雨男、雨女。

かてぃ

第1話

 女:ナレーション

 降り出した雨の中……

 久しぶりに会う彼。

 髪型ちょっとオシャレになってる?

 こんな風に二人、横に並んで歩くのは本当に久しぶり……。



 女『今日はどうしたの?半年ぶりぐらいかな?』


 男『1年はたってるなぁ。急に呼び出してごめんな。』


 女『別にいいんだけど……私も連絡出来なくてごめん。でもまさかこんなに雨が降るとはね……笑』


 男『そういや昔、どっちが雨女か雨男かなんて話したことあったな』


 女『あっ……そうだね。未だに私は晴れ女だと自負しているけどね。』


 男『俺だって、会議の時はいつも晴れてたぞ。』



 女:ナレーション

 そう、彼とは以前まで同じ課で一緒に仕事をして……そして恋人だった。

 私の転職を機に、忙しさにかまけて連絡を取らなくなり、いつの間にか疎遠に……。

 久しぶりにかかってきた電話に正直彼のことを忘れたけている私がいた。

 1年も連絡を取っていなかったなんて……


 女『で?どしたの今日は?』


 男『ちょっと歩こうか……いやぁ〜新しい職場はどうかなって。』


 女『ん?まぁ大変だけどやりがいはあるよ。』


 男『そっか……。』


 女『うん。どうしたの?何かあった?』


 男『うん……俺さ、お前に何もしてやれなかったなぁって。ごめんな。』


 女『……そんなことないよ。ずっとそばにいてくれたじゃん。それだけであの時は嬉しかったよ。』


 女:ナレーション(SEで表現の場合は無し)

【急に雨足が強くなって2人の傘がぶつかる。

 ウッドデッキに当たる雨音が彼の声をかき消していった。】


 男『なぁ……俺たち……もう一度やり直さないか?……』


 女『え?何?ごめん雨でよく聞こぇ……』


(雨強め)

 女:ナレーション

【急に傘を手放す彼。

 強い風と共に私の傘も飛ばされてしまう。】


 男『これで聴こえるか?もう一度俺の傍にいて欲しい……』



(勢いよく引き寄せられ彼女は彼の胸へと滑り込む。

 あんなに降っていた雨がいつの間にか止んでいた……)




 女『聴こえるよ。私でいいの?雨女かもよ……』



(彼女の目にうっすらと涙の雫……)


 男『雨止んでるじゃん。俺のそばに居たら大丈夫だよ。』

 女『ありがとう……またよろしくね。』


 女:ナレーション

 この気持ちにきっと嘘は無い……

 またこうやって 一緒にいたいと思えるのだから。


 男:「なぁ、見て。」


 女:「ん?」


 男:「星、すげぇ綺麗」


 女:「、、ほんとだ。」



 女:ナレーション

 雨女でも、晴男でも見上げる空は どちらも同じ。

 夜空に満天の星が広がっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雨男、雨女。 かてぃ @LieereKaty

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る