第7話 友人の話:誘拐犯と間違えられて、警察が家に来た

昨日の、私が白人にしか見えない息子の子守りをしていて、職務質問されかかった話に次いで、私の友人に起きた話です。


彼は、今でも、シリコンバレーのある研究所で働いている英国籍の科学者です。その研究所に移る前は、スタンフォード大学で客員研究員として働いていました。彼は、母親がイタリア人で、父親は英国人でした。南ヨーロッパの血を受け継いて、肌もやや濃く、髪は黒く、パーマがありました。彼の奥さんは、かなり薄い金髪のいかにも北ヨーロッパ系の女性でした。二人にはサッカーをやっていた娘が二人いたのですが、サンホゼに引っ越した後にも、スタンフォード大学のあるパルアルト市のチームに属していました。ある土曜日、友人は娘を二人連れてサッカーの試合に出向いていました。一人の娘の試合内容が良くなかったと怒鳴りつけてしまい、文句を言って返した娘に、車に早く乗る様に怒鳴り、娘達を連れて走り去ったのでした。


すると、彼ら親子が帰宅する前に、彼の家へ、警察がやってきました。二人の警官は、ドアを開けた彼の奥さんに、質問し始めました。「あなたに、パルアルトでサッカーをしている二人の金髪の娘さんはいますか?」「あなたの御主人は、身長183cm、体重90kgくらいで、濃い茶色のカールのかかった髪で、口髭をはやしていますか、、、?」ここまで聞かれて、彼女は、家族が、交通事故に遭ってしまったと思い、とても動揺したそうでした。さらに車の車種や色とナンバーまで聞いてきた後、「二人の金髪の少女が、髪の濃い男に連れ去られたという通報が警察にあり、車のナンバーからこの家を探し出して、確認に来ました。」と言ったそうでした。奥さんは、事故ではなく、主人が誘拐犯と勘違いされただけだと知って、安堵したそうです。帰ってきた友人は、激怒したそうです。


友人は用事があって、娘達との帰宅がや遅れてしまったので、幸いにも、警察には会わずに済みました。彼は、結婚して真面目になる前は、グラスゴーの不良の集まりに属していて、スキンヘッドでもあったそうなので、警察に出会っていたら、かなり怒ってしまい、一悶着あっただろうと奥さんが言ってました。


私の妻から見ると、周りに気を付けてくれた人達がいたのは、良いことだったと言ってました。私は、昨日の話があったので、友人の方に1票という感じでした。これは、近年、米国で大問題になり暴動の種になっている警察の人種プロファイリングの一種だったと思います。

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