第22話『火竜討伐作戦』
理不尽の面々は地図を前に集まっていた。
(ジュマ)
「エミル、先ずは結果ぷりーず」
(エミル)
「洞窟内に仕掛けた籠の鳥は、半日たっても生きてたから、有毒ガスの心配はとりあえずなさそう。んで、マップスキルで確認すると、内部へ通じるルートは3ヵ所。竜のサイズ的に出入りは1ヵ所とみていい。他には……」
ジュマの考えている作戦は、先日思い付いた水攻めを含めて2つのパターンがあるが、どちらもやりたい事は概ね同じだ。
要は、洞窟内での生存が出来ないようにしたいのである。しかし残念ながら、最初のパターンである洞窟内水没は実質不可能に近いことが分かった。
次のパターンは、洞窟内有毒ガス充満だが、出入口以外にも小さい穴が多く、全てに対処するのは困難と判断された。
(パルパ)
「穴を空けるのは簡単なのにな」
(エミル)
「おまえが言うと、乙女のピンチ的な意味に聞こえるのは何故だ?」
(パルパ)
「失礼な奴だなぁ」
(エミル)
「日頃の言動がそう思わせてるとは考えないんだな」
(パルパ)
「む、…ぐ…うぅ…」
(ジュマ)
「諦めろ、エミルに理があるわ。…ん?そか!パルパ、バリスタの矢出して!」
作戦は始まった。エミルのマップスキャンスキルで火山内部を確認し、洞窟のなるべく底に近い部分の位置を把握する。次に高高度から、理不尽な杖を振るうわけだが、いつもとは違う細く鋭く尖った矢を用いる。各種魔法処理を施し、狙うは底に近い部分を経由してのマグマ溜まり。
同時にいつもの理不尽な杖も大洞窟入り口前を狙い多重にセット。これで、洞窟から逃げ出した火竜を討つ。念のため周囲に障壁を張って準備は整った。
高高度から、加速した鋭い矢が高速回転しながら火山に突き刺さる。いつものように地面が捲れるような事もほぼなく矢は大地を貫き、マグマ溜まりへと到達する。
矢が空けた穴から圧力によって押し出されたマグマが上昇し、洞窟内を駆け巡るように上昇していき、道中の火竜を次々に飲み込んでいく。
なんとか逃げ出した火竜は出てきたところを上空から貫かれる。
地表に溢れたマグマは、魔法で冷却され固められた。
作戦の遂行中、3人のレベルがどんどん上がっていき、揃ってレベル550を越えたところで、レベルアップは急速にペースダウンしていき、その後止まった。こうして作戦は終了した。
(エミル)
「生存者、じゃない生存竜なし!」
(パルパ)
「ヴァージン頂きました」
(エミル)
「おい!ついに人間どころか生物ですらないものに手を出したみたいに言うな」
(パルパ)
「そんなの地球にいた時にクリア済みよ」
(エミル)
「え?こわっ!」
(パルパ)
「テン…ぐぁ!」
パルパの顔面にエミルの拳がめり込んだ。パルパの顔に穴を空けたエミルの拳は赤く染まっていたと言う。
(エミル)
「(拳をフキフキ)痛かった?ちょっと血がでちゃったね♪」
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