第24話 推しの配信探索者がチームを組んでダンジョンに挑むようです 後編
「いたぞ、ダオロンだ」
『でかい!』
『でかすぎる!!』
『サイズがでかすぎて錯覚するけど、めちゃくちゃ早くね?』
真神達がダンジョンを探索していると、地響きと共に木々をなぎ倒して闊歩する赤黒い鱗に針ネズミのような巨大な蛇ダオロンを発見する。
「ネクロ! 田吾作! 健次郎! 同時攻撃だ!」
「だから我輩の名前はDr.ライフ三世だといってるのであーる!!」
「任せろ!!」
「闇にのまれよ」
真神は近くの木を伐採して即席のバリスタの矢を作るとそれをダオロンに向かって投げる。
真神の攻撃に合わせるようにDr.ライフが魔法を放ち、健次郎がアサルトライフルの引き金を引き、ネクロはスケルトン達に弓矢を撃たせる。
「ギャオッ!?」
ダオロンは真神達の攻撃を受けると悲鳴のような鳴き声をあげて身をよじる。
「攻撃を続けろ!!」
「キュオッ!」
休むことなく攻撃を続ける真神達。
ダオロンは反撃せずに真神達の攻撃から逃げようとする。
「させないのであーる!」
Dr.ライフが素早くグリモアをフリック操作すると、ダオロンが逃げようとする進行方向に無数の岩壁を地面から生やし、ダオロンが岩壁に激突して足を止める。
『すげー! ダオロンが手も足も出ない!』
コメント欄では真神達の活躍に盛り上がっている。
私も興奮して画面に食い入るように見つめる。
「ギュオオオン!!」
「裸王!」
「任せろっ! ダブルバイセップス・フロント!!」
逃げれないと判断したダオロンは反撃に回り、尻尾で真神達を凪払おうとする。
その巨体から繰り出される尻尾の一撃はまさに圧巻とも言えるが、それをボディビルポーズでガードしようとする裸王。
サイズ差から吹き飛ばされるかと思ったが、尻尾の一撃を受けた裸王は地面に数メートル電車道を作りながらダオロンの攻撃を防ぎきる。
『いやなんでそれで受け止めれるんだよっ!!』
『質量的におかしい!』
『真神さんの仲間だけのことはある』
裸王のあり得ないガード方法にコメント欄では総ツッコミのコメントが滝のように書き込まれて流れていく。
その間も真神達の攻撃は続き、ダオロンにダメージを与えていき、ダオロンの攻撃は裸王がさまざまなボディビルポーズでガードしていく。
「キュオオオオンン!!」
ダオロンが鳴き声をあげると体全体が風船のように膨らみ、針ネズミのような棘が意思を持ったように蠢く。
「攻撃パターンが変わった! 全員密集してグリモアの防御出力最大限まであげろっ!!」
真神の合図と同時に破裂音を響かせてダオロンの身体中にあった針ネズミのような棘が四方八方に飛び散り、地面に刺さると棘が破裂する。
ドローンカメラは棘の攻撃から難を逃れるように上昇して上空からダオロン達を見下ろすように撮影する。
『あんな攻撃よけれるかっ!』
『あの、ショットガンみたいな攻撃でスタンピードが起こった国の軍隊壊滅的な打撃を受けたんだよな』
『土煙と轟音でどうなってるのかわからない』
飛び散った棘と破裂で土煙が舞い上がり、ドローンカメラが真神達の姿を見失う。
『なんちゅう攻撃範囲………』
『森の一部が広場になってる』
『ダオロンの棘があった場所、毛穴みたいな大きな穴が空いてる』
土煙が晴れると、棘の破裂に巻き込まれた森の木々が吹き飛ばされたり、倒壊しており、棘の威力を視聴者達に知らしめる。
「フシュルルル!!」
ダオロンが警戒するような声をあげて地面の一点を睨む。
ドローンカメラがダオロンが睨み付ける一点をズームアップすると、真神達が集まって全員のグリモアのオートガード機能を重ね合わせてでダオロンの攻撃を凌いでいた。
「攻撃再開!」
真神は号令をかけるとダオロンに向かって走りだす。
その間もDr.ライフが魔法で、ネクロはスケルトンを駆使して攻撃を行い、裸王がその見た目から想像できない頑丈な肉体でダオロンの攻撃を受け止めて防ぐ。
「健次郎! 足場を頼む!」
「任せろ!」
真神がダオロンに向かって跳躍すると、健次郎は片膝をついて射撃体勢をとり、銃口を真神に向け、引き金を引く。
『誤射!?』
『いや健次郎さんは真神さんを狙っていたぞ!』
『こんな時に仲間割れ!?』
コメント欄では健次郎の行動が理解できず、あれこれとコメントを書き込んでいく。
