第4話 コインランドリーから①
其所には『勝負下着』が忘れ去られていた。
梅雨の季節は大変だ。ベランダに洗濯物を干していても、横殴りの雨の為、ぐちゃぐちゃになって乾かない。
そこで、マンションのコインランドリーの出番なのだが。家族3人の分洗濯物をコインランドリーにもって行く。
1人分だと高く感じる金額が、家計から出てるので、お得な感じがする。だから私はるんるんしていた。
で、巻頭に戻るわけなのだが、絹の光沢感溢れる気持ち良さそうなスキャンティーだった。赤い色をしている。黒のレースがふんだんに施されている。
持ち主は誰だろう?と私は考えた。仕方がないのでスキャンティーを乾燥機から出して机の上に置く。そして家の洗濯物を空のコインランドリーに入れた。何時もならウチに帰って漫画でも読みながら、セットされたアラームに促され乾燥した洗濯物を取りに来るのだが、今日は違う。
『スキャンティー』の持ち主に興味があったから津々と持ち主が表れるのを待った。と、椅子に座って待つ私の空間にヒトが来た。
上下紺色ジャージ姿のお隣の受験生だった。てっきりお洒落にうるさいおねーさんだろうと予想していたので、退いた。
私が見守る中、彼女は『どうしよう?』という顔でうろうろしていたのだがウチの乾燥が終わった為、私が洗濯かごに衣類を閉まってるのを見計らって、テーブルの上のスキャンティーをパッと取って彼女は部屋へとダッシュした。
私は何も話せなく、残念とウチに戻る。それから1週間後、乱暴な雨に負けたウチの洗濯物は再びコインランドリーにやって来た。
したら、私を見た彼女は赤い顔をして乾燥機が止まるのを待っていた。やがてその時が来た。乾いた彼女の洗濯物をまじまじ見てたら、例のスキャンティーとお揃いのブラもあった。
赤い絹に黒のレースがふんだんのヤツ。
今日も彼女はジャージだったので、イメージがわかんな?と思った私は「昨日は彼氏さんと一緒だったんですか?」と笑顔で聞いたら「何バカなこと言ってるの」とかすれた声を彼女は振り絞った。
その嫌悪感を感じ私は今まで感じた事がない胸の苦しみに襲われた。
了
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