日系3世と間違えられた

@fumiya57

第1話 アクセントがある!

その昔、米国の大学院へ通っていた頃、日本はバブルで、多くの会社が、その大学へ研究者を送って来ていた。ある教授のグループは、電気系の会社に必要な技術部門で世界的に有名であったため、多くの日本人研究者を受け入れていた。そのおかげで、日本を代表する電気系企業(主に半導体)から来た人たちと知り合いになれた。こちらで学部生から始めた私には、日本の大人の社会の仕組みもわかっていなかったので、実際に社会人の方達から聞く話は、とても興味深かった。日○、東○、富○通に松○電機等から派遣された方達と親しくなった。


学部生として留学してみると、この学部生総数が3万人近くいる大学で、日本人は私一人だった。学部生だった頃のルームメイトも皆英語しか話さなかった。そして、院生となっても、余り、この教授の研究で出会った人たち以外の日本人とは、余り関わっていなかった。一人だけ、別の教授のところでポスドクをされていた東北大学の助手の先生夫妻とは、住んでいた家が近かったので、仲良くなった。妻も同級生や研究室の人間とも、皆英語しか話さないので、英語だけで暮らしていた。日本企業から派遣された方達と出会うまでは、妻が日本語のコースを取り出して出会ったテーチングアシスタントの院生達と教授くらいしかいなかった。


ある日、そのグループの大学院生が、日本人の女性と結婚式をあげたので、披露宴に招待された。勿論、日本企業の方達も招待されていた。米国の結婚式は、家族で参加するので、日本人の研究者の方達のご家族にも出会えた。その頃、私は、すでに結婚して、幼い息子がいたが、家族三人で出席した。妻は白人女性で、息子はハーフだった。そこで、日本人の奥様達には、息子が大人気だった。息子は、確かに可愛い顔つきはしていたが、実は、ないいたずらっ子で、とんでもなく生意気な子だった。しかし、日本語は話さなかったので、日本人の奥様達は、ただ可愛い子供だと思っていたようだった。


そこで出会った奥様方と、私も日本語で話していたのだが、その中の一人が、家に帰ったあと、旦那さんに、「〇〇(私の苗字)さんは、日本語がとても上手ね。」と話したらしい。旦那さんは、「いや、彼は日本人だから、日本語が話せるのは当たり前だよ。」と返事したらしい。すると、彼の奥さんの反応は一転して、「えー!あの人日本人だったの?〇〇(私の苗字)さんは、ハワイか西海岸出身の二世か三世だとしたら、日本語がうまいと思っていた!」となったそうで、ついでに、「それどころか、日本語にアクセントがあった。!」と言われたそうだ。日系米国人にしては日本語は上手なレベルだが、本物の日本人としたら、英語のアクセントがついた日本語を喋っていたらしい。


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