跳躍した真神が勢いがなくなって落下しかけた瞬間、真神の足元に氷の足場が現れ、再度跳躍する。
『は? 今真神達何してるの?』
『まさか、真神が落下するタイミングに合わせて、健次郎が氷の足場を射ち出してるのか?』
『曲芸すぎるだろっ!!』
真神は器用に健次郎が生み出す氷の足場を利用してダオロンの頭上まで跳躍する。
「裸王!」
「受けとれ! 真神っ!!」
真神の掛け声に合わせるように、裸王が木の杭を真神に向けて投げ、真神はそれを空中で受けとると、落下しながらダオロンの毛穴のひとつに突き刺す。
「ギャアアアオオオ!!!」
木の杭が毛穴に刺さったダオロンはこれまてとは違う本気の悲鳴をあげ、真神を振り落とそうと暴れる。
「うわっと!?」
「サポートする!」
暴れまわるダオロンから振り落とされた真神。
健次郎がフルオートで撃つと、真神をキャッチするように巨大な氷の結晶型の足場が展開されていく。
「助かる!」
真神は健次郎が生み出す氷の足場に着地すると、もう一度跳躍して暴れるダオロンに向かう。
「これでも食らいなっ!」
「ギャアアアオオオっ!!」
真神はプレデターの鈍器を取り出すと、ダオロンの毛穴に刺さった木の杭を叩いて、更に奥まで深く食い込ませる。
「真神っ! おかわりだ!!」
「おう!」
裸王がまた木の杭を投げて真神が受け取ろうとする。
「ギュオオオオッ!!」
そうはさせるかと、ダオロンが雄叫びをあげて口を開き、真神を飲み込もうとする。
「甘いのであーる!!」
Dr.ライフが高速展開した無数の魔方陣から次々とファイヤーボールがうちだされてダオロンが押し返される。
「むっ!? バッテリーの残量がほとんどないのであーる! 我輩の援護はここまでであーる!」
高速展開の魔法攻撃はグリモアのバッテリーをかなり消耗するのかDr.ライフのグリモアから警告音が鳴り響くと、Dr.ライフはお手上げのポーズで戦線から離れていく。
「たくっ! いつも容量考えて攻撃しろっていってるだろっ!!」
「ギャアアアンッ!!」
真神はDr.ライフに文句を言いながらも、受け取った木の杭をダオロンの毛穴にねじ込む。
ダオロンは痛みにのたうち回りながらこの場から逃げようとする。
逃げた先にはネクロのスケルトン達が待ち構えており、ここを通さないと主張するように両手を広げて待ち構えていた。
『いや無理だろ』
『裸王じゃないとあれは止めれない』
『ん? 何でスケルトンが魔石を握りしめてるんだ?』
視聴者の一人がスケルトン達が魔石を握りしめていることに気づく。
「闇よ、はぜよ!」
ダオロンがスケルトンを吹き飛ばそうとした瞬間、魔石が大爆発を起こしダオロンを押し返す。
ネクロが操るオークのスケルトン達は両手に魔石を握りしめたままダオロンに組み付き、次々と爆発していく。
「フフフ、怖い?」
ネクロはオーケストラの指揮者のように腕を動かすと一糸乱れずスケルトン達がダオロンの逃走進路を塞ぐように自爆していく。
「キュオオオオ………」
逃げ道を塞がれたダオロンはとぐろを巻いて威嚇の声をあげる。
「ギュオ───」
「お前はそこで朽ち果てろ」
何とか攻撃してピンチを抜け出そうと試みるダオロンだが、健次郎の光弾がダオロンの目を撃ち抜く。
「呼び出したスケルトンはダンジョンから持ち出せないし、全部持っていけ」
ネクロが腕を振り下ろすと、残っていたオークのスケルトン達が一斉にダオロンへと突撃して、肉薄すると次々と自爆していく。
「真神!」
「わかっている!」
裸王は最後の木の杭を持ち上げると力を込めてダオロンへなげ、喉元に刺さる。
止めと真神が喉に刺さった木の杭を鈍器で叩けば、木の杭は貫通して反対側から先端がダオロンの皮膚を突き破る。
それが止めとなったのか、ダオロンが崩れ落ちると周囲の風景が溶け始めダンジョンがクリアしたことを知らせる。
『たった五人で都市を崩壊させたこともあるダオロン倒した………』
『真神さん以外にも規格外な人っているんだなぁ………』
『裸王さんも人間やめてる………』
『討伐成功おめでとう!』
コメント欄では称賛と驚きのコメントが次々と書き込まれていく。
「さて、動画配信はここまで、チャンネル登録や高評価宜しくお願いします!」
何時もの真神の挨拶で動画配信は終わった。
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