らしなんて生易しいものでなく下剤を盛って社会的な死を与えるべきでしょうか……。高校の入学式でみんなの前で生き恥を晒せばいいんです」


 若葉から黒いオーラが立ち上り、なにか独り言をぶつぶつ言っていたが、はっきりと聞き取れないでいた。


―――――――――――――――――――――――

若葉たん、菜々緒のえちえち攻勢を前に兄を寝取られのピンチ! 善行をめぐる絶対に負けられない女の闘いが開幕か? えちい展開がお望みの読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る