サイコバニー、多分。
ねえ、七年だよ、サイコバニー。
あれから七年の時間が私たちの上に平等に過ぎていった。でも、あの夏真っ黒に日焼けしていたサイコバニーが真っ白に漂白されて戻ってくるとは思ってなかったし、こんな小悪魔的美少女に成長してるなんて誰も知らなかった。もちろん私も知らなかったから、まぶしすぎて目が開けられないんだけど。
「亀山・チャコフスキー・
ああ、再婚か離婚かをしたのかもしれない。ミドルネームはそのままだからわかったよ。でもサイコバニーなのにカメヤマなのはちょっとウケる。ウケるでしょ。ていうかサイコバニー、言いながらちょっとウケてない?
「ぼくのことはゆーりって呼んでね!」
一人称が「ぼく」でざわついてる教室を見回して、白いサイコバニーはにっこり笑った。ちょっとだけ八重歯になってるのもそのままだ。矯正とかしてないんだ。
私はとにかくチャコフスキーにくぎ付けだった。蟻の惨殺者サイコバニーは、とにかくあの時のまま(白くなっているけど)私の前に現れてくれたのだ。
……泣きそう。
一人でうつむいた私を見逃さず、マキノ先生は私に声をかける。
「じゃあ亀山さん。あのうつむいてる
「はぁーい」
相変わらず甘ったるいアイスみたいな声音で長く伸びた返事をしたサイコバニーは、私の隣までスキップしてきて、どっかりと空席に腰を下ろした。
「やっほ。オコノギさん」
「あ、ああああ、は、はい」
他人行儀な返事をしてしまって、私は小さく両手を振った。
「ああ、あの、その……」
何をやってるんだ私は。サイコバニーだぞ。相手はサイコバニーなんだから、前みたいに、そう、前みたいに接すればいいだけ……。
そしたらサイコバニーがひとこと。
「はじめまして。よろしくね。下の名前、なんてーの?」
私は舌の根まで凍り付いてしまった。何度も何度も瞬きをして、それから、ゆっくり解凍した舌で、サイコバニーに告げた。
「
泣かなかった私は、えらいと思う。
偉いと言ってくれ。
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