第30話 息子が大学時代、謹慎を喰らう
日本でインターナショナルスクールを卒業した息子は、私が卒業した同じ米国の大学へ進み、最初の2年は寮に住んでいた。12階建ての建物の7−8階に住んでいたらしい。私が学部生として住んでいた寮と似た構造の鉄筋にコンクリートブロックの建物だった。そこで、私が寮に住んでいた頃に流行っていた悪戯のいくつかについて話してやった。その中で、多人数でドアをドアフレーム(枠)に押しつけて、できた隙間にペニー(一セント硬貨)を何枚も突っ込んで、ドアのロックを内側から解除できなくする悪戯があった。下のページの二枚目の画像が大体のアイデアがわかるかもとここに貼っておくが、この大学の寮では、ドアは分厚い木製の頑丈なドアで、枠も鉄製であった。そのドアを3−4人で押しつけて、ギャップに一人がコインを何枚も入れてしまうのだ。すると、ロックのボルトがそれもまた鉄製の金具に強く押しつけられて、解除できなくなる。簡単にこのペニー硬貨を外すことはできなかった。
https://www.instructables.com/Penny-Locked-Door-Prank/
私の部屋の隣には、大学院生のアドバイザーが住んでいて、閉じ込められた生徒から助けを求める電話がくると、大きなドライバーとハンマーを持って救助に行っていた。とても一人では外せないほどの摩擦力で詰まったコインは、このドライバーの先を打ち付けて外していた。
息子の寮の隣の部屋に住む友人のルームメイトがガールフレンドを頻繁に泊めさせていたので、彼のルームメイトは、息子の部屋の床にマットをひいて寝ていため、苦情を言っていた。息子は、ルームメイトや友人達に、私が話したペニーでドアを開けられなくするトリックのことを紹介したらしい。そして、いつも泊まりに来るガールフレンドとその彼女を泊まらせる隣の生徒を懲らしめるために、彼らの停まっている部屋を、このトリックでロックしてやったらしい。しかし、一緒に悪さをした友人の中の一人が、火災報知器を押してしまった。すると、その部屋の中にいたカップルはドアを開けようとしたが、開かないことに気づき焦って消防の救急ダイアルへ電話してしまった。消防隊が駆けつける前、中にいたガールフレンドは、「うちらは死ぬ!」と言いながら泣き出したのを聞き、笑っていた息子と友人は、後に謹慎処分を食らってしまった。
この話を電話で聞かされて、笑っていた私だったが、妻がそれを知ると、「全くおもしろい話ではない!」とお叱りを受けてしまった。息子は、火災報知器を押したアホな奴がいなかったら問題にはならなかったとか、私が教えたのが悪いとか言い訳をしていた。電話の後、私は、再度妻にこっぴどく叱られてしまった。そして、妻は母にまで告げ口をした。孫が大学で謹慎処分となったと聞いて、母は私を叱りつけた(これだから、学校で先生に罰として叩かれても、家では黙っていた私だった)。
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