幕間3  元浦徹夫の陰謀


「最近、内野と西原が昼休みにいないことが多いな……」

 俺はどうしてもあの二人がボランティアでペアになったことが納得いかない。

 最近、そのせいで考え事が多く大会近いというのに練習が全然力が入らない。タイムも凄く悪い。一種のスランプだ。このままなら大会までもが酷い事に。内野のせいだ。

「元浦、休み時間だぞ、一緒に食堂行こうぜ」

 俺は、彼奴らが一緒に? と考えてしまった。

「ごめん、俺今日はどうしても考え事がある。今日は一人にしてくれ」

 ——クラスメートを後に、俺は騒がしい中庭をフラフラする。季節は夏前、女子生徒同士がランチをし、男女のカップルで和らいでる風景を尻目に一人でいる。恥ずかしい。

「彼奴、西原に何してるのか、絶対暴いてやる——」

 俺は努力している。彼奴の何倍も。入学の時から彼奴は部活で調子に乗り、西原に手を出した。あんな奴は俺のプライドが許さない。絶対ただじゃすまさない。

 ——さわがしい緑が生い茂る校舎から少し離れた中庭まで来てしまった。ここまで来ればざわめきは聞こえてこない。

 そんな中予想を裏切る形で男女の話し声が聞こえた。

「まさかとは思わないけど……」 

 俺は慎重に、悟られないように話し声の基となる所を見つけた。

 そこから聞こえる男女の声はあの二人だった。完全に的中した。しかも校舎が死角となっているため、俺の姿は気付かないはず。

「あの野郎……何楽しそうにしてやがるんだ……」

 俺は拳を振わせた。とにかく楽しそう。聞こえてくる話題が妹のこと、プールのこと、小学生の水着を拝めることが楽しみとか、そう言う話題であることも分った。

「彼奴……弱み握らせて、妹に変装させてやがるのか……」

 許せない、絶対許せない。

「週末、東京マリンランド。情報を得たぞ……」

 俺は煮えくりかえる気持ちの中、こっそり中庭を後にし、歪んだ顔つきになった。





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