第2話 Valentineにて②

2月14日放課後「何か知らないけど、さんきゅー」と言ったら、バレンタインの義理チョコをくれた彼女の顔から表情が消えた。


「うん?」と、その時は首をかしげる程度だったのだが、おろおろしながら「チョコをもらってください」とチョコを渡す前の彼女の表情は『とても』緊張して焦ってた。


だからその落差が気になって、今ベットで寝転がり貰った義理チョコを見上げてる。彼女には『何か大切な事』だったのかもと心配になった。そうしてぼんやりと義理チョコを見上げてたら、同室2階ベットの主の姉が部屋に入ってきた。


「うーん」とこぼれた吐息に姉は「どうした?悩ましい息づかいで」と話しかけてくる。そして、手の中のチョコを見るや「あんた」ヤッタねと、おちょくる様な声色で以下の事を言った。


「そのラッピング高級チョコのだから」それ本命マジチョコだよ。


えっ?と謎がスパークした。私女の子なんですけど。心身フリーズする。「で、どんな男の子なんだよー」と姉がからかうから『女子から貰った』とは言えなくなってしまった。


そっか、告白聴いてあげれなかったもんな。義理チョコと思ってたから。と頭をがしがしする。でも、彼女を傷つけてしまったという罪悪感があふれるだけで、ときめきが一切無かった。


そら、ただのクラスメートだから。これはどうすれば良いのかわからないので、彼女に直接聞くか?と決めたので、そのチョコを食べてみた。


口の中で広がる芳醇で濃厚なカカオが私の心拍数を1ランクあげる。成る程、香味をおさえるのは、中々の戦術だとチョコを大切に味わった。


そして翌日以降、悲しむ彼女から、避けられる事になるとも知らない私は、食べたチョコの値段をググって『義理チョコ』と連呼して申し訳ないと心に謝った。




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